目次

  1. 1. 終活とは
  2. 2. 終活の目的やライフステージ
    1. 2-1. 終活の目的|残りの人生の充実と、家族の負担軽減
    2. 2-2. 終活をめぐる4つのライフステージ
  3. 3. 終活のメリット
    1. 3-1. 自分の半生などを振り返り、気持ちを整理することができる
    2. 3-2. 老後の不安を解消でき、前向きに生きられる
    3. 3-3. 家族の負担を軽くできる
    4. 3-4. 遺産相続トラブルを防ぐことができる
  4. 4. 終活やることリスト
    1. 4-1. 亡くなるまでにやりたいことのリスト作成
    2. 4-2. 財産に関する一覧表の作成
    3. 4-3. 友人関係の整理とリストづくり
    4. 4-4. 老後資金の検討
    5. 4-5. 断捨離
    6. 4-6. 医療と介護の方針に関する意思表明
    7. 4-7. 遺言書の作成
    8. 4-8. 相続税対策を検討する
    9. 4-9. 死後事務委任契約の検討
    10. 4-10. 任意後見契約や家族信託契約の締結の検討
  5. 5. 終活のデメリットや注意すべき点
    1. 5-1. 終活のデメリット
    2. 5-2. 家族と終活の情報を共有する
    3. 5-3. デジタル終活を忘れない
    4. 5-4. 弁護士など専門家に相談する
  6. 6. 終活に関するよくある質問
  7. 7. まとめ 終活支援に力を入れる弁護士事務所に相談を

「相続会議」の弁護士検索サービス

「終活」とは、人生の最期に向けた活動のことを言います。終活は「残された家族に迷惑をかけないために……」という目的だけではなく、残りの人生を充実させ自分らしく生きるためという前向きな目的を持ちます。

さらに、自分の残りの人生を充実させるだけではなく、その後に残される人や身の回りの物のための準備という側面もあります。厚生労働省も「人生会議」といった言葉を用いて医療面での自分自身が望むケアを考えることを推奨しており、社会的にも終活はさらに注目を浴びていくことが予想されます。

終活は、主な目的として、自分自身の残りの人生を充実させ、後悔がないように準備をするという目的と、残される家族など周囲の人たちの負担を軽減するという目的があります。

終活をめぐるライフステージは、以下のように進んでいきます。

【ステージ1】心身ともに健康
心身ともに健康であり、自分で預貯金の管理、不動産の管理といった財産管理が可能で、自分のみで日常生活を送ることができる段階です。

【ステージ2】判断能力の衰退
年齢を重ねることや病気を患うことで、判断能力が徐々に衰え、周囲のサポートがあれば財産管理や日常生活を送ることができる段階です。

【ステージ3】判断能力の喪失
ステージ2での状態が進み、自分一人では意思表示をすることができなくなる段階です。この状況では、本人に代わって財産管理をする人や医療面などの問題を中心に本人の生活を守るために行動する人が必要となります。

【ステージ4】相続の発生
本人が亡くなり、相続が発生します。葬儀や納骨などの必要な手続きを行いつつ、遺産を相続人などが引き継ぐことになります。

残された家族が突然、相続手続きに対応するのは大変です。スムーズな相続には生前のうちに遺言書の作成など準備を進めることが大切です。気軽に弁護士に相談してみましょう。

では、上記のようにライフステージが進むなかで終活を行うメリットはどのような点なのでしょうか。終活は、個人の置かれている環境によって何をすべきか、何を目的とするかが異なりますが、一般的には次のようなメリットを挙げることができます。

終活は、人生の「これから」を考えるために、自分の半生を振り返ることや自分の身の回りについてあらためて考えることがスタートになります。そのような振り返りを通して、自分の志向性を含む自分が楽しかったこと、苦労したこと、今の悩みや不安なことを整理することにつながります。このように自分と向き合い気持ちを整理することによって、腰を据えてこれからの生き方を考えることができます。

人生の最期を考えることを通して、これからどのように生きていきたいのかの人生プランを描くことができます。そのような人生プランの設計を通して、亡くなるまでにチャレンジしたいことを考えるだけでなく、老後資金が何にどれくらい必要か、どのように自分の資産を次の世代に承継したいかを検討することができます。このような検討をすることによって、漠然とした老後に関する不安を解消することにつながります。

