終活とは何をするのか 人生の後半期をよりよく生きるための計画作り
終活という言葉が一般に知られるようになったのは、2008年~2009年頃のことです。団塊の世代が還暦を迎える頃だったということも、影響していたのかもしれません。それから10数年が経って、終活という言葉も定着してきましたが、いまだに「終活=死ぬ準備」ととらえてしまい、それゆえに始められない、始めたくないという人も多いようです。今回は、終活では何をするのか、ということをお伝えします。
終活という言葉が一般に知られるようになったのは、2008年~2009年頃のことです。団塊の世代が還暦を迎える頃だったということも、影響していたのかもしれません。それから10数年が経って、終活という言葉も定着してきましたが、いまだに「終活=死ぬ準備」ととらえてしまい、それゆえに始められない、始めたくないという人も多いようです。今回は、終活では何をするのか、ということをお伝えします。
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終活とは、人生後半期の人生をよりよく生き、後悔のない最期を迎えるための活動です。
具体的には自分の情報を整理して、問題があれば解決したり、対策を行ったりします。亡くなったあとのことも大切ですが、私はむしろ、「人生後半期をよりよく生きる」という点に重点を置くべきと考えます。
寿命が延びて「人生100年時代」と言われる現在では、人生後半期も長くなっています。仮に50歳を人生の折り返しと考えるなら、平均寿命まで生きたとして、後半期は男性31年、女性は37年にも及びます。その間の人生を充実させるために、一度立ち止まって、これからの人生を見直すと考えてはいかがでしょうか。
終活を行う分野は多岐にわたります(図表)。
死亡後の手続きや葬式、お墓、相続の問題だけでなく、高齢になってからの生活(住まい)や医療や介護が必要になったときのこと、終末期の医療をどうするか、生活のベースになる財産の整理や管理の問題も重要です。
また、生きている間から亡くなった後までのすべてに関わる人間関係、特に家族や親族、親しい友人との付き合いをどうするかということは避けて通れない課題です。そして終活の最終目標は、これからどう生きていくか、つまりこれからのライフプランを考えることです。
図の左側は、生きている間の課題です。前述したように、平均寿命が60代という時代とは比べものにならないくらい長い「人生後半期」が待っています。
残りの期間をどう過ごすか、過ごしたいかを考えてみてください。まずは、やりたいこと、行きたい場所、会いたい人など、思い浮かべてみること、そしてそれを実行に移すプラン(ライフプラン)を立ててみることが終活のスタートであり、ゴールとなります。
高齢になるにつれ、ほとんどの人は体力が衰えて何らかの病気を抱えるようになり、判断能力の低下も見られます。認知症の症状が出る人もいます。
高齢期になっても今の家に住み続けるのか、あるいは高齢者住宅・施設に転居するのか。子どもなどの家族と同居または近居という選択肢もあるでしょう。家も老朽化するので、リフォームなど自宅の終活も必要です(高齢期の住まい)。
入院や手術を伴うような病気やケガの場合に誰に頼るのか、終末医療をどうするのか(医療・終末医療)、考えておくのも大切なことです。
身体が不自由になったり、認知症になったりした場合には、誰かの手助けが必要となります。誰に何を頼むのか、介護費用はどうするのか(介護)、あらかじめ準備しておくかどうかで、支える人の負担も大きく変わります。また認知症になると、たとえ本人が資産家でもそのお金を本人のために使うことが難しくなってくるので、いざというときの財産管理を誰かに託しておく必要があります(財産管理)。その前段階として、自分の持つ財産を整理しておくといいでしょう(財産整理)。
図表の右側は、亡くなった後の課題です。「死後の手続き」や亡くなったあとの「物の処分」などの死後整理は、自分自身では絶対にできません。どのような葬儀を望むのか、どんな契約をしているのか、物はどのように処分して欲しいのかということを、死後整理を頼む人に伝えておかないと、その人の大きな負担になってしまいます(葬儀、死後の手続き、物の処分)。管理・所有しているお墓や埋葬の希望があるなら伝えておくことも大切です(お墓や埋葬)。
最近、高齢者関連で大きな問題となっているのが、図表で二重線囲みとなっている「介護」と「相続」ですが、特に長く介護状態になった後の相続では、もめるケースが増えています。その理由は介護が長引くと、それを支える人の負担が大きくなりますが、相続では介護の貢献が反映されにくいからです。
介護を一生懸命した人としなかった人との認識のズレが、もめごとを引き起こすのです。「縁起でもないから終活などしない。自分が死んだら好きにしてくれ」という人は、自分を支えてくれた人を傷つける結果になるかもしれないのです。たとえば、同居したり介護してくれたりした子に、多めに相続させなくていいのか、子の配偶者(相続人ではない)に報いることを考えないでいいのかなど、じっくり考えてみていただきたいと思います。
相続の準備や対策はいろいろあり、このサイト内でも詳しくお伝えしているので、ご参照ください。少なくとも、相続人となる人や対象となる財産を調べて整理しておくことは、死後の準備だけでなく、今後のライフプランにも役立ちます。
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相続の相談が出来る税理士を探す終活においてライフプランとともに重要であり、終活のベースとなるのは、人間関係です。
入院・手術するときや施設等に入所するときの身元保証、認知症になったときの財産管理、死後整理などの手続きを誰にやってもらえるのか考えてみてください。生きていく間も亡くなった後も人間関係を無視することはできません。
親族については、家系図を書いて自分との関係を明確にしておきましょう。いざというときの身元保証や財産管理、死後整理を誰に頼むか(頼めるか)、確認し、事前にお願いしておきます。頼める親族がいないときには、専門家や信頼できる人などに依頼し契約しておく必要があります。なお財産管理については、配偶者や子などの身内であっても事前の契約や手続きが必要になることもあります。
親族関係を整理しておくと相続でも役立ちます。相続手続きでは相続人を確定するため、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書、改製原戸籍謄本、除籍謄本など)が必要です。子どもがいるなら「その人が生まれたときからの戸籍謄本」、子どもがいないなら「その人の親が生まれたときからの戸籍謄本」を取得して相続人を確認しておきましょう。
最新の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)以外は、有効期限がないので、自分の相続のときに利用できます。また、親族だけでなく親しい友人や知人の「連絡先」や「自分との関係」を書いておくと、いざというときに連絡してもらえます。過去にお世話になった人や、もう一度会っておきたい人のリストを作成しておけば、これからの人生でもきっと役立ちます。
(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)
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