目次

  1. 1. 遺産相続に必要な手続きの期限
  2. 2. 【3カ月】相続放棄、限定承認の期限
    1. 2-1. 相続放棄、限定承認とは
    2. 2-2. 相続放棄や限定承認を検討すべきケース
    3. 2-3. 熟慮期間は3カ月
  3. 3. 【4カ月】準確定申告の期限
    1. 3-1. 準確定申告をすべきケース
    2. 3-2. 準確定申告の期限の延長は原則できない
  4. 4. 【10カ月】相続税の申告・納付の期限
    1. 4-1. 相続税の申告期限までに納税資金の準備が間に合わないときの対処法|延納と物納
    2. 4-2. 相続税の申告期限までに遺産分割や財産評価が間に合わないときの対処法
    3. 4-3. 相続税の申告期限が延長される特別な場合
  5. 5. 【1年】遺留分侵害額請求の期限
    1. 5-1. 遺留分侵害額請求とは
    2. 5-2. 遺留分侵害額請求の手続き
  6. 6.【3年】相続した不動産の名義変更(相続登記)
  7. 7. 【3年】生命保険金の請求期限
    1. 7-1. 遺産分割、相続税制上の取り扱い
    2. 7-2. 請求期限を過ぎてしまいそう/過ぎてしまった場合の対応
  8. 8. 【5年10カ月】相続税の還付
  9. 9. 遺産分割協議など特に期限のない相続手続き
    1. 9-1. 遺産分割協議・調停・審判
    2. 9-2. 遺言書の検認
  10. 10. 相続に関する手続きの期限が過ぎた場合のペナルティ・デメリット
  11. 11. 相続手続きを期限内に終わらせるためのポイント
  12. 12. 死亡に伴って発生する行政・生活関連の手続き
  13. 13. 相続手続きの期限一覧表
  14. 14. まとめ 相続手続きは弁護士、司法書士、税理士に相談を

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身近な方が亡くなってから、様々な相続に関連する手続きが発生します。これらは大きく分けて、「相続財産の承継に関する手続き」と、「死亡に伴って発生するその他の行政・保険・生活関連の手続き」の2種類があります。

まず、「相続財産の承継に関する手続き」について解説します。

手続き期間の起算日となるのは、主に「被相続人の死亡日」と「相続の開始を知った日」の2つです。通常はこの2つは同じ日ですが、被相続人と疎遠になっていたなどの事情で被相続人の死亡を知るのが遅くなったときは、異なる日になることがあります。

以下は、それぞれの手続きの期限や、起算日、期限が過ぎた場合の不利益、対処方法などを一覧でまとめましたので、参考にして下さい。

【相続財産の承継に関する手続きの一覧表】
手続き 期限 起算日 期限をすぎた場合の不利益 延長・救済制度
相続放棄・限定承認 3カ月以内 相続の開始を知った日 単純承認とみなされ、
借金も全て相続する
熟慮期間の伸長(延長)の
申し立て
準確定申告 4カ月以内 相続の開始を知った日の翌日 加算税・延滞税 災害など特別の事情が
ある場合のみ
相続税の申告・納付 10カ月以内 相続の開始を知った日の翌日 加算税・延滞税     ・延納や物納
    ・仮の申告
遺留分侵害額請求 1年以内
(相続の開始と遺留分の
侵害を知らなかった時は10年以内)
相続の開始と遺留分の侵害を
知った日
請求権が時効消滅 時効成立前に遺留分を請求すると
時効が止まる
不動産の相続登記 3年以内 相続で不動産を取得したことを
知った日
10万円以下の過料 相続人である旨を
法務局に申告することにより、
登記義務を果たしたことになる
生命保険金の請求 3年以内(かんぽ生命は5年以内) 被保険者の死亡日の翌日 請求権が(時効)消滅 保険会社への支払い催告や
請求によって、
6か月間引き延ばす
相続税の還付請求 5年10カ月以内
(相続税の申告期限から5年以内)
相続の開始を知った日の翌日 還付を受けられなくなる 無し
遺産分割 10年経過後には一定の制限がかかる
(遺産分割そのものに期限は無い)
相続の開始を知った日 寄与分や特別受益の主張が
できなくなる
無し
    

遺産相続の手続きで不安があれば、弁護士や税理士、司法書士などに早めに相談しましょう。無理に自分でやろうとすると期限に間に合わず、取り返しのつかないことになる可能性があります。

