目次

  1. 1. 二次相続とは 1度目の相続との違いとは
  2. 2. 二次相続では、相続税が増えてしまう
    1. 2-1. 法定相続人が減るため、基礎控除額が減少する
    2. 2-2. 死亡保険金と死亡退職金の非課税限度額が減る
    3. 2-3. 配偶者控除が使えなくなる
    4. 2-4. 配偶者がもともと所有していた財産が合算される
    5. 2-5. 小規模宅地等の特例の適用条件が厳しくなる
  3. 3. 二次相続でどれくらい税額が増えるのか? 早見表で確認
  4. 4. 二次相続への備えと対策
    1. 4-1. 生前贈与の活用
    2. 4-2. 一次相続の遺産分割協議で、二次相続を想定した話し合いを
    3. 4-3. 一次相続の段階で、できるだけ多くの遺産を子に相続させる
    4. 4-4. 小規模宅地の特例を、2次相続でも利用できるようにする
    5. 4-5. 一次相続で資産性の高い財産を、子どもに相続させる
    6. 4-6. 二次相続特有の「相次相続控除」を活用する
  5. 6. まとめ 二次相続の相続税対策は税理士にご相談を

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相続税の問題は、一般的には両親の死亡に伴って生じます。したがって、父と母、それぞれが死亡したときに相続の問題が起きることになります。この2度の相続のうち、一般的に1度目を「一次相続」、2度目を「二次相続」といいます。

一次相続と二次相続の違いは、相続人の構成にあります。通常は、一次相続の相続人は「配偶者と子」、二次相続の相続人は「子」となりますから、遺産を分配する当事者が変わります。一次相続と二次相続の違いは、主に相続税申告の場面で出てきます。

二次相続では、一次相続よりも相続税が増えるため注意が必要です。理由は次の通りです。

  • 法定相続人が減るため、基礎控除額が減少する
  • 死亡保険金と死亡退職金の非課税限度額が減る
  • 配偶者控除が使えなくなる
  • 配偶者がもともと所有していた財産が合算される
  • 小規模宅地等の特例の適用条件が厳しくなる

それぞれの詳細について見ていきましょう。

相続税の基礎控除額は、相続税の課税価格から差し引けるもので、「3,000万円+(600万円✕法定相続人の数)」という計算式で求められます。つまり、法定相続人の数が多ければ多いほど、基礎控除額は大きくなり、相続税額を減らすことができます。なお、課税価格とは、相続財産などプラスの財産から、債務や葬儀費用などを差し引いたものです。

一次相続と二次相続を比べると、配偶者がいなくなる分、法定相続人の数が少なくなるため、基礎控除額が減ります。従って、課税価格が同じと仮定すると、二次相続のほうが相続税額が増えてしまいます。

死亡保険金と死亡退職金については、それぞれ法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額が設けられています。たとえば、一次相続で妻と子1人が法定相続人の場合、非課税枠は1,000万円ですが、二次相続は法定相続人が1人だけですから、非課税枠は500万円です。これも相続税の上昇につながります。

さらに影響が大きいと考えられるのが、「相続税の特例」への影響です。その一つが配偶者控除で、一次相続と二次相続で違いが出てきます。

配偶者控除については、被相続人(亡くなった人)の配偶者が相続した遺産のうち、課税対象となる額が、「1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までであれば、相続税がかからないというものです。大きな節税効果のある特例です。

例えば、この特例を使って、一次相続で夫の全財産を妻に相続させれば、一次相続で相続税をゼロ円にできるかもしれません。しかし、二次相続では、この特例は使えないため、相続税が割高になってしまいます。

現役時代に働くなどして自らの貯金を持っている妻が、配偶者控除を活用し、亡くなった夫の財産の大半を相続税ゼロ円で引き継いだとします。この場合、二次相続では、一時相続で夫から引き継いだ財産と妻の財産が合算されるため、遺産額が多くなる可能性があります。遺産額が増えれば、税率も高くなっていくため、相続税額が大きく増える恐れがあります。

一次相続で配偶者控除を使って大幅に相続税を節税すると、次の二次相続で子どもらの税負担が大きくなってしまう可能性があります。二次相続を見据えた相続税対策をしたい人は税理士に相談しましょう。

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小規模宅地等の特例についても注意が必要です。この特例は、相続開始の直前において、被相続人や、被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が、事業用または居住用に使っていた宅地等を、最大で80%評価減できるというものです。

一般的なケースとしては、被相続人が居住していた宅地等を、親族が相続するケースでしょう。このときに問われるのが、「配偶者が取得するのか、その他の親族が相続するのか」という点なのです。

配偶者が相続した場合は、小規模宅地等の特例で必ず評価額を80%減とすることができます。ところが、配偶者以外の親族が相続した場合は、追加の条件が設けられているのです。
もし、「被相続人と生計を一にしていた親族」が相続するのであれば、相続開始前から相続税の申告期限まで、引き続きその家に居住し、所有している必要があります。

そして、配偶者でも、被相続人と生計を一にしていた親族でもない、「その他の親族」が相続する場合、さらに条件が厳しくなります。たとえば、自分の持ち家に居住したことのある親族が相続した場合、特例の対象から外れてしまいます。

つまり、実家から離れた場所で暮らす子が相続した場合や、同居をしていても被相続人の死亡後すぐに転居をしたような場合、もともと自己所有の家に住んでいた親族が相続する場合など、二次相続では小規模宅地等の特例を使えないケースが生じやすいのです。

