遺産分割がトラブルで動かなくなった 弁護士への依頼も検討を
遺産分割は、相続の最初の一歩と言えます。ただ、トラブルが生じる可能性もあります。2回に分けて、うまく進まないパターンと対処法を解説します。
遺産分割は、相続の最初の一歩と言えます。ただ、トラブルが生じる可能性もあります。2回に分けて、うまく進まないパターンと対処法を解説します。
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お二人は、さまざまに相続について学んできましたね。
おかげさまで、少しずつ相続に詳しくなれました。
とは言っても、僕はまだ相続の経験がありません。トラブルも起きると聞くので「絶対に大丈夫」と胸を張って言える自信はないです。
確かに、相続は一人ひとりで状況が異なります。今回から次回にかけては、遺産分割で起こりえそうなトラブルと対処法を解説しましょう。
遺産分割は、基本中の基本ですね。(1)相続人の確定(2)相続財産の調査と確定(3)対象となる相続財産の価値を評価(4)誰がどの遺産を相続するのか分割方法の確定――という流れで進んでいきますよね。
その通りです。しかし、一連の流れの中で思いがけない事態が起きて、遺産分割がストップ!なんてこともあるんですよ。
大きなトラブルじゃないといいんだけど、どんなケースが考えられるんですか。
一つ目は、連絡がとれない相続人がいる場合です。家族間でいさかいが起き、関係が疎遠になっていくこともありますよね。長年、顔を合わせないでいると、いざ相続になっても、きょうだい同士で連絡がとれなくなったり、住んでいる場所が分からなくなったりする事態が起こりえます。
それは困る。きょうだいが見つかるまで、ずっと遺産分割が進まないことになってしまいますね。
連絡がとれないとしても、相続人であることに変わりありません。そういう人を除いた遺産分割協議は、無効となってしまいます。
対処方法はあるのですか。
その相続人の住民票や戸籍の附票を取り寄せて住所地を調査し、連絡を試みます。連絡がとれなければ遺産分割調停を申し立てます。また、住民票上の住所地に居住していなければ、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらうことで対応できます。行方が分からない人の代わりに、代理人として遺産分割協議に参加してもらうイメージです。
連絡がとれたとしても、けんかして不仲な状態が続いているのも困りそうだ。
お互いが感情的になると、話し合いが難しくなることがあります。どうしても前に進まない場合には、第三者の弁護士を介して話し合うことも考えてください。双方が冷静になって判断し、遺産分割協議を進めることにもつながります。
弁護士のアドバイスも受けることができるし、何より冷静になれるのは大きい気がする。
遺産分割がストップしてしまうと、嫌気がさして何も行動したくなくなることもあると思います。しかし、相続税の申告は、10カ月以内に済ませる必要があり待ったなしです。このため、「時間が解決してくれる」という楽観的な考えには危険も潜んでいるのです。事態が動かなくなったら、弁護士に相談してみてください。最初は無料で相談に応じてくれる事務所も増えています。
今回のソーゾク博士=川崎相続遺言法律事務所・弁護士勝本広太さん、構成=相続会議編集部
■今回の記事のまとめ
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2023年3月1日時点での情報に基づきます)
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