遺産分割に強い弁護士を探す
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1. 遺産相続にかかる弁護士費用の種類と相場
遺産相続にかかる弁護士費用には以下のような種類があります。費用は弁護士が自由に決めることができるため、依頼する事務所によって大きく変わります。依頼前にしっかり確認しましょう。
相続における弁護士費用の種類と相場の一覧表
| 相談料 |
30分5500円程度(初回無料も多い) |
相談時に支払う費用 |
| 着手金 |
20万~30万円程度(超える場合も) |
依頼時に支払う費用 |
| 報酬金 |
経済的利益に応じて異なる |
問題が解決したときに、成功報酬として支払う費用 |
| 実費 |
数万円 |
郵便切手代や印紙代、弁護士の交通費など |
| 日当 |
1日出張で5万円~ |
弁護士が出張した際に支払う費用(宿泊費や交通費は別に請求される) |
1-1. 相談料:相場は5500円、初回無料の事務所も多い
相談料とは、弁護士に遺産相続について相談したときにかかる費用のことです。
相場は30分5500円(税込)ですが、初回は無料としている事務所も多数あります。相談が終わったときにその場で現金やカードで支払うのが一般的です。無料相談を実施している事務所でも回数や時間はそれぞれ異なりますので、相談前に確認しておきましょう。
1-2. 着手金:相場は20万~30万円、遺産額によって超えるケースも
着手金は、遺産の分け方を相続人同士で話し合う「遺産分割協議」の代理交渉など、具体的なアクションを弁護士に依頼したときにかかる費用です。依頼と同時に、銀行送金や現金手渡しによって支払います。
金額は20万円から30万円程度が相場ですが、遺産額や内容の複雑さに応じて金額が上がるケースもあります。着手金を準備できないときは、着手金を無料としている事務所や分割払いに対応している事務所を選ぶのが良いでしょう。
1-3. 報酬金:「経済的利益」に応じて計算
遺産相続問題が解決されたときに支払う費用です。支払い方法は、銀行送金や現金手渡し、または弁護士が相手からお金を受け取り、そこから弁護士費用を天引きして清算するケースもあります。
報酬金の額は、依頼者の経済的利益に応じて計算されるのが一般的です。経済的利益とは、弁護士に依頼したことで得られた利益のことです。たとえば、遺産分割を依頼した場合は相続によって得られた遺産の金額を指します。
以下の表は、報酬金のパーセンテージについての相場です。経済的利益に応じた計算方法を示していますので、参考にして下さい。いずれも税抜きです。
相続に関わる弁護士の報酬金の相場・計算方法
| 経済的利益の額 |
報酬金 |
| 300万円以下 |
16% |
| 300万円超3000万円以下 |
10%+18万円 |
| 3000万円超3億円以下 |
6%+138万円 |
| 3億円超 |
4%+738万円 |
たとえば、遺産分割の交渉を依頼し、2000万円の遺産を得られた際の報酬金の相場は「2000万円×10%+18万円=218万円(税抜き)」と計算できます。
なお、上記の数字は、日本弁護士連合会がかつて定めていた弁護士費用の目安「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」と同じです。この基準は現在廃止されていますが、今も参考にしている弁護士も多く、相場の目安となっています。
ただし、冒頭でも記しましたが、現在は各法律事務所が弁護士費用を自由に決めることができるため、依頼前に確認して下さい。
1-4. 実費:数万円
実費は、郵便切手代や戸籍を集めるための費用、遺産分割調停を申し立てるときの印紙代など、実際にかかる費用です。金額はケースによって変わります。
相場として遺産分割協議であれば1万円から3万円程度、調停を申し立てる場合でも1万円から5万円程度になるでしょう。ただし遠方の裁判所で調停を行う場合には交通費がかさむので10万円以上かかる可能性もあります。
1-5. 日当:1日出張で5万円程度
