相続財産の名義を変更する 必要な書類と手続き
相続人で遺産分割協議書をまとめた後は、遺産の名義変更を済ませます。遺産の種類が多様ならば、必要な書類と手続きも多くなるかもしれません。名義変更をする際の手続きや注意点について、ソーゾク博士に聞いてみました。今回記事を監修してくれるソーゾク博士は、司法書士法人リーガル・フェイスの司法書士細井勇樹さんです。
相続人で遺産分割協議書をまとめた後は、遺産の名義変更を済ませます。遺産の種類が多様ならば、必要な書類と手続きも多くなるかもしれません。名義変更をする際の手続きや注意点について、ソーゾク博士に聞いてみました。今回記事を監修してくれるソーゾク博士は、司法書士法人リーガル・フェイスの司法書士細井勇樹さんです。
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預貯金や不動産を相続したら、名義も変更しないといけないよね。日頃、やったことないから不安だなぁ。
亡くなったことを内緒にして預貯金を引き出すのは駄目かしら。それをみんなで分ければいいんじゃない?
その方法は、リスクがあります。入院費用の支払いなど、使い道を説明できるといいのですが、ほかの相続人から「ほかにも預貯金を引き出して隠しているんじゃ?」という不信感を招くかもしれませんよ。
お互い疑心暗鬼になりそう。
預貯金を引き出すと「相続した」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性も生じます。しばらくして、債務などマイナスの財産が多いと分かった場合は、それも相続することになりかねません。
軽い気持ちで引き出さないほうがいいな。
まずは、亡くなったことを金融機関に伝え、手続きを確認してください。各銀行でひな型を作成している相続届のほか、亡くなった被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などの準備が必要になるでしょう。
不動産の相続は法務局での手続きが必要ですね。
遺言書や遺産分割協議書の有無で、そろえる書類が変わります。たとえば、遺言書がなくて遺産分割協議書があるケースでは、法定相続人全員の署名・押印のある遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除票のほか、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが求められます。もちろん、所定の様式に沿った申請書の作成も必要です。書類がそろったら不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
実家が遠いと大変かも。
郵送での申請も可能ですが、書類に不備があると、手間がかかります。あまり経験したことがない手続きなので、不安を感じる人もいると思います。そんな時は、司法書士に相談・依頼を検討してみてもいいでしょう。
株は、証券会社で名義変更を済ませればいいわね。
相続人が、その会社に口座を持っていなければ、新しく作る手続きが必要です。その際、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、証券会社所定の株券名義書換依頼書といった書類をそろえてください。
名義変更の手続き全てを終わらせるには、たくさんのハードルを越えないといけないのね。
名義変更だけではなく、相続手続きを一人で乗り越えるのは簡単ではありません。仕事をしていたり、家族を介護していたりすると、なおさらです。困ったら、司法書士や弁護士といった専門家に相談してください。わかりやすい説明を聞けるはずです。
●調停は家庭裁判所へ申し立て
●預貯金は安易に引き出さない
●必要な書類は多岐にわたることも
●不安があれば専門家へ
(今回のソーゾク博士=司法書士法人リーガル・フェイス、司法書士細井勇樹さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2023年2月1日時点での情報に基づきます)
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