遺産分割協議の前に相続財産の調査を 預貯金や不動産などの「財産目録」をつくる
遺産を分ける話し合いをする前に、必ずしておくべきことは、法定相続人の把握と相続財産の調査です。財産を抜け漏れなく探すポイントを、ソーゾク博士が解説します。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士・司法書士の石動龍さんです。
遺産を分ける話し合いをする前に、必ずしておくべきことは、法定相続人の把握と相続財産の調査です。財産を抜け漏れなく探すポイントを、ソーゾク博士が解説します。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士・司法書士の石動龍さんです。
「相続会議」の弁護士検索サービスで
法定相続人がはっきりしたら、次は、どんな手続きが待っているんだろう。
亡くなった人の財産、相続する財産を調べる相続財産調査をしましょう。
親の財産だったら、簡単に見つかりそう。
遺産分割協議を終わらせてから新たに財産が見つかったら、トラブルを招くこともあります。相続税を申告するのにも、正しく財産を把握しないと申告漏れになる可能性もあります。相続財産調査は漏れがないように調べる必要があります。
まずは、預貯金を調べるとして、どこの銀行と取引しているのか、はっきり分からないかもしれない。
預貯金を調べるのは、もっとも多いケースですね。その場合、通帳やキャッシュカード、亡くなった人に宛てた金融機関からの郵便物を確認しましょう。口座のある金融機関が分かったら、残高証明書の発行を依頼してください。発行には亡くなった人との関係を証明する書類などが必要です。銀行に確認して用意しておくと、手続きがスムーズに進みますよ。
この家だって父さんが建てたものだから確認する必要があるわ。
不動産を所有している場合、毎年4~6月ごろ、固定資産税の納付書が自宅に届きます。その書類があれば不動産を所有している状況が分かります。ただ、共同所有しているような場合は、その限りではありません。市区町村役場の窓口で名寄帳の取得を申請してください。漏れなく調べることができますよ。
調べ終わったら、どんな手続きが待っているんですか?
所有している財産をリストにした「財産目録」を作りましょう。不動産の価値なども書き込んでおけば、遺産分割で話し合う際に役立ちます。
ほかに財産になるものは、どんなものがあるのかしら。
株式や投資信託、ゴルフ会員権、車などが考えられます。有価証券は、亡くなった人が取引していた証券会社に問い合わせて明細をもらうことができます。また、借り入れが残っている場合には、マイナスの財産としてリストに加えておきましょう。相続税がかかる場合には、プラスの財産から差し引いて計算します。
長く親と離れて暮らしていた場合、相続財産を調べるのは大変な作業になりそうですね。
その通りです。よく私たち相続の専門家が「親の生前のうちに相続について話しましょう」というのはそのためです。親がどの金融機関と取引があるのかを共有しておくだけでも、いざという時に残った家族の負担が減ります。
もしも相続財産の確認が手間取ったら、思わぬ影響があるんだね。あっという間に時間が経ってしまうかもしれない。
相続財産の調査は相続人自身でできますが、時間がかかるものです。弁護士や司法書士、税理士などの専門家に依頼することもできますので、相談してみてはどうでしょうか。
●金融機関に照会して取引の有無を調べる
●生前から親子で、取引している銀行などの情報共有を
(今回のソーゾク博士=税理士・司法書士石動龍さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年12月1日時点での情報に基づきます)
「相続会議」の弁護士検索サービスで