日当は弁護士が出張したときに支払う費用です。出張しなければ発生しないので、0円のケースも少なくありません。1日出張したら5万円程度となるのが相場です。宿泊費や交通費は、この日当とは別に請求されます。
2. 遺産分割にかかる弁護士費用の具体例
遺産分割について弁護士に相談・依頼できる主な内容は、以下のとおりです。
・遺産分割協議の代理交渉
・遺産分割協議がまとまらなかった場合の調停・審判の代理
・遺産分割協議書の作成
「相談料」「着手金」「報酬金」「実費」「日当」の相場を参考に、遺産分割を弁護人に依頼した時の具体的な費用を計算してみます。なお、いずれも税込みです。
2-1. 弁護士に遺産分割協議を依頼し、1000万円の利益を得た場合の費用相場
相続人同士で遺産分割について揉めており、話し合いを解決するために弁護士に代理交渉を依頼したケースです。結果として遺産分割協議が成立し、依頼者が1000万円の遺産を相続できることになった場合、弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料 0円(無料相談)
- 着手金 22万円
- 報酬金 129万8000円(1000万円の10%+18万円+税)
- 実費 1万円
- 合計 152万8000(税込み)
2-2. 弁護士に遺産分割調停を依頼し、1500万円の利益を得た場合の費用相場
遺産分割協議がまとまらず、裁判所を通した遺産分割調停に移行したケースです。弁護士に調停手続きや代理交渉を依頼した結果、依頼者が1500万円の遺産を取得できた場合、弁護士費用の相場は以下のとおりです。
- 相談料 0円(無料相談)
- 着手金 33万円
- 報酬金 184万8000円(1500万円の10%+18万円+税)
- 実費 3万円
- 合計 220万8000円(税込み)
3. その他の相続にかかわる弁護士費用の相場
これまで、遺産分割協議や調停の代理交渉にかかわる弁護士費用を中心に説明してきましたが、その他の相続にかかわる弁護士費用の目安についても紹介します。
遺産分割以外で弁護士に依頼できる内容としては、次のようなものが挙げられます。
・遺言書の作成
・遺言執行者の就任
・相続放棄の手続き
・遺留分侵害額請求
3-1. 遺言書作成を依頼する際の弁護士費用:20万~30万円
遺言書の作成手数料は、内容や遺産額によって変わりますが、相場は20万円から30万円で、最低でも10万円はかかります。ケースによっては50万円を超えることもあるでしょう。公正証書遺言を作成する際は、別途公証役場に支払う実費がかかります。
3-2. 遺言執行者の就任を依頼する際の弁護士費用:最低でも30万円
遺言執行者とは、遺言者が亡くなった後、遺言内容を実現するために必要な手続きをしてくれる人です。遺言執行者への就任を弁護士に依頼すると、最低でも30万円はかかるのが相場です。遺産の割合に応じた費用としている事務所も多くあるため、遺産の額によっては100万円から数百万円となることもあります。
3-3. 相続放棄の手続きを依頼する際の弁護士費用:5万~10万円
相続放棄とは、亡くなった人のプラスの財産(現預貯金や不動産など)とマイナスの財産(借金など)を一切引き継がないことです。
相続放棄の手続きを弁護士に依頼すると、5万円から10万円程度の費用がかかります。財産調査から、必要書類の取得、債権者への対応までやってもらえます。また、複数人まとめて依頼すると、減額してもらえることがあります。
3-4. 遺留分侵害請求を依頼する際の弁護士費用:経済的利益に応じて
「遺留分侵害請求」を行使する意思を伝える内容証明郵便の送付を弁護士に依頼する場合、3万円から5万円程度かかります。
遺留分の交渉や訴訟を弁護士に依頼した場合は、遺産分割協議などと同様、着手金や報酬金を支払います。着手金の相場は20万円から30万円程度で、報酬金の相場は、さきほど紹介した「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」が目安となります。
4. 相続の弁護士費用は誰が払う? 相手に支払わせることは可能?