以下の章から、それぞれの手続きの期限や対処方法を個別に説明します。

相続放棄と限定承認の期限は「相続の開始を知った日から3カ月」です。相続人の確定、財産の調査が終わると、相続人は下記の3つの中から相続方法を選びます。

  • 単純承認
  • 相続放棄
  • 限定承認

単純承認は、借金などのマイナスの財産も含めて被相続人の財産をそのまま相続することです。相続放棄や限定承認の手続きをせずに3か月の期限を経過すると自動的に単純承認をしたことになります。

相続放棄とは、相続人の地位を捨てて資産も負債も一切承継しないことです。相続放棄した人は不動産や預貯金などの資産、借金や未払い税などの負債を一切相続しません。

限定承認は、相続財産の範囲で負債を相続することです。限定承認した場合、資産から負債を差し引いて残りがあれば相続しますが、マイナスになった場合には相続しません。

相続放棄をするためには家庭裁判所で「相続放棄の申述」、限定承認をするためには家庭裁判所で「限定承認の申述」を期限内に行う必要があります。

【関連】相続放棄は自分でできる? 手続きや注意点、専門家に依頼すべきケースを解説

相続放棄や限定承認を検討すべきケースについて一例を挙げます。

【相続放棄を検討すべきケース】
・明らかに債務超過(貯金などのプラスの遺産より、借金などマイナスの遺産の方が多い)
・特定の相続人に遺産を集中したい場合

【限定承認を検討すべきケース】
・債務超過か資産超過か分からないが、資産超過なら相続したい場合

相続方法を判断するには、「誰が相続人となるのか(相続人調査)」「どのような遺産があるのか(相続財産調査)」をしっかりと把握する必要があります。単純承認したあとで思わぬ負債が見つかっても、相続放棄や限定承認を選択することはできません。被相続人に離婚歴があって思わぬ相続人が現れると想定よりも相続分が減ることも考えられます。

このように相続人がどのような相続方法を選ぶのかの期限は相続の開始を知った日から3カ月となっており、この期間を「熟慮期間」といいます。熟慮期間とは、相続人が被相続人の遺産や債務等を調査し、どの承認方法を選択すべきか熟慮するための期間です。

ただし、相続財産の構成が複雑で調査に時間がかかるなど、やむを得ない事情がある場合には、家庭裁判所に「熟慮期間伸長の申立て」を行うことで、3カ月を超えても相続放棄や限定承認が認められることがあります。ただし、熟慮期間伸長の申し立ては、3カ月の期限内に行う必要がある点には注意が必要です。

また、相続順位によっては、期限の起算日が異なってきます。次順位以降の相続人の場合には「先順位の相続人が相続放棄して自身が相続人となったことを知ってから3カ月」が期限となります。詳しくは下記の記事をご参照ください。

【関連】相続放棄の熟慮期間とは? 3カ月過ぎたら「上申書」が有効 書き方を解説

準確定申告とは、被相続人の代わりに相続人が行う確定申告です。確定申告をするべき人が死亡した場合には、相続人が準確定申告をしなければなりません。

相続人が「相続開始を知った日の翌日」から4カ月が期限となり、この期限を過ぎてしまうと延滞税が発生します。しかし、被相続人に申告する所得がない場合には準確定申告の手続きは不要です。

相続人が準確定申告をすべきケースは以下の通りです。

  • 被相続人が事業を営んで確定申告していた場合
  • 被相続人に副収入があり確定申告義務があった場合
  • 被相続人の給与額が2000万円以上となっており、確定申告義務があった場合
  • 被相続人が確定申告によって還付金を受けられる場合

準確定申告の詳しい手続きや注意点は下記の記事をご参照ください。

関連記事:準確定申告の手続き、注意点をプロが解説 必要書類も

準確定申告の期限は、原則として延長できません。相続人が多忙であったり、書類の準備が間に合わないといった理由では、期限を伸ばすことは認められません。

ただし、災害や感染症の拡大など、国税庁が特例を設けた場合には、提出期限の延長が認められることがあります。また、期限内にやむを得ず申告ができなかった場合でも、できるだけ早く提出することで、延滞税の負担を抑えられます。

相続税の申告や納付は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」に行う必要があります。申告だけではなく、納税までこの期限内にしなければなりません。期限以内に申告と納税をしないと、税金滞納状態になってしまいます。

遅延日数に応じた延滞税(利子税)がかかり、税額が高額になります。税務署からも督促を受けるでしょう。放置していると、最終的に財産を差し押さえられる可能性もあります。

