遺産分割調停の家庭裁判所での流れは? 調停のメリットとデメリットも解説
遺産分割協議がまとまらない場合、話し合いの舞台は家庭裁判所での「遺産分割調停」に移ります。ただ「調停」といわれても、具体的にどんなことを行うのかわかりにくいでしょう。いざというときに有利に進めるため、遺産分割調停で実際にやり取りする内容やメリットとデメリットなどを把握しておくと安心です。遺産分割調停について押さえておきたい基本知識を解説します。
遺産分割協議がまとまらない場合、話し合いの舞台は家庭裁判所での「遺産分割調停」に移ります。ただ「調停」といわれても、具体的にどんなことを行うのかわかりにくいでしょう。いざというときに有利に進めるため、遺産分割調停で実際にやり取りする内容やメリットとデメリットなどを把握しておくと安心です。遺産分割調停について押さえておきたい基本知識を解説します。
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遺産分割調停とは、家庭裁判所で調停委員を介してもめている相手と話し合うための手続きです。
遺産分割調停では調停委員が間に入って話し合いを進めるので、相手と直接顔を合わせる必要はありません。当事者はそれぞれ異なる「待合室」で待機していて、時間が来たら調停委員に呼ばれて部屋に入ります。当事者の一方が調停委員に意見を伝えて部屋を出ると、今度は相手が調停委員に部屋に呼び出されて話をします。
相手の話が終わったらまたこちらが呼び出されて話をする、という繰り返しで調停が進められます。
このように、もめている相手と直接話さないので、合意しやすくなるメリットがあります。
調停は話し合いで解決する手続きなので、結論を強制されることはありません。間に入る調停委員は裁判官ではなく民間人で、比較的和やかな雰囲気で進められるケースが多いです。
調停委員は話をまとめるのが仕事なので、当事者間の意見の調整を行います。
相手を説得してもらえるケースもありますが、反対にこちらが説得される可能性もあります。調停を有利に進めるには「調停委員に自分の言い分をよく理解してもらう」ことが大切です。
遺産分割調停は、通常1回では成立しないので何度も繰り返し開催されます。
調停期日が開かれるのは平日の午前か午後の日中(10時から17時くらいまでの間)で、ペースとしては月1回程度となります。
合意できるまでの期間は早くて3か月程度、長くかかるケースでは2年くらい続くこともあります。
遺産分割調停には以下のようなメリットがあります。
遺産分割調停は、お互いが話し合いによって解決する手続きです。裁判のような「書面審理」ではありませんし、厳密な法律論の理解や主張も不要です。申立や進行の方法が比較的簡単なので、素人の方が1人でも取り組めるレベルです。
弁護士に依頼しなくても対応しやすいメリットがあります。
遺産分割調停を利用すると、トラブルの相手と直接話をする必要がありません。
感情的になりにくいのでストレスがそれほど大きくなく、無駄な言い合いを防いで解決につながりやすくなるメリットもあります。
遺産分割調停では、当事者がもめていると調停委員から「解決案」を提示してもらえるケースが多いです。自分たちだけでは譲り合いが難しい場合でも、お互いが解決案を受け入れれば調停を成立させてトラブルを終わらせることが可能です。
遺産分割調停では、調停委員のバックに担当の調停官(裁判官)がついていて毎回進行を協議しています。つまり「裁判官の監督の下に進められる手続き」です。
法律に詳しい裁判官が見ていてくれるので、法律的に妥当な解決を目指せます。明らかに誰かが不利益を受けるような不公平なかたちで合意してしまうリスクは小さくなります。
遺産分割調停には、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。
遺産分割調停は、当事者が話し合いによって解決を目指す手続きです。相続人全員が合意できなければ調停は成立せず、解決できません。
こちらが全面的に正しくても誰かが不合理なことを言っている場合、1人でも納得しなければ調停は成立しません。
遺産分割調停で話し合いによって解決するには、通常お互いの譲り合いが必要となります。自分の主張を100%通そうとしても難しくなるケースが多数です。
遺産分割調停を申し立てる際にはたくさんの書類を用意しなければなりませんし、申立書の作成も必要で手間がかかります。また長期化する傾向があり、ときには2年以上調停が続くケースもあります。
調停が開かれるのは平日の日中の時間帯です。仕事をしている方は、その時間に会社などを休んで家庭裁判所に行かねばなりません。裁判所が遠方の場合にはより負担が大きくなるでしょう。
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相続の相談が出来る弁護士を探す遺産分割調停は、手間も時間もかかる手続きです。有利に進めるには法律的に適切な主張をして調停委員を説得して味方につけましょう。そのためには、やはり専門家のサポートがあると安心です。
遺産分割調停の途中からでも弁護士に依頼できます。これから遺産分割調停を申し立てようとしている方や、すでに調停になっている方は、遺産相続に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。
(記事は2022年10月1日時点の情報に基づいています)
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