遺産分割トラブルに巻き込まれると「相手に弁護士費用を払ってもらえないのか?」と考える方も多いでしょう。基本的に弁護士費用は自分で払わなければなりません。
手続き別に、いつ誰が弁護士費用を支払うのかを説明します。
4-1. 遺産分割協議、遺産分割調停・審判:依頼者が払う
遺産分割協議や調停・審判を弁護士に依頼した際の費用は、依頼人が支払います。たとえば、兄弟が遺産分割で揉めており、それぞれが弁護士を立てた場合には、自分が依頼した弁護士に対して個別で費用を支払います。
弁護士に依頼した結果、自分の主張が認められた場合でも、トラブルの相手に弁護士費用を払わせることはできません。「費用は自己負担になる」と理解したうえで、弁護士に依頼しましょう。
4-2. 遺言書作成:遺言者が払う
遺言書の作成を依頼した際の弁護士費用は、遺言書を作成する人(遺言者)が払います。支払うタイミングは、一般的に弁護士に依頼したときです。
4-3. 遺言執行:相続財産から払う
弁護士を遺言執行者に指名していた場合、遺言者が亡くなると、その弁護士は遺言執行者として遺言の内容を実現するための手続きを進めます。
遺言執行者である弁護士への費用は、相続財産の中から支払います。相続人が複数人いる場合、先に遺言執行者の費用を差し引いたうえで残りの財産を相続人で分配するのが一般的です。相続人のうち誰が費用負担するのかを話し合って決めることもできます。
4-4. 相続放棄:申し立てる人が払う
相続放棄の弁護士費用は、相続放棄を申し立てる人が払います。複数人で申し立てる場合は、代表者一人が全額負担しても、依頼者全員で出し合っても構いません。
相続放棄をせずに財産を引き継ぐ人がいる場合は、他の相続人の弁護士費用を代わりに支払うこともあります。
4-5. 遺留分侵害額請求:依頼者が払う
遺留分侵害額請求の弁護士費用は、遺留分の請求を依頼する人が支払います。依頼時に着手金を支払い、遺留分を獲得した後に報酬金を支払うのが一般的です。
5. 遺産相続で相談・依頼する弁護士の選び方
遺産分割協議や調停を依頼する弁護士を選ぶときには、何を基準にすればよいのでしょうか? 費用だけではなく、見るべきポイントがいくつかあるのでご紹介します。
5-1. 遺産相続案件に力を入れている、実績が高い
日頃から遺産相続案件に力を入れており、実績が多い事務所を選びましょう。すべての弁護士が遺産分割を得意とするわけではありません。ホームページなどを見て、相続に高い関心を抱いている事務所を探してみてください。
5-2. よく話を聞いてくれる、コミュニケーションをとりやすい
弁護士の人格や相性も重要です。きちんと依頼者の声に耳を傾けてくれてわかりやすく説明してくれる弁護士、コミュニケーションをとりやすい弁護士を選びましょう。
5-3. 明朗会計、リーズナブル
費用ももちろん重要です。後で追加費用が発生して焦らないように、明朗会計の事務所を選びましょう。
金額は、高すぎるのも問題ですが安ければ良いというものでもありません。サービス内容の割に高すぎない、リーズナブルな費用体系の事務所を探してみてください。
5-4. 複数の事務所を比較する
依頼する弁護士を探すときには、複数の事務所を比較するのがおすすめです。1人の弁護士から話を聞いただけでは、善し悪しを判断しにくいためです。
何人もの弁護士に相談してみて、アドバイス内容や費用などを比較してみてください。無料相談なら何軒相談しても相談料はかからないので、遠慮せずに利用しましょう。
6. 弁護士費用が払えない場合の対処や費用を安く抑える方法
弁護士費用が高額で用意しにくい場合、以下のような方法で対処できます。安い費用で弁護士に依頼できる方法も紹介します。
6-1. 分割払いの相談をする
着手金を一括払いできない場合、分割払いの相談をしてみましょう。多くの事務所で分割払いに応じてくれます。
遺産分割の調停や審判は何カ月もかかるケースが多いので、その間月賦で払っていけば問題ありません。遠慮せずに依頼前に「分割払いできませんか?」と尋ねてみてください。
事務所によっては、着手金を無料としているところもあります。その場合、事件が解決した際に、着手金に相当する額を報酬金と合わせて支払うことになります。
