土地を登記するには、一定の費用と時間が掛かります。その一方で、価値が低い土地だったら、「お金や時間が掛かるだけ」と判断されてしまうことがあります。そうすると、登記されないまま放置されることもあります。その後、時を経て、所有者不明土地になるケースもあると思います。

また、そもそも相続の際に家族間の信頼が厚ければ争いになることもないので、立地の良い不動産であっても、相続しても登記しないままで良いという方もいたはずです。

所有者不明土地を登記する手間

長い間、登記されていない土地の場合、そもそも権利を持っている人を探し出す費用や手間が甚大です。試算しようと思っても、ケースバイケースで、予測を立てるのは難しく諦めてそのまま放置する状況に陥ります。

持ち主がわかっても、相続が発生した際に登記名義を変更するための書類が必要です。事前に準備しておかないと、とても面倒で苦労する作業になります。

土地を相続する際には法定相続や遺産分割協議、遺言など、その過程によって必要な書類が異なります。

例えば、「法定相続」による登記変更の場合でも、以下の書類が必要です。
・亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・亡くなった方の住民票の除票(本籍地の記載があるもの)または戸籍の附票
・相続人の現在の戸籍謄本または抄本
・相続人全員の住民票
・固定資産税の評価額がわかる固定資産税納税通知書、評価証明書

こういった書類を集める上では司法書士など専門家にお願いすることが多いと思います。

相続人の数などで所要時間は異なりますが、資料収集から書類作成まで概ね1~2ヵ月程度の時間は見積もっておいた方が良いでしょう。亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍や住民票の除票を取得することは、事前にその方の足取りを知らないと何度も相続手続を取り扱う各種窓口に足を運ぶこととなり、非常に面倒です。未登記土地の場合、何世代にもわたって権利のある人を割り出し、全ての書類を集める必要があります。

2017年から、全国の登記所(法務局)で、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。この制度は、法務局に戸除籍謄本等の書類一式、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を事前に提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付し、その後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを利用することで対応できる仕組みになっています。活用も検討してください。

不動産の登記に掛かる費用は?

不動産登記費用の内訳には大きく分けて三つあります。

一つ目は、相続登記に必ず必要になる戸籍等必要書類の取得費です。高額ではありませんが、前述の通り非常に手間が掛かります。

二つ目は、登記を法務局に申請する際に掛かる登録免許税や手数料です。

登録免許税とは登記内容を変更する際、国に対して支払う税金です。相続のために登記名義を変更する際の税率は0.4%です。課税価格(固定資産税評価額)×4/1000をかけて計算します。
例えば、固定資産税評価額が、3000万円だった場合、その0.4%である12万円が土地に関する登録免許税です。

自宅などを相続する場合、担税力(税金を負担する力)が低くなるので、様々な特例があります。
自分で手続きを行う場合は、窓口になる法務局や登記方法をHPで調べてみてください。無料相談もあるので必ずアドバイスを受けましょう。無料相談は混みあっているので、早め早めの対応が必要です。

三つ目は、相続登記を司法書士に依頼した場合の報酬です。すでに挙げた二つの手続きを依頼した際に掛かるもので、不動産の評価額や案件の難易度による作業量で異なるはずです。一般的なケースで5~10万円程度であることが多いです。事前に信頼できる司法書士を知らなければ、複数の事務所に見積もりを確認すると良いでしょう。

手間が掛かりますが、できる範囲まで手続きを済ませると良いと思います。書類の収集が最も大変ですが、結局、委任状など最低限の作業は必要になるからです。

今後の予測

相続登記は、義務化の方向で検討が進んでいます。

具体的には、相続で不動産を取得した人に対して、取得した日から一定の期間内に相続登記の申請を義務付けるという内容です。違反した人に対して過料なども検討されています。

ただ、前述の通り、登記申請をする際の作業には大きな負担が掛かるので、相続人の氏名や住所のみを報告するような簡易的な「相続人申告登記」制度の新設も検討されています。

また、転居など住所変更等の登記の申請も義務付けることも検討されており、行方不明者を出さないような仕組みに変えようとしています。

特に、外国に居住する所有者に対しては、投資目的で土地を所有する方も増えているため、確実な税収確保の目的もあり、国内の連絡先を登記する制度の新設や住所確認書類の見直しも検討されています。恐らく国内の連絡窓口は税理士などになると思いますが、専門家の責務などの問題もあり、難航するかもしれません。

以上のような改正は、登記名義人の所在が確認できれば、その後に対応しやすくする柔軟な対応を考えているのだと感じます。

このように、登記申請の義務化だけでなく様々な方策を組み合わせることで、不動産の登記情報の更新を確実に図り、所有者不明土地の解消に乗り出そうとしています。

ですから、相続登記の義務化だけを見るのではなく、登記制度も含めた不動産取引の全体像を認識し、情報収集しましょう。

(記事は2020年5月1日現在の情報に基づきます)