相続税は期限内に現金でかつ一括で納付する必要があります。しかし、どうしても期限内に納められない方は「延納」や「物納」という方法を利用できる可能性があります。

延納とは、相続税を将来にわたって分割払いする方法です。延納を利用できるのは以下の4つの要件を満たす場合に限られます。

  1. 相続税額が10万円を超える
  2. 金銭で納付するのが困難
  3. 延納税額と利子税額に相当する担保を提供する(ただし延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合、担保は不要)
  4. 相続税の納付期限または延納申請期限までに、延納申請書に担保提供関係書類をつけて税務署長に提出する

物納は、延納でも税金の支払いが困難なケースにおいて、土地などの「物」で直接相続税を納付する方法です。

相続税の申告期限までに相続人間で遺産の分け方について話し合いがまとまらず、遺産分割が終わらないケースがあります。また相続財産が多くて調査が間に合わず、財産評価が完了しないケースもあります。

上記の事情があったとしても、相続税は申告期限までに納付しなければなりません。ただし、次のような対処法があります。

【遺産分割が間に合わない場合】
相続人全員が「法定相続分どおりに相続した」と仮定して、相続税を計算して申告・納税します。いわば仮の相続税申告で、これを未分割申告といいます。

未分割申告を行う場合には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。未分割申告で特例の適用を受けるには、申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出したうえで、3年以内に遺産分割を完了させる必要があります。そのうえで、遺産分割から4カ月以内に更正の請求を行うと、特例の適用が受けられます。

【相続財産の財産評価が間に合わない場合】
財産評価が間に合わない財産については概算の評価額で相続税の申告・納付をします。概算の評価額に基づいて納めた相続税額が実際の相続税額より少なかった場合には、足りなかった分について延滞税や過少申告加算税が課される可能性があるため、概算の評価額は高めに申告しておくのが良いでしょう。

実際の相続税額より多く納めていた分については、「更正の請求」によって還付を受けることができます。

相続税の申告・納付期限は原則延長できません。しかし、下記のような特別の事情がある場合に限り、最長2カ月の延長が認められます。

  • 災害やそれに類する事情により申告準備が困難な場合
  • 申告期限1カ月以内に退職金などの支給額が確定した場合
  • 相続人となる胎児がいる場合

延長を希望する場合は、申告・納付等の期限延長申請書を税務署に提出します。なお、延長が認められても、従来の期限と同じく申告書の提出期限が納付期限となるため、申告書の提出と納税は同時に行う必要があります。

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相続人には、相続できる最低限の財産が法律で保障されています。これを遺留分といいます。遺留分に関する手続きにも期限があるので、概要や期限について説明します。

相続が発生したとき、「遺留分侵害額請求」ができるケースがあります。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。遺言や生前贈与などによって遺留分を侵害されると、侵害された相続人は侵害者に対し「遺留分侵害額請求」ができます。

この遺留分侵害額請求権にも期限があるので注意しましょう。「相続開始と遺留分侵害の事実」を知ってから1年以内に請求しなければ権利が消滅してしまいます。たとえば「父が死亡したこと」と「不公平な遺言書が遺されていたこと」の両方を知ったときから1年をカウントします。

また「相続開始から10年」が経過したときにも遺留分侵害額請求権が消滅します。この場合、相続人が「不公平な遺言や贈与」があったことを知らないままでも遺留分侵害額請求ができなくなります。不公平な遺言や贈与に納得できないなら、早めに遺留分侵害額請求を行いましょう。

遺留分侵害額請求をするときには、内容証明郵便を使って侵害者へ「遺留分侵害額請求書」を送りましょう。これを1年の期限内に行えば、遺留分侵害額請求権が守られます。請求さえ行っておけば、実際の金銭支払が1年以内に完了する必要はありません。

通知書を送っても無視される場合には、家庭裁判所で遺留分侵害額請求調停を申し立てましょう。それでも解決できなければ、最終的に地方裁判所で遺留分侵害額請求訴訟を提起して支払いを求めます。

遺留分について詳しくは下記の記事で解説していますので参照してください。

【関連】遺留分とは|最低限もらえる相続分 請求できる人・割合・計算方法・時効をわかりやすく解説

不動産の相続登記については、民法改正によって2024年4月1日から義務化され、期限が設けられました。基本的に「自分が相続や遺贈によって不動産を取得したことを知ってから3年以内」に相続登記をしなければなりません。正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料が科せられることになります。

ただし、次のような事情がある場合は期限までに相続登記しない「正当な理由」があるものとして、過料が科せられない可能性があります。

  • 相続人間で、遺言の有効性や不動産が遺産に含まれるかなどに関して争いが起きている
  • 登記義務を負う相続人が事故や病気で入院しているなどの事情がある
  • 登記義務を負う相続人が経済的理由で申請費用を用意できない

