目次

  1. 1. 自筆証書遺言の開封は検認が不可欠
  2. 2. 相続人立会いのもとで開封する
  3. 3. 勝手に開けると5万円以下の過料
  4. 4. 公正証書遺言の場合
  5. 5. 自筆証書遺言の保管制度

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亡くなった方がご自分で書いた自筆証書遺言を発見した時に、封筒に入れてあり、封がされている場合は、勝手に封を開けてはいけません。その時は、家庭裁判所での検認という手続きを経た上で、家庭裁判所の担当者が開封することになっています。

「遺言書の検認」は聞き慣れない言葉だと思います。具体的に説明していきましょう。

自筆証書遺言を保管している人か、または発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、速やかに遺言書を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなければなりません。これで、偽造や変造を防ぐことになります。そして、家庭裁判所は、遺言があることを相続人に知らせます。

裁判所に検認を請求する際には、申立書が必要です。こちらは、裁判所のホームページからダウンロードできます。このほか、遺言者の出生から亡くなるまでの全ての戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本など、そろえないといけない書類があります。

封のしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人が立会う中で開封しなければなりません。検認の請求後、相続人には、家庭裁判所から検認の日時などのお手紙が届くので、立会いが可能な相続人は立会えます。ただし、何らかの理由で立会いが不可能の場合は、行かなくても構いません。

検認の手続きの際、申し立てた相続人は、遺言書を持参して、立会わなければいけません。

遺言書は、封筒に入れても良いし、入れなくても構いません。また、封筒に入れた場合、封をするかどうかは決められていません。これらは、遺言者の自由です。つまり、封のしていない遺言書を発見した場合、相続人は遺言書を封筒から取り出し、見ても構わないことになります。

次に、検認の手続きを経る理由について説明します。

検認は、相続人に対し遺言の存在、その内容を知らせることと、遺言書の形状、枚数、訂正した箇所があるか、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、以後、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。ただ、遺言書の内容の有効・無効を判断する手続きではありません。

遺言書の検認は、必ず行わなければなりません。
そうしないと、不動産の名義変更や銀行での預金の解約払戻の相続手続きができないことになっています。

検認手続きが終わると、家庭裁判所で「検認済証明書」という書類を発行できるので、遺言書と一緒に相続手続きを進めることになります。

封をしてある自筆証書遺言を家庭裁判所外で開封すると、5万円以下の過料になります。罰金は刑事上の刑事罰になりますが、過料は行政上の罰則です。また、誤って開封をしてしまった場合には、速やかに家庭裁判所へ相談していただき、その指示に従って、手続きを進めてください。

また、遺言書を見つけた相続人は、ほかの相続人に伝えなければいけないかどうかという問題があります。法律上は、特に決まりはないのですが、やはり、遺言書は大事なものです。後日、もめごとにつながらないよう、ほかの相続人に連絡をしておく方が良いと思います。

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次に、公証役場で作成した公正証書遺言の場合を説明していきます。遺言書が完成すると、公証人から遺言書正本と遺言書謄本をそれぞれ1通ずつ受け取ります。

遺言者が死亡した後は、この書類で相続手続きを進めます。その2種類の書類を作成した際、公証役場で茶封筒をくれますが、封はしないまま遺言者に渡されます。多くの方は、そのまま大事に保管されると思います。

もし、その茶封筒に封をしたとしても、公正証書遺言は検認の手続きが不要です。このため、遺言者の死亡後に見つけた人が開封しても、特に問題はありません。

ただし、封がしてある場合は、念のため、ほかの相続人に連絡し、その人たちの立会いのもとで、開封をした方が良いと思います。

2020年7月10日からは、法務局で自筆証書遺言の保管の制度が始まりました。申請できるのは、遺言を書いた本人のみです。代理人の申請は不可です。

保管を申請できるのは、遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地の法務局になります。

遺言書の保管の申請は1件につき、3900円の手数料がかかります。遺言書を持参する際は、封をしないで法務局に行ってください。

なぜなら、法務局の担当官は、遺言書の形式的なチェックをするからです。本文が自筆で書かれているか、日付が書かれているか、署名があるか、印が押してあるかの確認をします。遺言の内容が有効か無効かはチェックしません。また、遺言書の内容も相談できないので、注意してください。

(記事は2022年9月1日時点の情報に基づいています)

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