目次

  1. 1. 遺産分割とは
  2. 2. 遺産分割の4つの方法
    1. 2-1. 現物分割
    2. 2-2. 代償分割
    3. 2-3. 換価分割
    4. 2-4. 共有分割
  3. 3. 遺産分割の手続きの流れ
    1. 3-1. 遺言書の有無を確認
    2. 3-2. 遺言書に従った遺産分割(遺言執行)
    3. 3-3. 遺産分割協議
    4. 3-4. 遺産分割調停
    5. 3-5. 遺産分割審判
  4. 4. 遺産分割でよくあるトラブル
    1. 4-1. 遺産分割協議への参加を拒否する相続人がいる
    2. 4-2. 特別受益や寄与分について意見が対立する
    3. 4-3. 不動産の分割方法について意見が対立する
    4. 4-4. 代償分割をしたいが、代償金を準備できない
  5. 5. 遺産分割を最初から最後までサポートできるのは弁護士

「遺産分割」とは、相続人間で遺産を分ける手続きを指します。遺言書に従って行う遺産分割と、相続人間の取り決め(協議、調停、審判)に従って行う遺産分割の2通りがあります。

遺言書がある場合は、原則としてその内容のとおりに遺産分割を行います。遺言書の内容を実現するという意味で、「遺言執行」と呼ばれることもあります。

これに対して、遺言書がない場合は、被相続人(以下「亡くなった人」)の遺産は相続人全員の共有となります(民法898条)。遺言書によって配分が指定されていない遺産があるケースも同様です。この場合、実際に遺産を相続する人を、相続人間の協議、調停、審判を通じて取り決めることにより、遺産の共有状態を解消します。

遺産分割の方法には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4種類があります。

遺産分割の4つの方法

「現物分割」とは、遺産を相続人間で物理的に分ける方法です。

預貯金、現金については、必ず現物分割を行います。また、土地を分筆したうえで、分筆後の土地を各相続人が取得する方法も現物分割に当たります。

このように、物理的に分けることが可能な遺産については、現物分割を行うことができます。これに対して建物など、物理的に分けることが不可能、または困難な遺産については、ほかの方法による遺産分割を行う必要があります。

「代償分割」とは、一部の相続人のみが遺産を取得し、その代わりにほかの相続人に対して代償金を支払う方法です。

たとえば不動産などの高額資産を一部の相続人のみが取得する場合に代償分割を行います。

特に建物など、物理的に分けることが不可能、または困難な遺産を処分せずに活用したい場合には、代償分割が有力な選択肢です。

また、土地は分筆(現物分割)も可能ですが、分筆によって細分化されて使い勝手が悪くなることを避けるために、代償分割が選択されるケースもあります。

「換価分割」とは、遺産を売却したうえで、代金を相続人間で分ける方法です。

換価分割も代償分割と同じく、物理的に分けることが不可能、または困難な遺産を分割する際に用いられます。典型的には、不動産や未公開株式などが換価分割の対象です。

換価分割を行うと、遺産そのものは手放さなければなりませんが、代金を相続人間で公平に分けやすいメリットがあります。

「共有分割」とは、遺産を複数の相続人の共有名義とする方法です。

たとえば、土地や建物などの不動産を複数の相続人が欲しがっている場合、共有分割が選択されることがあります。

ただし、遺産を共有状態のままにしておくと、売却や賃貸などに関して共有者間で意見が対立し、トラブルに発展しやすい傾向にあります。そのため、基本的には共有分割ではなく、ほかの分割方法を検討することをお勧めします。

【関連】不動産を遺産分割する4つの方法 共有したら注意点も

亡くなった人の死亡から遺産分割が完了するまで、大まかな手続きの流れは以下の図のとおりです。弁護士に相談すれば、すべての手続きについて代理及びサポートをしてもらえます。

遺産分割の手続きの流れ
遺産分割の手続きの流れ

遺言書の有無によって、遺産分割協議の要否や、その対象となる遺産の内容が大きく変わります。そのため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書は、亡くなった人の遺品を探せば見つかることがあります。自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合は検認が必要ですので、家庭裁判所で手続きを行いましょう。

【関連】自筆証書遺言に必要な家庭裁判所の検認手続き 流れや注意点のまとめ

公正証書遺言の正本や謄本が見つかった場合、原本は公証役場に保管されています。作成者の公証人が所属する公証役場へ連絡を取りましょう。

なお、自筆証書遺言は、法務局の遺言書保管所で保管されている場合もあります。相続人などが遺言書保管所から通知を受け取った場合は、速やかに遺言書の内容を確認しに行きましょう。

【関連】公正証書遺言とは? 作成の手順、費用、メリットを解説

また、遺品から遺言書が見つからなくても、公証役場に公正証書遺言の原本が保管されていることがあります。

最寄りの公証役場の遺言検索を利用すれば、全国の公証役場で保管されている公正証書遺言を探すことができますので、念のため確認してみましょう。

遺言書がある場合は、原則として遺言書に従った遺産分割を行います。

遺言執行者が指定されている場合はその者が、指定されていない場合は相続人と受遺者(相続人以外に遺言によって遺贈、遺贈を受ける人や法人)の全員が、遺言内容に従って名義変更などの手続きを行いましょう。

