不仲なきょうだいと連絡がとれない デメリットの回避策は弁護士への相談
きょうだい間の仲が悪いと、長年、連絡しないこともあります。そのまま行方が分からなくなると、相続手続きに悪影響が生じることもあります。ソーゾク博士が対処法を解説します。
きょうだい間の仲が悪いと、長年、連絡しないこともあります。そのまま行方が分からなくなると、相続手続きに悪影響が生じることもあります。ソーゾク博士が対処法を解説します。
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相続の手続きに備えてうかがいたいのですが、お二人は仲がよいですか?
幼い頃は言い争いもしたけれど、お互い大人になったから、いい関係を築けていると思います。
さすがに激しいケンカをすることはなくなった。
それは良かった。きょうだい同士で仲が悪いと、相続の時にトラブルを招くこともあるんです。お二人も気をつけてくださいね。
そう言われると怖いな……。
遺産分割協議は、相続人が全員そろわないと始められないのは何度もお伝えしましたね。でも、相続人に連絡しても無視されることもあり得るんです。
それじゃあ、話し合いが始められない。
協議できないと、さまざまなマイナスが生じます。相続した古い実家を売却しようとしても、協議を経ないと相続人の共有状態が続きます。これでは売れません。被相続人が亡くなったことを銀行が知ると、口座が凍結されます。仮払制度を利用すれば一定額は引き出せますが、相続人全員の同意がないと全額を引き出せません。
何か対応策はないんですか。
まずは、無視するデメリットを伝えてください。事態が動かないと遺産分割調停をするしかなく、裁判所に足を運ばないといけないことを説明するのもいいでしょう。それでも駄目なら弁護士に相談してください。第三者からの連絡なら対応する人もいますよ。これらの方法でも駄目だった場合には、やはり遺産分割調停を申し立てることになりそうです。
仲が悪くて連絡しないままだと、行方が分からない人もいそう。
そういった場合、その相続人の住民票や戸籍の附票(ふひょう)を取り寄せて住所地を確認する方法があります。ご自身で進めるのが難しそうな際は、弁護士に依頼して連絡を取ってもらうのが良いでしょう。
それでも居住地が分からない時は何か手立てがあるんでしょうか。
二つの方法を紹介します。一つ目は不在者財産管理人の選任申し立てです。行方が分からない人の代わりに遺産分割協議に加わってもらえるので協議を進められるようになります。こちらが一般的な方法です。
もう一つは、なんでしょう。
家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることです。行方不明の相続人の生死が7年以上、明らかでない時に申し立てが可能です。相続人は法律上、亡くなったことになるので、協議に参加させる必要がなくなります。ただ、その人に相続人がいると協議に参加してもらう必要が生じるので注意してください。
特殊な事例だからか、どの方法を選べばいいのか判断が難しい。
連絡できない人がいるからといって手続きを放置すると、さまざまなデメリットが生じます。また、どの方法を選べばいいのか複雑に感じる人が多いと思います。連絡がつかない相続人がいると分かった時点で、早めに弁護士への相談を検討してください。
今回のソーゾク博士=川崎相続遺言法律事務所・弁護士勝本広太さん、構成=相続会議編集部
・連絡を無視されたら弁護士に相談
・不在者財産管理人の選任や失踪宣告を申し立てる
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2023年3月1日時点での情報に基づきます)
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