父の遺産は誰の手に? 「知らん」ではすまない相続の話 漫画「教えて! ソーゾク博士」
漫画を通し、「相続のイロハ」を学ぶ「教えて! ソーゾク博士」が始まります。漫画を描くのは、弁護士兼マンガ家の赤ネコさん。第一回のテーマは、「相続人は誰?」です。
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「父親が死んだら、誰が遺産をもらえるんだろう?」
長女の桃さん(20代)は、ドラマで相続を巡って親族が争うドラマを見て、将来の相続について、ふと心配になりました。
家族は父親(50代)と母親(50代)、そして長男の兄(20代)がいます。父親には親族がたくさんいます。中には疎遠な人もおり、「あの叔父はお金にがめついし、もめたらどうしよう」と気持ちがふさぎます。
そんな桃さんに、「心配無用。桃ちゃんと叔父がもめることはありえません」とソーゾク博士。どういうことでしょうか?
遺産を相続できる「相続人」は、法律で定められています。
まず、亡くなった人の配偶者は必ず相続人になります。配偶者以外の相続人には「順位」があり、次のように整理できます。
第1順位:子ども(直系卑属)
第2順位:父母(直系尊属)
第3順位:きょうだい
1位の人が相続人になれば、2位以下の人たちに相続権はありません。また、同じ順位の相続人が複数いる場合は、その全員が相続人となります。
桃さん一家の場合、父親が亡くなったら母親と兄、桃さんの3人が相続人となるので、「叔父さんともめたらどうしよう」という桃さんの心配は杞憂なのです。
なお、子どもが先になくなっていたら、孫が相続人になります。例えば、桃さんの兄には子どもがいるので、その兄が先に亡くなっていた場合、兄の子が相続人となります。これを「代襲相続」と言います。
1位がいない場合は、2位の親が相続人となり、もしも両親ともいなければ祖父母が相続人になります。1位も2位もいないとき、きょうだいが相続人となります。
では、遺産はどのように分けられるのでしょうか?
遺言書がある場合は、基本はその通りに分けることになります。遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めます。この話し合いを「遺産分割協議」と呼び、すべての相続人の合意があれば、遺産の分け方を自由に決めることができます。
たとえば、桃さんと兄が「母に、父の遺産をすべて相続してほしい」と考え、「母に10割、兄と桃さんは0割」でも、合意があれば問題ありません。
話し合いがまとまらなかった時に目安となる分け方が、国が定めた「法定相続分」です。配偶者と子どもが相続人の場合、「配偶者2分の1、子ども2分の1」です。子どもが複数いる場合は、2分の1を人数分で分けます。2人きょうだいの桃さんの場合は、兄と4分の1ずつになります。
配偶者と亡くなった人の親が相続人となる場合、法定相続分は「配偶者3分の2、親3分の1」、配偶者と亡くなった人のきょうだいが相続人となる場合は「配偶者4分の3、きょうだい4分の1」です。
相続人が誰かが決まっても、遺言書がないと、その分け方を巡って争う恐れがあります。相続について心配なことがあれば、ソーゾク博士のような専門家に相談することも検討して下さい。
(記事は2022年7月1日時点の情報に基づいています)
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