相続に強い税理士はどう探す? 選び方のコツと注意点を解説

家族が亡くなって葬儀や四十九日が落ち着くと、気になるのが相続税の申告です。普段の生活が忙しい人は「税理士に任せたい」と思うもの。安心して依頼できる税理士を探すにはどうしたらいいのでしょうか。税理士が選び方のコツや注意点を解説します。
家族が亡くなって葬儀や四十九日が落ち着くと、気になるのが相続税の申告です。普段の生活が忙しい人は「税理士に任せたい」と思うもの。安心して依頼できる税理士を探すにはどうしたらいいのでしょうか。税理士が選び方のコツや注意点を解説します。
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相続で税理士選びが必要となるのは、主に次のような場面です。
遺産分割協議が穏やかにまとまったのなら、税理士選びが必要です。逆に、遺産の分け方で揉めているときは、税理士ではなく弁護士に相談することになります。「争いの間に入れるのは弁護士だけ」と法律で決まっているからです。
争いがなくても、正味の遺産総額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」という基礎控除額を下回っているなら、税理士は必要ありません。「正味の遺産総額≦基礎控除額」のときは、相続税の申告をしなくていいからです。
正味の遺産総額が基礎控除額を超えると、相続税の申告と納税が必要です。このようなときは税理士を選ばなくてはなりません。また、納税額が0円でも、次の2つの制度は申告書の提出が必要です。
これらの制度を適用するときは、税理士の手を借りた方が無難です。また、「この2つの制度を使いたいけれど、申告期限内に遺産分割協議が完了しない」といったときも、税理士に相談した方がいいでしょう。
相続税の申告でもっとも難しいのが「財産評価」です。財産評価は、相続税法や財産評価基本通達に基づいて行います。
現金や預貯金はそのままの金額でいいのですが、他の財産はルールに則って評価計算をしなくてはなりません。特に複雑な地形の土地や非上場株式は評価方法が難しいので、税理士に依頼することになります。
相続税の申告を税理士に依頼すると、次の3つのメリットを享受できます。
相続税の申告は大変です。評価計算には、綿密な調査と専門知識が必要です。一般の方は、相続税の申告書を見て戸惑うかもしれません。
また、たいていの人は、仕事や家事などで忙しくしています。寸暇を縫って申告書を作成しても、なかなか進みません。しかし、申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。1人で申告した結果、期限を過ぎ、延滞税などのペナルティでお金を使うおそれがあります。
税理士に依頼すれば、こういった煩わしさから解放されるのです。
「高くなりがちな相続税を少しでも安く」と誰もが節税を考えます。そして最近は、相続税の知識をインターネットや雑誌で簡単に入手できるので「節税は難しくない」と感じるかもしれません。
ただ、実際は大変です。細かい要件を確認しなくてはなりません。自宅の敷地の評価額を80%減額できる小規模宅地等の特例も慎重な判断を要します。つまり、一般の方が正しく節税するのは難しいのです。
一方、税の専門家である税理士なら慎重に判断し、適切に節税することができます。
相続税の計算は複雑です。次の記事を読むと分かるかと思います。
慣れていないと、計算のどこかでミスをするかもしれません。しかし、税理士なら間違いを避け、正しい申告書を作成できます。
この他、「税務調査に立ち会ってもらえる」「二次相続などの対策も考えてもらえる」といったメリットがあります。税理士への依頼は、報酬を払って余りある価値があるのです。
相続に強い税理士を探すときは、次の点を押さえるとよいでしょう。
一般的な税理士が1年間に行う相続税の申告の回数は1~2回程度です。一方、相続を専門とする税理士は、年に10件以上、相続税の申告書を作成します。規模が大きいところは年間数十件以上です。そしてそれだけノウハウを蓄積しています。
申告件数が多く経験豊富な税理士は、適切な申告や節税だけでなく、二次相続などのアドバイスも期待できます。
相続の内容は、地域や家、遺産によって変わります。都市部と地方では相続人や遺産の構成が異なります。中小企業の経営者の相続は、サラリーマン世帯と違い、自社株の評価が中心です。相続財産に賃貸アパートや海外資産があると、より深い専門性が求められます。「相続」と一口に言っても、実は多様なのです。
相続に強い税理士を探すにしても、それぞれの事情に合わせて探すとよいでしょう。沖縄の相続なら、現地の事情に詳しい税理士にお願いした方が安心です。中小企業オーナーの相続なら、事業承継や株式評価に強い税理士に頼めば、色々な助言が得られます。国際相続に強い税理士なら、資産所在地国での申告もケアしてくれるかもしれません。
相続人は「正しく申告できるだろうか」「税金はどれくらいかかるのか」といった不安を抱えています。相続は何度も経験しないからです。このような場面で機械的に対応されると、依頼者は相談したいことも相談できず、不安を強めるかもしれません。
依頼するなら、相続に強いだけでなく、依頼者の不安に寄り添ってくれる税理士にした方がいいでしょう。些細な質問にも丁寧に答えてくれるので安心です。
全国47都道府県対応
相続の相談が出来る税理士を探す相続に強い税理士の探し方には3つあります。
一つはウェブサイトです。検索した事務所の代表者の経歴やコラム、過去の依頼者の感想は、信頼できるかどうかの判断材料になります。また、地域名や財産の特色を加えて検索すると、自分に合った税理士を見つけやすくなります。相続会議のサイトでも相続に詳しい税理士が検索できます。
知人・友人に相談すると、相続に強い税理士を紹介してくれるかもしれません。この場合、人柄や印象的だった出来事を聞くとよいでしょう。ただし、相性は人それぞれです。紹介者が高く評価していても、自分と合うとは限りません。
上記2つの方法で探したら、必ず面談しましょう。このとき大事なのは「複数の税理士に会う」ということです。何人かに会う内に「ぜひこの人にお願いしたい」と思える税理士が出てきます。
相続で税理士を選ぶときは、次の2つの点に注意しましょう。
税理士の初回相談は無料のところが多いですが、一方で有料のところもあります。有料相談は気が引けるかもしれません。しかし、有料相談の税理士は、それだけ腕に自信があり、過去の依頼者から信頼されていることが少なくないのです。
「無料相談で決めたら、あまり相談に乗ってもらえなかった」なんてこともあるかもしれません。気持ちよく依頼するなら、多少のコストを払ってでも、信頼のできる税理士を直に会って探しましょう。
納税額や支払報酬の見積もりを初回の面談で出してもらうこともあるかと思います。このとき、「この見積額で支払いは完結するか」と聞きましょう。後から申告漏れとなった資産が見つかったときに、追加で請求することがあるからです。中には節税の成功報酬を申告書の作成報酬と別に設け、後から請求する人もいるかもしれません。
次々と請求されると、経済面だけでなく精神面でも負担になります。最初に払うべき金額がどれくらいになりそうか、どの段階でどんな支払が生じるのかを、できるだけ丁寧に確認しましょう。
(記事は2021年8月1日時点の情報に基づいています)
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