遺された家族や周囲の人は、死後にさまざまな手続きに追われることになります。具体的には、知人への連絡、葬儀やお墓の手配、遺品整理、相続に関する手続きなど多岐にわたります。生前に、終活の一環として、亡くなったあとに必要となる情報を、自分に万が一のことがあった際の「引き継ぎノート」​​とも言われる「エンディングノート」などに記しておくことで、そのような家族の負担を軽くすることができます。

遺産相続は、いざ相続のタイミングとなると誰がどのように相続するかでトラブルになることが多いです。相続財産の額にかかわらず、トラブルは生じ得ます。

特に不動産が財産の大半を占めるような場合は物理的に分けることが難しく、トラブルに発展しがちです。終活の一環として、財産を誰に分けるのかについて遺留分制度との関係も考慮しながら決め、相続人からの納得を得つつ、遺言書を作成することが遺産相続トラブルを防ぐことにつながります。

まずは無料で相談したい人は必読!
相続の無料相談先8選 どこを選ぶべきかから注意点まで徹底解説
相続の無料相談先8選 どこを選ぶべきかから注意点まで徹底解説

弁護士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な弁護士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る弁護士を探す

このように終活には多くのメリットがありますが、何から始めればよいのかと悩む人も多いかと思います。そこで、ここでは「終活やることリスト」として10項目を挙げて、具体的に終活としてやるべきことを取り上げます。

「終活やることリスト」の10項目

  • 亡くなるまでにやりたいことのリスト作成
  • 財産に関する一覧表の作成
  • 友人関係の整理とリストづくり
  • 老後資金の検討
  • 断捨離
  • 医療と介護の方針に関する意思表明
  • 遺言書の作成
  • 相続税対策を検討する
  • 死後事務委任契約の検討
  • 任意後見契約や家族信託契約の締結の検討

仕事や子育て中は、自分のやりたいことになかなか時間を割くことができなかった人も多いでしょう。そこで、まずは、今後の人生で、①やりたいこと、②実現したい夢、③目標などをリスト化することによって、残りの人生で何をしたいのかを明確化します。

自身の財産について、土地であれば登記簿など、預貯金であれば口座情報やおおよその預金額、株式などの情報、どんな保険に契約しているのかについて、一覧表を作成します。自身での財産管理が難しくなった場合や、相続の際に財産を把握するといった負担を軽減することができます。あわせて、どこに連絡をすればいいのかを記載すると、必要な手続きなどをスムーズに行うことができます。

自身に何かあったときに家族から連絡してほしい人の連絡先をまとめておくと、財産に関する一覧表と同様、家族による手続きにかかる負担を軽減することができます。また、このような連絡先をまとめる作業を通して、長い間連絡をとっていない友人に連絡をとることも終活の一環となります。

連絡をとるという意味では、最近、終活の一環として「終活年賀状」が話題に上がることがあります。「終活年賀状」とは、その年を最後に年賀状のやり取りを終わること、いわゆる「年賀状じまい」を伝えるものです。年賀状じまいを急にしてしまうと驚かれることも多いので、近況報告にあわせて電話やメールなど今後の連絡方法についても伝えておくとよいでしょう。

以前、金融庁が発表した試算として老後資金として2000万円が必要になるという数値が話題になりました。2000万円という額が独り歩きしていますが、老後資金としていくら必要なのかは当然ながら個人によって異なります。

自身の人生プランを立て、その実行にあたって経済的な面での不安があると、最期まで前向きな人生を送るための支障となってしまいます。後述するような相続税対策や家族信託契約の締結を検討して、年金も含めた老後資金の確保や運用について早めに専門家に相談し、漠然とした不安を解消するようにしましょう。

自身で判断ができるうちに、不要な財産の処分を進めることも重要です。亡くなったあとの遺品整理は、対象となる遺品が多ければ多いほどそのコストや時間がかかってしまいます。自分が亡くなったあとの遺品整理を楽にするためにも、不要なものは断捨離をします。