また、遺産分割の話し合いが進まずに相続登記が間に合わない場合、自分が相続人である旨を法務局に申告することによって、登記義務を果たすことになる「相続人申告登記」と呼ばれる制度もあります。もっとも、相続人申告登記をしたから「もう登記しなくていい」というわけではなく、遺産分割協議が成立した時点から3年以内に、その内容を登記しなければなりません。

なお、相続登記の義務化の規定は、それ以前に相続した人にも適用されます。したがって、過去に相続した不動産についても、施行日の2024年4月1日から3年以内(2027年4月1日まで)に相続登記をしなければなりません。

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被相続人が生命保険に入っていたら、指定された受取人が死亡保険金を受け取れます。生命保険金の請求権には「被保険者の死亡日の翌日から3年」(かんぽ生命の場合は5年)の時効があります。死後、忙しいからといって請求せずに放置していると時効によって保険金を受け取れなくなる可能性があるので、注意しましょう。また3年以内なら請求できるので、死後しばらく経ってから保険に加入していたことを知った場合でも手続きすれば保険金を受け取れます。早めに保険会社へ連絡しましょう。

死亡保険金は遺産分割の対象になりません。指定された受取人が単独で受け取れて、他の相続人へ分配する必要はありません。ただし「みなし相続財産」として、相続税は課税されるので注意しましょう。死亡保険金を相続する場合「法定相続人数×500万円」の控除が適用されますが、控除額を超える保険金を受け取った場合には相続税がかかります。

請求期限(時効期間)が近い場合は、保険会社への書面による支払い請求(催告)をすることで6か月間は時効を止めることができます。請求書類の準備が間に合わないときでも、内容証明郵便などで請求の意思を保険会社に伝えておきましょう。

また、請求期限を過ぎても直ちに請求できなくなるわけではなく、保険会社が時効によって請求権が消滅したことを主張(時効の援用)した場合に限り保険金を請求する権利がなくなります。そのため、請求期限を過ぎていても、受取人が契約の存在を知らなかった場合などは保険会社の判断で時効を主張されることなく、保険金が支払われるケースもあります。期限が過ぎてから保険金の存在が発覚した場合でも、あきらめずに保険会社に連絡してみるべきです。

相続税を払いすぎた場合には、税務署への申告により還付を受けられます。還付される可能性があるのは以下のようなケースです。

  • 不動産の評価を誤った
  • 特例や控除を適用せずに計算した
  • 自分で相続税を計算して間違えた
  • 相続税計算に詳しくない税理士に依頼してミスが発生した

相続税の還付請求の期限は、相続税の納付期限後5年間です。つまり「相続開始を知った日の翌日から5年10カ月間」が還付請求の期限となります。この期限を過ぎた場合、相続税を払い過ぎていたとしても、還付を受けることはできなくなります。延長するための制度もありません。

相続税を払いすぎた可能性がある場合、早めに相続税に詳しい税理士に相談をして還付請求の手続きを進めましょう。

これまでは期限がある相続手続きを解説してきましたが、法律上、特に期限の定められていない相続手続きもあります。

  • 遺言書の検認
  • 遺産分割協議・調停・審判

ただし、期限がないからといって放置したときの不利益がないわけではありません。財産の凍結が続いたり、税制上の優遇措置が受けられなくなったりすることがあります。できるだけ早めに進めるのが安心です。

相続財産について相続人間でどのように分けるかを決定する遺産分割協議や調停、審判には法定の期限がありません。とはいえ、これらがまとまらないと、故人の預貯金の払い戻し、相続税の節税につながる特例適用(配偶者控除・小規模宅地等の特例など)、不動産の相続登記などができません。

また、遺産分割手続きが終わらないからといって、相続税の申告期限内に申告をする義務が免除されるわけではありません。

なお、相続開始から10年以上経過してから遺産分割を行うと、特別受益や寄与分の主張が原則できなくなり、法定相続分または遺言があるときはその指定相続分で遺産分割を行うしかなくなります(民法904条の3)。

遺言書の検認そのものには期限がありませんが、検認をしないままだと不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどができません。検認には1カ月程度かかります。

それぞれの手続き期限が過ぎた場合のデメリットについて、改めて紹介します。

【相続税の加算税・延滞税】
相続税の申告・納付を期限までに行わないと、無申告加算税・重加算税(不正がある場合)および延滞税が課されます。加算税の区分と税率は事実関係や是正の時期で異なるため、税務署・専門家へ確認してください。