このように、一次相続と二次相続では、相続税を計算する際の前提条件が変わることに注意が必要です。相続財産の分割を考えるときは、一次相続だけでなく、二次相続のことも踏まえて検討をすることをお勧めします。

一次相続の段階で配偶者に最大限の財産を相続すれば、配偶者控除などの効果で納税額は少なくなります。しかし、その分、二次相続の税負担が重くなります。これは、相続税の納税を先延ばしにするという効果はあるものの、抜本的な節税にはなっていないということです。

このことを理解するために、以下の早見表を見てください。これは、両親と子1人の家族構成とし、一次相続と二次相続でどれくらいの税額の変化があるのかを示したものです。なお、一次相続については、法定相続分にしたがって、妻と子で50%ずつ相続し、配偶者控除を適用しています。小規模宅地等の特例や、相次相続控除など、他の要素は加味していません。

一次相続と二次相続での相続税額の違い

実際の相続においては、死亡保険金・死亡退職金や、小規模宅地等の特例の影響も生じますので、上記の表よりもさらに大きな差が出る可能性も考えられます。

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それでは、二次相続への備えとして、どのようなことに注意すべきなのでしょうか?対策を紹介します。

一つは「生前贈与」を活用するという方法が考えられます。贈与税の原則的な課税方式である暦年課税制度では、年間110万円までの生前贈与は非課税となります。

たとえば一次相続のときに配偶者が1,000万円の遺産を相続したとして、その後10年にわたって年間100万円ずつ生前贈与をすれば、贈与税はかかりませんし、二次相続の時点で子に財産が移転しているわけですから、相続税もかかりません。

ただし、生前贈与された財産でも、相続開始前3年以内に贈与されたものは相続税の対象となるため、早めに動くことが肝心です。そもそも一次相続と二次相続のタイミングが近い場合は、このような対策を使うことができません。

なお、2023年度の税制改正大綱で見直しがあり、相続税の対象となる期間が「3年」から「7年」になることが決まりました。また、暦年課税制度ではなく相続時精算課税制度を選択した場合も年間110万円の基礎控除の枠が加わることも決定しています。これらの改正は、2024年1月1日以降にした贈与から適用されます。

繰り返しになりますが、2次相続特有の問題に備えるには、1次相続の段階で、2次相続まで見据えた戦略を立てることが大切です。特に配偶者控除を利用する時は注意が必要です。いくら一次相続で相続税がゼロ円になっても、二次相続を含めたトータルの税額が高くなる恐れがあります。遺産分割協議では二次相続を見据えた話し合いをして、適切な対策をとる必要があります。

また、二次相続の遺産分割をスムーズに進めるためにも、一次相続の遺産分割協議の段階で二次相続を見据えることをおすすめします。一次相続の際は、存命の父母のいずれかがまとめ役になるため、スムーズに話し合いが進むかもしれません。しかし、子だけで遺産分割協議を行う二次相続ではそうはいきません。遺産分割協議がまとまらないと、そもそも小規模宅地等の特例を使うことができなくなってしまいますので、注意が必要です。

配偶者に、今後の生活に費用となる十分な金額を相続させた上で、それを超える分については子どもに相続させれば、二次相続で割高に相続税が計算されるリスクを減らすことができます。ただし、配偶者にいくら残せば十分かについては、それぞれのライフスタイルもありますので、慎重に検討が必要です。

小規模宅地等の特例については、1次相続だけなく、2次相続でも活用できるようにしましょう。1次相続のときは配偶者が相続し、2次相続のときに取得者としての要件を満たす親族が相続すると、特例を2度にわたって利用できます。

関連:小規模宅地等の特例を受けるには? 同居の有無などポイントを税理士が解説

財産によっては、賃貸住宅や株式、投資信託のように、相続後に収益を生むものがあります。このような財産を配偶者が相続した場合、毎月の家賃収入や配当金などが蓄積し、二次相続のときに相続税が多くなる恐れがあります。

さらに、このような財産の資産価値は大きく変動することがあり、二次相続のときの相続税評価額が想定外に高くなる可能性もあります。そうしたことを考えると、「配偶者には生活費として必要な金額を預金で残し、賃貸住宅や金融商品は子どもに残す」といった分け方が無難と言えます。

二次相続のときにだけ使える措置を活用する方法があります。それが「相次相続控除」です。相次相続控除を受けられる人は、次のすべての条件に当てはまる場合に限られています。

  1. 被相続人の相続人であること(相続放棄をした人や、相続権を失った人は対象外)
  2. 二次相続の開始前10年以内に一次相続により財産を取得したこと
  3. 一次相続の際に、相続税が課税されたこと

相次相続控除で差し引かれる税額の計算は複雑ですが、簡単に説明すると、「二次相続の被相続人が、一次相続で支払った相続税額」のうち、「経過年数1年につき10%」の税額に相当します。

つまり、一次相続と二次相続の間が近ければ近いほど、相次相続控除が多くなるということです。そして一次相続と二次相続の間が10年を超えた場合、相次相続控除は適用されません。

【関連】10年以内に相続が相次いだら控除できる『相次相続控除』

相続を円滑に進め、相続税の負担を減らすためには、一次相続の段階で、二次相続まで見据えた対策を立てることが重要です。ただし、1次相続と2次相続の間に、財産が減ったり、財産価値が変動したり、税法が変更したりする可能性もあり、適切なシミュレーションを自分で行うのは容易なことではありません。効果的な相続税対策をするためには税理士への相談を検討することをおすすめします。

(記事は2023年2月1日現在の情報に基づきます)

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