遺産分割協議にはすべての相続人が参加を 1人でも欠けると無効に 電話や手紙、オンラインの参加もOK
相続人と相続財産が確定したら、相続人同士で遺産分割協議をします。遺産分割協議とは遺産を分ける話し合いのことです。どのように協議を進めるべきか、ソーゾク博士に聞きました。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、ゆら総合法律事務所の弁護士、阿部由羅さんです。
相続人と相続財産が確定したら、相続人同士で遺産分割協議をします。遺産分割協議とは遺産を分ける話し合いのことです。どのように協議を進めるべきか、ソーゾク博士に聞きました。今回記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、ゆら総合法律事務所の弁護士、阿部由羅さんです。
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親が遺言書をのこさずに亡くなった後、相続人と相続財産がはっきりしたら、相続人同士で遺産の分け方を決める遺産分割協議ですね。で、どこで、何をするんでしょう。
すべての相続人に声をかけて、遺産分割協議への参加を呼びかけましょう。1人でも欠けると協議は無効になるので、全員に参加してもらいます。
親が亡くなってから、いつごろ話し合うんですか。
特に法律上の期限はありません。ただし、相続の開始を知った日、つまり故人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に相続税申告を行う必要があるため、それまでに遺産分割を完了するのがスムーズです。
分ける割合は、どう決めたらいいんですか。
民法は法定相続分を定めていますが、必ずこれに従う必要はありません。話し合いで全員が合意すれば、どんな分け方にしても構いません。
協議はどこでしたらいいんだろう。法要の後にお寺っていうわけにもいかないよなぁ。遠方に住んでいる人もいたら、わざわざ実家に集まってもらうのも気が引けるなぁ。
話し合いができれば、必ず集まる必要はありません。電話で話してもいいですし、手紙のやりとりでも構いません。オンラインで話し合ってもいいでしょう。
オンライン遺産分割協議ですか。今どきだなぁ。で、どんな話をしたらいいんでしょうか。
故人の財産をそれぞれ誰が、どのように相続するのかを決めます。遺産分割の方法には(1)現物分割(2)代償分割(3)換価分割(4)共有分割、の4種類があります。現物分割とは、遺産を相続人の間でそのまま分ける方法です。代償分割とは、一部の相続人が遺産を相続する代わりに、ほかの相続人に代償金を支払う方法です。
兄さんが実家の不動産を引き継ぐことになったら、私はその代わりになるお金をもらえるわけですね。でも、誰も実家を引き継がない場合にはどうしたらいいですか。
実家を売却して、その代金を相続人同士で分ける換価分割をします。実家を手放さなければなりませんが、代金を相続人同士で公平に分けやすいメリットがあります。
僕と花子が実家を仲良く持ち合うのが共有分割ですね。
土地や建物などの不動産を複数の相続人が欲しがっている場合、共有分割が選択されることがあります。ただ、遺産を共有状態のままにしておくと、例えば実家の不動産を売却したり賃貸したりする場合、共有者同士で意見が対立すると、トラブルに発展する恐れがあります。そのため基本的には共有分割ではなく、ほかの分割方法を検討することをお勧めします。
財産の分け方で折り合えなかったら、どうしたらいいでしょう。
遺産分割協議が難航したら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。調停や審判については、次回説明しますね。
●相続人全員が参加する
●話し合いは電話や手紙、オンラインでもよい
●分割方法は四つ
(今回のソーゾク博士=ゆら総合法律事務所・弁護士阿部由羅さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年12月1日時点での情報に基づきます)
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