【相続税の軽減制度や特例の適用遅延/不可】
被相続人の配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例は、期限内申告までに遺産分割が未了だと原則適用できません。もっとも、未分割申告をしておけば、後日分割が整った段階で適用できる場合があります。

【相続登記の義務違反による過料】
2024年4月1日以降、相続登記は「取得を知った日から3年以内」に申請することが義務化されました。正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料の対象となります。遺産分割が未了で遅れる場合は相続人申告登記を検討しましょう。

【相続が長引くことによる複雑化】
相続手続きが長引いたまま次の相続人が亡くなると、一次相続と二次相続が重なり申告や遺産分割の手続きなどが複雑化します。相続関係者が増えることで合意形成もさらに難しくなるでしょう。結果として、さまざまな手続きがさらに遅延して不利益が連鎖しやすくなります。

相続を滞りなく進めるポイントは以下の通りです。

  • 遺言書の有無の確認:遺言があれば遺言執行の段取りへ。無ければ相続人の確定と遺産分割協議へ
  • 財産調査の早期着手:資産・負債・保険・年金・未払の洗い出し
  • 期限管理:各手続きの期限を確認。起算日の違いに注意
  • 遺産分割の合意形成を開始:相続人間で「公平感」のある分割案で合意を目指すことが大事。話し合いが難航するなら家裁の調停を検討する。弁護士への依頼も有効

相続手続きは煩雑になりやすいため、必要に応じて専門家の助力を得るのが安全です。

死亡により発生する手続きは、相続財産の承継とは別に、役所・保険・年金・ライフラインなどで多数生じます。多くは起算日と期限が定められ、遅れるとさまざまな不利益が発生します。以下の表を参考に全体像を把握し、自治体・年金機構・保険会社などに問い合わせて要件を確認しながら、優先度の高いものから順に処理してください。

手続き名 起算日 期限 期限経過の不利益
死亡届の提出 死亡の事実を知った日 7日以内
(国外死亡は3か月以内)
5万円以下の過料
火葬許可申請書 死亡の事実を知った日 7日以内 許可がないと火葬できない
国民健康保険資格喪失届 死亡日 14日以内
(自治体により異なる場合がある)
給付が不正受給になるおそれがある
介護保険資格喪失届・保険証返却 死亡日 14日以内
(自治体により異なる場合がある)
給付が不正受給になるおそれがある
世帯主変更届 世帯主の死亡日 14日以内 住民記録が不整合になり、
行政・保険・税手続に支障が出る
葬祭費・埋葬料の請求 葬祭日・埋葬日の翌日 2年以内 時効で請求できなくなる
年金受給停止の届出 死亡の事実を知った日 厚生年金は10日以内、
国民年金は14日以内
給付が不正受給になるおそれがある
未支給年金の請求 死亡翌日 5年以内 時効で請求できなくなる
遺族年金・死亡一時金の請求 死亡翌日 5年以内 時効で請求できなくなる
公共料金・電話・NHK等の名義変更 法定期限無し 料金滞納・停止、清算・解約が遅延し
生活上の支障
銀行口座の凍結・解約 法定期限無し 口座凍結で引き出し・支払い不能/
10年で休眠預金扱い

以下は、これまで説明してきた手続きの期限の一覧表です。時系列順に紹介していますので、参考にして下さい。

親や家族が亡くなった後の主要な手続き。期限が設けられているものが多い
親や家族が亡くなった後の主要な手続き。期限が設けられているものが多い

遺産相続の手続きで迷ったら、すぐに専門家に相談しましょう。自分でできると思ってぎりぎりまで頑張ってしまうと、相談したときには期限に間に合わないおそれがあるためです。

たとえば相続放棄、限定承認の期限を過ぎると単純承認が成立し、借金を含めて全部相続せざるを得なくなります。

遺留分侵害額請求、死亡保険金などの期限を過ぎると権利行使ができなくなります。準確定申告、相続税の申告を怠ったら延滞税がかかって滞納処分(強制執行)を受けるおそれがあります。

こうしたペナルティーが発動されてから専門家に相談しても、取り返しがつかないケースが多いので、なるべく早めに相談してみてください。

相続手続きには期限つきのものがたくさんあります。放っておくとトラブルのもとになってしまいます。すべての相続手続きをスムーズに終えるには、専門家によるサポートが必要となるでしょう。

相続放棄や遺留分侵害額請求などの相続トラブルは弁護士、相続登記は司法書士、税金関係は税理士に相談し、滞りなく相続手続きを終わらせましょう。

(記事は2025年12月1日時点の情報に基づいています)

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