目次

  1. 1. 意向を残しておくことは、遺族の負担を軽減することにつながる

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私は昭和54年生まれの41歳で、今年は厄年です。近年、知人が亡くなったり、病に倒れたりしたという知らせを受けることが増えました。中には、元気そうに見えた人も含まれており、とても驚きます。そのたびに他人事ではないという気持ちになります。

一般的なエンディングノートには葬儀の希望を書くページがあります。かなり気は早いですし、自分自身でも「縁起でもない」と思う部分もあるのですが、万が一のことがないとも限りませんので、書いてみることにしました。

以下、私が購入した『エンディングノート「もしもの時に役立つノート」』(コクヨ)を例にして説明します。まず、葬儀を実施するかどうかについては、希望に近いものを選択する形式になっています。「盛大にしてほしい」「してほしいがお金をかけないでほしい」「しなくてもいいがなるべくお金をかけずに」「おまかせする」などから合うものを選びます。

私自身は葬儀をやらなくてもいいと思っています。しかし、お世話になった人と最後に接する機会であり、家族や友人が気持ちを整理することにも役立つと考えられますので、「してほしいがお金をかけないでほしい」という項目を選びました。

「おまかせする」という選択はあまりお勧めしません。相続の相談で遺族と話していると、「お父さんならどうしただろう?」などと考え込む人が少なくありません。あまり話す機会のない項目については、何らかの形で考えていることを残したほうがいいように思います。

葬儀の様式についても要望を記載するページがあります。これまで宗教的儀式に触れるのは葬儀のときぐらいで、親世代以前の信仰については知らなかったため、これを機会に確認したところ、父方も母方も曹洞宗とのことでした。私個人としては特に信仰するものは今のところありませんので、「先祖は曹洞宗で葬儀を行ってきたが自分の希望は特にない」旨を記載しました。

埋葬予定地もなるべく早く確認したほうがよいでしょう。私と同世代であれば、墓の管理をまだ親が行っているケースも多いと思います。私の父は二男で出生地から離れた青森県八戸市で暮らしていますが、祖父以前の世代が埋葬されている墓を引き継ぐこととなったため、従来の場所から八戸の近隣に墓を移しました。今後は私が管理を引き継ぐため、使用条件や支払いなどについて確認しました。それらを聞かないまま管理者が死亡してしまうと、調べるのに苦労する可能性もあります。

他の項目として、葬儀で飾ってほしい花や使用したい音楽など、細かい希望を記載することができます。私は花や遺影については要望がないものの、納棺時の服装として趣味のブラジリアン柔術の胴着、使用したい音楽として銀杏BOYZの「漂流教室」を選びました。

記載を進めるうちに、意向を残しておくことは、遺族の負担を軽減することにつながることがわかります。妻は私の事務所を手伝っているため毎日24時間ほとんど一緒で、仕事のこともそれ以外のこともよく話します。それでも、さすがに葬儀の意向については話したことがありませんでした。

子どもはまだ小さいですし、私に突然の病気や事故がないとも限りません。ノートには大切な人へのメッセージを記載するページがあります。妻には感謝と私が思っていることを日々伝えているものの、子どもはまだ小さいので口頭では考えを伝えられていません。

子どもに望むのは、「他人にやさしくなってほしい、自分の思うとおりに人生を生きてほしい」という二点だけです。もしもの事態が起こっても、子ども達が自分の可能性を追求できるよう改めて書き残し、成長に合わせて定期的に見直すこととしました。日々の子育てでストレスを感じることもありますが、自分と対話することで、改めて原点に立ち返れたような気持になりました。

死後をシミュレーションすることで、改めて周囲の人や家族のありがたさを感じる機会になりました。興味のある方はエンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。

(記事は2020年7月1日現在の情報に基づきます)

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