6-2. 無料相談を活用する
弁護士に依頼するときには、無料相談を活用しましょう。ホームページに「無料相談可能」と書いてある事務所も多く、それ以外でも個別に問い合わせたら無料相談に対応してくれる事務所があります。
ただし無料となる時間や条件が設定されているケースも多いので、注意しましょう。たとえば「初回30分無料」「初回60分無料」「何度でも無料」など、無料の範囲が事務所によって異なります。時間を超過すると料金が発生する可能性があるので、事前に理解した上で無料相談を利用してみてください。
6-3. 複数の事務所で、弁護士費用を比較する
無料相談を活用して複数の弁護士事務所に足を運び、費用についても確認して比較してみるとよいでしょう。相談者のほうから支払える費用を先に示すことで、その範囲内でできることを事務所側が提案してくれる可能性もあるでしょう。
6-4. 法テラスの民事法律扶助を利用する
所得や資産の少ない方は、法テラスの民事法律扶助を利用できます。民事法律扶助を利用すると、法テラスを通じて比較的安い金額で弁護士に依頼でき、毎月5000円から1万円程度での分割払いが可能です。
地域の法テラスに相談を申し込んでも良いですし、個別の法律事務所で法テラスと契約している弁護士に直接依頼する方法もあります。まずは電話やメールで問い合わせてみてください。
7. 弁護士費用は、経費として相続税から控除できない
なお、弁護士費用を支払ったとしても、相続税からは控除できません。被相続人の遺した借金や未払金などの負債なら債務控除できますが、弁護士費用は被相続人の遺した負債というよりも「相続人自身が自分で背負った負債」だからです。
遺産分割協議や調停などを依頼して高額な弁護士費用を払っても相続税は安くなりません。自腹になると理解したうえで、弁護士費用を計算しましょう。
8. 相続・遺産分割に関して、よくある質問
Q. 遺産分割の弁護士費用が3分の1になる場合は?
「争いがない部分の経済的利益は3分の1に減額して報酬金を計算する」という基準を採用している事務所もあります。
たとえば相続人が2人のケースで、遺産総額3000万円のうち2000万円分は1000万円ずつ分けることに争いがなく、残りの1000万円分で揉めていたとします。最終的に依頼者が2000万円、相手が1000万円を取得した場合、依頼者の経済的利益は2000万円です。ただし、2000万円のうち1000万円は争いがない部分なので、1000万円分は3分の1(333万円)に減額して、1333万円を経済的利益として報酬金を計算します。
遺産の額が多い場合には、3分の1の基準を採用しているか否かで報酬金の額が大きく変わります。報酬金の計算方法は、事務所によって異なるため、依頼する前にしっかり確認しておきましょう。
Q.そもそも相続手続きに弁護士は必要?
遺産の額が少ないケース、相続人間で争いがないケースでは自分で手続きを進めることも可能です。しかし、遺産が多いときには、遺産の調査だけでも手間や時間がかかります。相続人間で争いが生じているケースでは、当人同士の話し合いで解決するのは難しいでしょう。
弁護士に手続きを任せると、自分自身の手間や時間をかけずに、法律に沿って適切に手続きを進められます。また、弁護士が間に入ることで、交渉をスムーズに進められる可能性も高くなります。不安なく適切に相続手続きを進めるには、弁護士に相談するのが安心です。
9. まとめ 相続を弁護士に依頼するなら、費用や実績などを事前に確認することが大切
遺産相続に関する弁護士費用の相場は、遺言書作成で20万円から30万円、相続放棄で5万円から10万円程度です。遺産分割協議や遺産分割調停の場合は、依頼者が得た経済的利益によって、費用が大きく異なります。
いろいろな弁護士事務所の無料相談を利用して比較検討し、明朗会計であなたの希望に合った弁護士を探してみてください。
(記事は2025年11月1日時点の情報に基づいています)
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