結婚・子育て資金の生前贈与 1千万円までは挙式や不妊治療にも
生前贈与を学ぶ朝日さん一家は、年間110万円以上の贈与でも税金がかからない特例についてソーゾク博士に聞いています。今回は結婚・子育て資金として使える贈与についてです。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士法人山田&パートナーズ・税理士清三津裕三さんです。
生前贈与を学ぶ朝日さん一家は、年間110万円以上の贈与でも税金がかからない特例についてソーゾク博士に聞いています。今回は結婚・子育て資金として使える贈与についてです。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、税理士法人山田&パートナーズ・税理士清三津裕三さんです。
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前回聞いた教育資金の贈与の特例は、長男の太郎の子どもの教育資金として使えそうだったわ。
私は独身だし、子どもがいないからといって贈与してもらえないのはちょっと不公平じゃない?
生前贈与で非課税になる他の特例も説明しましょう。子や孫への贈与の特例には、結婚・子育て資金としての贈与もあります。18歳以上50歳未満の子や孫に対して1千万円までなら贈与税がかかりません。
1千万円! 詳しく教えて。
資金は結婚式や子育ての費用にあてられます。結婚費用にあてられるのは300万円までですが、挙式や披露宴の費用のほか、新居への転居費用としても使えます。子育て資金も不妊治療から出産費用、幼稚園や保育園などの費用にあてられますよ。
不妊治療は期間が長くなる場合もあるし、1回の医療費が高いことが多いからいいですね。
ただし条件があって、贈与を受ける子や孫の前年の所得が1千万円以下でないと特例は使えません。また、前回説明した「教育資金の贈与」と同様に、金融機関に専用の口座を開いて贈与の資金を預け入れ、使った費用の領収書などを出すと資金が引き出せる仕組みです。
祖父母や親にじゃなく、金融機関にお小遣いの使い道を報告するみたいね……。でも、子育て中の人なら、前回の教育資金と今回の結婚・子育て資金の特例の両方を使えますね。
ただし、結婚・子育て資金での「子育て」とは、未就学児にかかる費用に限られます。また、注意したいのが、教育資金の贈与と同様に、贈与した人が亡くなった時点で贈与されたお金が残っていたら、相続税の対象になります。教育資金の贈与では子や孫が23歳未満か在学中であれば残額に相続税はかからない仕組みでしたが、結婚・子育て特例にはそのような扱いはありません。さらに、贈与を受けた人が孫だった場合には、相続税が2割加算されますので、注意してください。
贈与する側も長生きしないと。
非課税だからお得だと思いがちですが、この特例はお金の使い道を狭めてしまう制度でもあります。子や孫の生活や教育の資金は、必要なときにその都度渡せば、原則非課税です。まずは、年110万円の暦年贈与を活用してから検討しましょう。
● 非課税枠は1千万円
● 18~50歳未満の子や孫へ
● 結婚資金は300万円まで
● 専用の口座開設が必要
(今回のソーゾク博士=税理士法人山田&パートナーズ・税理士清三津裕三さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年9月1日時点での情報に基づきます)