自分で書ける! 遺産分割協議書の作り方とは ひな型と一緒に解説

相続人が全員合意して遺産分割協議が整ったら「遺産分割協議書」を作成する必要があります。ただ、どんなものかイメージがわかない方も多いでしょう。今回は、遺産分割協議書の具体的な書き方を、ひな型とともにご紹介します。今後相続を控えている方や、今から遺産分割協議書を作成する方は、ぜひとも一度お読み下さい。
相続人が全員合意して遺産分割協議が整ったら「遺産分割協議書」を作成する必要があります。ただ、どんなものかイメージがわかない方も多いでしょう。今回は、遺産分割協議書の具体的な書き方を、ひな型とともにご紹介します。今後相続を控えている方や、今から遺産分割協議書を作成する方は、ぜひとも一度お読み下さい。
目次
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遺産分割協議とは、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いです。遺産分割協議が成立しないと、いつまでも遺産を分けられないので、相続を開始したら、なるべく早い段階で遺産分割協議を始めましょう。
ただし遺産分割協議には「相続人が全員」参加しなければならないので、まずは被相続人の生まれてから死亡するまでの戸籍謄本類を集めて「相続人調査」を行う必要があります。
またどういった財産があるか分からないと遺産分割の話し合いを進められないので、事前に「相続財産調査」もしなければなりません。
相続財産調査に関する詳しい説明は「親が亡くなったらまずやるべきことは相続財産調査 手続きと専門家の選び方」にあります。
遺産分割協議が整ったら「遺産分割協議書」を作成しなければなりません。
遺産分割協議書とは、遺産分割で合意した内容を明らかにする書面です。誰がどの財産を相続するか、ということが細かく書かれています。作成者は「相続人全員」なので、全員による署名押印が必要です。押印する印鑑は「実印」を使いましょう。
相続が始まってから、遺産分割協議書を作成するまでを簡単にまとめると、次のような流れになります。
被相続人が死亡(相続開始)
↓
相続人調査と相続人調査をする
↓
遺産分割協議を行う
↓
遺産分割協議書を作成する
遺産の種類が多いと、遺産分割協議書の作成が複雑になるかもしれません。不安な方は、弁護士に相談・依頼してみてください。ほかの手続きもひとまとめに終わらせてもらえます。
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遺産分割に詳しい弁護士を探す次に遺産分割協議書の書き方をご紹介します。まずはひな形をみて下さい。
遺産分割協議書に定まった様式はありません。パソコンでも手書きでもかまいません。利用する用紙やペンなども自由です。パソコンを使える方なら、A4サイズの紙を使ってパソコンで作成すると良いでしょう。
遺産分割協議書では「誰がどの財産を取得するか」を明らかにせねばなりません。そのためには「遺産の特定」が非常に重要です。遺産が正しく特定されなければ、遺産分割協議書が意味のないものになってしまいます。
遺産の特定方法は、財産の種類によって異なるのでみてみましょう。
■預貯金
銀行名、支店名、口座番号、名義人の名前を書いて特定します。ひな形の第3条の部分です。
■不動産
土地なら所在地、地番と土地の種類、地積を書きます。建物の場合には所在地、家屋番号、建物の構造、面積を書きます。
不動産全部事項証明書の「表題部」をそのまま書き写しましょう。細かい数字が多いので、間違えないように慎重に対応する必要があります。
ひな形の第1条を参照しましょう。
■株式
株式などの有価証券については、預けている証券会社名、発行会社名、株式数によって特定します。ひな形の第2条に記載があります。
遺産分割協議書では「誰が取得するか」も重要です。誰が取得するか分からなければ、やはり遺産分割協議書の意味がなくなるからです。
ひな形のように「妻 朝日和子」、「長男 朝日一郎」など、きちんと続柄や氏名を書いて特定しましょう。
遺産分割協議を行う前にはしっかりと相続財産調査を行い、できるだけ漏れが無いように調べておくべきです。しかしどうしても発見できず、後から新たに財産が見つかるケースもあります。
そういった状況に備え、後から見つかった遺産をどのように取り扱うかも明らかにしておきましょう。たとえばこのひな形では「後から見つかった財産は妻朝日和子が相続する」とされています。このように書いておけば、後に遺産が見つかったときにその部分について遺産分割協議をやり直す必要がなく、スムーズに解決できます。
遺産分割協議書は、相続人が各自1通ずつ所持するので、人数分を用意する必要があります。パソコンで作成した場合、人数分の部数を印刷しましょう。
遺産分割協議書は、相続人全員が署名押印してはじめて完成します。必ず「全員分」の署名押印が必要で、一人でも欠けると無効になるので注意しましょう。また必ず実印を使って押印すべきです。
遺産分割協議の前にはしっかり相続財産調査しておくべきです。金融機関へ預金の照会を行い、証券会社や証券保管機構へ株式の照会をしたり、法務局や市役所で不動産を調べたりして、できるだけ漏れが無いように明らかにしておきましょう。
相続財産調査の方法は「遺産分割協議をする前にすべき『相続人調査』と『相続財産調査』とは」で解説しています。
・遺産分割は、相続人調査などを始め、多くの手続きが待ち構えていることもあります。初めての場合は、戸惑うこともあるかもしれません。トラブルが予想されるとなおさらです。不安を感じる人に向け、弁護士の選び方について「相続で相談すべき弁護士の選び方 遺産分割協議のトラブルに備える」で解説しています。ぜひ、ご覧ください。
遺産分割協議書が完成したら、それを使って名義変更などの相続手続きを進めます。
不動産を相続する人は、法務局で「相続登記(名義変更)」をしなければなりません。その際に遺産分割協議書が必要です。その他、被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類、住民票の除票、相続人の住民票や相続人全員分の印鑑登録証明書などの必要書類も集めてから登記申請しましょう。
手間を省きたい方や自分でうまく進める自信がない方は、遺産分割協議書を「司法書士」に預けて相続登記を依頼するようお勧めします。
また相続登記申請時に法務局で「法定相続情報証明書」を発行してもらっておくと、預貯金や株式の名義変更の際に使えて便利です。不動産の名義変更の際、一緒に相続人関係図(家系図)を提出して、引換えに法定相続情報証明書を発行してもらいましょう。
預貯金を相続した人は預貯金の名義変更あるいは解約払い戻しを行います。
預け先の金融機関に遺産分割協議書を持参して、名義変更や解約払い戻しの申請書を書いて提出しましょう。
書式や必要書類は金融機関によっても異なるので、各金融機関に問い合わせながら手続きを進めます。
株式を相続した人は、遺産分割協議書を使って株式の名義変更を行いましょう。まずは相続人名義の証券口座を開設し、そこに名義変更した株式を預け入れます。
証券会社ごとの申請書や必要書類があるので担当者に問い合わせながら手続きを進めましょう。
遺産分割協議書は、相続手続きを進めるための基本の書類です。今回ご紹介したひな形を参考にして正しく作成しましょう。自信がない場合には弁護士などの専門家に相談してみて下さいね!
(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)
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