ただし、以下に挙げる場合など、遺言書が無効になるケースもあります。

主な例

  • 遺言書が民法所定の方式に従って作成されていない場合
  • 遺言書の内容が不明確な場合
  • 遺言書の内容が公序良俗に反している場合
  • 遺言者に遺言能力がなかった場合

遺言書が無効になれば、相続人全員で遺産分割を行わなければなりません。

なお、相続人全員の合意があれば、遺言書とは異なる方法による遺産分割も可能です。

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺言書によって分割方法が指定されていない遺産がある場合や、遺言書が無効となった場合にも、同様に遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議には相続人全員が参加し、話し合って遺産分割の方法を決めます。

合意が成立したら、その内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名押印して締結します。遺産分割協議書は、不動産の相続登記手続きや金融機関での相続手続きなどで必要になります。

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【関連】遺産分割協議書の必要書類一覧! 取り寄せ方法や遺産分割協議書の提出先、相続手続きを解説

遺産分割協議が難航した場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。

<申立先>
ほかの相続人のうち1人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所

<申立書類>

  • 申立書(原本:1通、写し:相手方の人数分)
  •  亡くなった人の出生時から死亡時までの、すべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の住民票または戸籍附票
  • 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写しなど)

など

【関連】遺産分割調停とは? 流れから有利に進める方法、やってはいけないことを弁護士が解説

遺産分割調停では、調停委員の仲介により、引き続き遺産分割についての話し合いを行います。裁判官が提示する調停案にすべての相続人が同意すれば調停成立となり、調停調書が作成されます。

遺産分割調停が不成立となった場合は、家庭裁判所が審判によって結論を示します。調停手続きから自動的に審判手続きへと移行するため、申立などは不要です。

審判の内容は、遺産分割調停の経過や、当事者が追加で提出した資料などを総合的に考慮して決定されます。各相続人が取得する遺産額は、法定相続分を基準に決定されるのが原則です。

【関連】家庭裁判所の遺産分割審判とは? 調停との違いや申立て方法を解説

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遺産分割の際には、以下のようなトラブルがよく見られます。もしご自身での解決が難しければ、早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

遺産分割協議は、相続人全員の参加が必須です。参加していない相続人が1人でもいる場合は、遺産分割が無効となってしまうので注意してください。

もし一部の相続人が遺産分割協議への参加を拒否している場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。最終的には遺産分割審判の結果に従い、有効に遺産分割を行うことができます。

なお、一部の相続人が行方不明の場合には、不在者財産管理人の選任を請求する必要があります(民法25条1項)。遺産分割に関する権限を与えられた不在者財産管理人は、行方不明の相続人に代わって、遺産分割協議に参加することができます。

特別受益や寄与分は、遺産分割において特に揉めやすい論点です。

① 特別受益
相続人が亡くなった人から特別に受けた遺贈や贈与です。特別受益のある相続人に相続分は減る一方で、ほかの相続人の相続分は増えます。

② 寄与分
相続財産の維持や増加に貢献した相続人に認められます。寄与分のある相続人の相続分は増える一方で、ほかの相続人の相続分は減ります。

特別受益や寄与分に関する協議は水掛け論になりやすいので、解決が難しければ、家庭裁判所の判断に結論を委ねることが有力な選択肢です。

土地と建物といった不動産は高額資産であるため、分割方法について相続人間で意見の対立が発生しがちです。特に亡くなった人が住んでいた実家の土地と建物については、思い入れの強さからトラブルに発展してしまうケースがよくあります。

不動産の分割方法で揉めてしまった場合、最終的には家庭裁判所の審判で解決しますが、話し合いを尽くしたうえで、すべての相続人にとって良い形を模索することが望ましいでしょう。

不動産などを代償分割する場合、代償金の資金調達方法が問題になります。特に対象財産が高額の場合は、代償金も高額になるため、資金調達が難航するケースも想定しなければなりません。

代償金を準備できなければ代償分割はできないので、何とか資金調達の目処を立てるか、別の方法を検討する必要があります。

【関連】代償分割で現金がないときの解決方法は? 代替手段の選択肢を解説

下の図のとおり、相続についての相談先は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士など、複数の選択肢があります。

相続について各士業が対応できる業務内容
相続について各士業が対応できる業務内容

そのなかでも、遺産分割トラブルの解決を取り扱うことができるのは弁護士のみです。そのほかにも、相続に関連する手続きであれば、ほとんどすべてを弁護士に任せることができます。

【関連】相続の相談先はどこがいい? 弁護士、司法書士、税理士に相談できる内容と探し方

特に、相続人間で対立が生じる可能性が少しでもある場合は、最初から弁護士に相談するのがお勧めです。相続手続き全般について、一貫したサポートを受けられるメリットがあります。相続会議のサービスには全国の弁護士を検索できるものがありますので、このサービスを活用して、ぜひ信頼の置ける専門家を探してみてください。

(記事は2022年10月1日時点の情報に基づいています)