突然の相続4 母の死後、戸籍から異父きょうだいの存在を知った男性
異父、異母きょうだいというと、ドラマの中の話のようにも思えます。存在を知らなかったとしても、相続する場面などで戸籍謄本を取ってみて存在を知ったということがあるようです。
異父、異母きょうだいというと、ドラマの中の話のようにも思えます。存在を知らなかったとしても、相続する場面などで戸籍謄本を取ってみて存在を知ったということがあるようです。
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異父きょうだい、異母きょうだいというと、あまり身近ではないと考える方も多いかと思います。ですが、これまで何度か、「きょうだいがいることを親が死ぬまで知らなかった」という相談を受けています。
相談に訪れたのは40代の男性。母親が亡くなったので銀行口座を解約しようと戸籍謄本を取り寄せたところ、自分が生まれる前に、母の子どもとして知らない男性が記載されていたそうです。守秘義務に反しないよう、実際の事例を大幅に改変し、脚色しています。
亡くなった母親は70代後半。
父親はすでに亡くなっており、母親が残した財産は預金が数百万円と、居住していた一軒家だけです。財産額から相続税の申告は不要であり、銀行口座を解約するか名義変更して、不動産の名義を変更すれば、相続に関する手続きはおおむね完了するケースです。
一般的に、銀行口座を解約する手続きにおいては、亡くなった方の出生から死亡までが記録されている戸籍謄本の提出が求められます。これは、相続人を確定するためで、遺言書や遺産分割協議書がない場合は、相続人全員の印鑑証明書も必要になります。
親が生まれたころの戸籍謄本を取った経験のある方は少ないのではないでしょうか。
戸籍法が改正され、古い戸籍が閉鎖されることがあります。近年では平成6年にコンピューター化に伴う法改正がありました。戸籍が改製され、新しいものに移行すると、古い戸籍は閉鎖されます。閉鎖された戸籍のことを、改製原戸籍といいます。
コンピューター化のタイミングは自治体によって異なり、現在の戸籍謄本を取得すると改製日が記載されています。改製前に婚姻や離婚などで戸籍から抜けた人は、新しい戸籍には転載されません。従って、現在の戸籍謄本を取得しただけでは、相続人のすべてが判明しないのです。
男性の母親は、父親と結婚する前に婚姻歴があり、出産していました。事情を知っていそうな親戚もすでに亡くなっており、情報が得られないそうです。これまで、兄にあたる男性と連絡を取ったことはないといいます。
相談者の男性は困惑しているようで、「気持ちの整理がつかない」と話していました。
不動産登記など相続手続きには何らかの方法でも兄にあたる男性に連絡を取る必要がありますが、すぐに行動することは難しいようでした。
断続的にコミュニケーションを取っていましたが、次第に頻度が減っていきました。ついには連絡が取れなくなり、私の関与は終了となりました。その後、男性がどのように行動したかはわかりません。
家族であっても、話したくない秘密はあるはずです。いざ相続が起こった際に、知らなかった重大な事実が発覚すると大混乱を招きます。もし気になる場合は、事前に親の戸籍謄本を取得してみるとよいと思います。
(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)
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