目次

  1. 1. 法律全般の弁護士、登記業務は司法書士、税務は税理士
  2. 2. 相続人3人の家族で基礎控除額を考える
  3. 3. 申告が不要で不動産登記だけなら、司法書士が適切

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相続に関連する士業でも、弁護士、税理士、司法書士など、複数あり、専門分野がそれぞれ異なるため、詳しい人以外は混乱してしまうかもしれません。

一般的に、弁護士は法律に関する全てのことを業務範囲にしており、司法書士は登記業務を多く手掛けています。税理士は税務の専門家であり、税金に関する分野を守備範囲にしています。

一口に「相続」といっても、財産や相続人の状況がそれぞれ異なります。実際に家族が亡くなった際は、平常心を保つことは難しい場合もあるでしょう。

万一に備えてあらかじめ家族などに伝えたいことを記しておく「エンディングノート」が一般化してきました。財産の状況や保管場所も記しておくことが望ましいですが、相続が発生した際の相談先もあらかじめ決めておくとよいと思います。家族構成や財産によって適切な相談先は変わりますから、例示を参考に、相談先を検討してみましょう。

事例①
青森県で80代の男性が死亡
家族は70代の妻と長男、二男
相続財産は普通預金約300万円と自宅の土地建物
自宅は倍率地域に所在
土地の固定資産評価額は300万円、家屋は300万円
葬式費用以外に負債はない
遺言はない
長男及び二男は相続放棄をしないが、不動産及び普通預金を取得する意思はない

これは当事務所への相談でよくある事例です。

まず、相続人を確認しましょう。
被相続人の配偶者が存命で、第一順位である被相続人の子がいるため、妻と子2人の計3人が法定相続人になります。

相続税の基礎控除額は(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)で算出します。
本事例における相続税の基礎控除額は4800万円になります。

相続税法には、財産評価に関する以下の条文が規定されています。

第二十二条 この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。

具体的な評価方法は、資産の種類ごとに財産評価基本通達に定められています。

例えば、預金は原則として、相続開始日現在の残高が評価額となります。
家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じて計算します。したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。

ここまでは問題ないと思います。難しいのは土地の評価です。

土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価し、評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示されます。

路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額に規定された倍率を乗じて計算します。

路線価図は毎年、国税庁から公表され、インターネットで閲覧することができます。

青森県の住宅地は路線価が定められていない地域があり、路線価が定められている地域でも価格は一般的に高くありません。従って、事例の資産状況で、土地がとても広くなければ、相続財産の基礎控除内で収まることが多いです。

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上記方法で評価した土地を含め、相続財産総額が相続税の基礎控除額を明らかに下回る場合は、相続税は申告が不要である可能性が高いといえるでしょう。

相続税の申告が不要な場合、死亡届の提出などを除いた主な相続手続きは、普通預金に関する手続きと、不動産の相続登記になります。

従って、本事例に類似する状況であれば、一般的には司法書士が相談先として適切でしょう。住んでいる地区の近隣に事務所を構える司法書士を調べておくとよいかもしれません。

いざ相続が始まった際に焦らないよう、事前に財産状況などを確認しておくことをお勧めします。

(記事は2020年6月1日現在の情報に基づきます)

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