遺産分割協議の前にしておきたい相続人調査 戸籍謄本から相続人の確定を
亡くなった人が遺言をのこしていない場合、相続人全員で遺産の分け方を決める遺産分割協議をする必要があります。その前に相続人が誰なのかをはっきりさせる相続人調査が必要です。注意点をソーゾク博士が説明します。今回、記事を監修してくれたソーゾク博士は、日暮里中央法律会計事務所・弁護士三上貴規さんです。
亡くなった人が遺言をのこしていない場合、相続人全員で遺産の分け方を決める遺産分割協議をする必要があります。その前に相続人が誰なのかをはっきりさせる相続人調査が必要です。注意点をソーゾク博士が説明します。今回、記事を監修してくれたソーゾク博士は、日暮里中央法律会計事務所・弁護士三上貴規さんです。
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今回は遺言書がなかった場合の相続手続きについて解説しましょう。最初にやってほしいのが法定相続人の調査です。
子どもたちが全員そろえば話はスムーズにできるはず。「調査」って、大げさに聞こえますね。
遺言がなかった場合、遺産を相続人で分けるには遺産分割協議をします。協議には法定相続人が全員参加する必要があります。1人でも欠けると、合意した内容は無効になるのです。そのために、誰が相続人になるかを調べる必要があります。
でも、どうやったら相続人を調べられるんだろう。
市区町村役場で、故人の戸籍謄本を取ります。本人が生まれてから死ぬまでの結婚・離婚歴のほか、子どもの有無、養子縁組に関する情報が記されているので、自分たち以外に相続人がいるかどうかが分かります。
じゃあ、簡単ね。戸籍謄本は、窓口で交付を申請すればいいし、郵送でも請求できるはずよね。
そんなに簡単ではないかもしれません。亡くなった人が引っ越しのたびに本籍地を移しているような場合、本籍を移したすべての各市区町村役場に請求しないといけないんです。
たとえば、亡くなった親の本籍がある東京都の世田谷区役所から戸籍謄本を取り寄せて内容を確認したところ、かつての転勤先だった水戸市に本籍地を移していたことがわかったら、水戸市役所からも戸籍謄本をもらわないといけないのか。
そうなります。何度も本籍地が変わっていると書類の量が増えて、手間がかかります。もし「大変かもしれない」と思ったら、早めに弁護士や司法書士に相談してみてください。手続きを代行してくれますよ。
思っているより、時間がかかるかもしれないんだね。
法定相続人が確定したら、亡くなった人と相続人の関係を記した「法定相続情報一覧図」を作成しておくと便利です。家系図のようなものです。法務局に申し出すると「認証文付き法定相続情報一覧図の写し」を交付してくれます。これがあると、金融機関で預貯金の解約払い戻しや相続登記などにも使え、そのたびに戸籍謄本を出す手間が省けます。
もしも戸籍謄本の中に知らない人の名前を見つけたら?
親に離婚歴がある場合、前の配偶者との間に子どもがいたら、その子どもは相続人になります。自分が相続人だと把握していないかもしれません。家族によって対応は異なると思いますが、まずは手紙などで、親が亡くなったと伝えることが必要です。いきなり遺産の話を持ち出すと、いい印象を与えないかもしれません。「自分だったら、どうやって連絡してほしいか」を考えながら、丁寧に接することを心がけてください。
・故人が本籍地にした市区町村から戸籍謄本を取り寄せる
・法定相続情報一覧図の作成も検討を
(今回のソーゾク博士=日暮里中央法律会計事務所・弁護士三上貴規さん、構成=相続会議編集部
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年12月1日時点での情報に基づきます)
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