自分にもしもの時のことがあった際に、どのような医療や介護のサービスを受けたいかをあらかじめ自身で決め、家族や医療サービスの提供者などに共有しておきます。

遺言書を作成することで、遺産を分ける際のトラブルを防ぎやすくなります。主な遺言書の種類としては、自身のみで作成することができる自筆証書遺言、公証人による作成が必要な公正証書遺言があります。

また、遺言書には法的な拘束力はないものの「付言」と呼ばれる部分に、「○○に感謝しています」など相続人に対するメッセージを残すこともできます。遺言書は内容及び形式が重要であり、遺言書を作成したいと思ったら、弁護士などの専門家に一度相談してみてください。

【関連】遺言書(自筆証書遺言)の書き方とひな形 守るべき要件から注意点までわかりやすく解説

亡くなった際の課税の有無や課税額を知るためには、「正味の遺産総額」「基礎控除額」を正確に計算することが必要です。そのようにして相続税を把握し、相続税対策に必要性を感じた場合には税理士などに相談し、対策を検討します。

また、自分で会社を経営している場合は、事業承継をどのようにしていくかについて、自身が元気なうちに、弁護士などの専門家に相談し、選択肢を検討することをお勧めします。

死後事務委任とは、民法に定めのある委任契約の一種で、あらかじめ依頼者の希望どおりに死亡後のさまざまな手続きをしてくれる代理人を契約によって決めておくものです。死後事務委任契約を締結することによって、亡くなったあとの役所での手続きや葬儀、遺品整理などを自身の希望どおりに実現することが可能となります。

任意後見契約とは、将来的に判断能力が衰えてしまった場合に備えて、自身のサポートをしてくれる任意後見人をあらかじめ契約を結ぶことによって選任しておく制度です。任意後見制度は、自分で任意後見人を選ぶことができる点にメリットがあります。

また、家族信託契約とは自分が持っている不動産や預金といった財産の管理や運用を受託者(財産を預かる人、家族や親族を指定することができます)に預け、管理したり運用したりしてもらう制度です。家族信託を活用することにより、自身の財産の管理や運用をスムーズに行ってもらうことができるというメリットがあります。

これらの制度は、判断能力が衰えた場合、誰にサポートしてほしいかや、財産の管理や運用を誰に任せたいかといった自身の意思を反映しやすい制度です。どちらも契約を締結する必要があるため、その詳細については弁護士などの専門家に相談してみましょう。

弁護士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な弁護士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る弁護士を探す

終活は、自分が亡くなった際のことを考える必要があるため、少なからず不安を感じることが多くなってしまう可能性があります。また、すべて一人で事前に準備しようと頑張りすぎてしまい、終活をすること自体に対しストレスを感じてしまう場合があります。

上記のような終活のデメリットを防ぐためには、終活の内容自体を家族などの周囲の人に共有しつつ、相談をするのがよいでしょう。エンディングノートや遺言書の作成や保管場所は、きちんと伝えておくことがとても重要です。また、生前に家族などに思いを伝えておくことで、理解を得やすくなり、残りの人生を応援、サポートしてもらいやすくなります。

終活においてデジタル終活をすることを忘れないように注意してください。亡くなったあともスマホやパソコンに保存されているデータは消えず、TwitterやFacebookなどのSNSのアカウントはログインされて乗っ取りの被害や悪用されてしまう可能性があります。

また、動画などを観るサブスクリプションサービスを契約していたことを家族が知らず、解約せぬまま使用料がかかってしまうこともあります。生前にこのようなデジタル面の取り扱いをどうするのかを整理し、きちんと準備をしておく必要があります。

今まで説明してきたように終活としてやるべきことは多岐にわたります。自分で検討してもよくわからないと不安を感じたら、老後のお金の計画ならファイナンシャルプランナー、終活で生じる法的な問題のサポートなら弁護士、相続税についての相談なら税理士といった形で専門家の力を借りることで、不安を解消することができます。

Q1. 終活はいつから(何歳から)始めればよい?

一般的には、60代になって終活を意識し始める人が多いと言われています。ただし、終活は、個人の置かれた状況によって、いつ始めるべきかは異なります。認知症などで判断能力が衰えてしまった場合は終活をするのが難しくなるため、自分の健康状態に不安を感じたら、40代や50代であっても年齢に関係なく、早めに動き出しましょう。

Q2. おひとりさまも終活は必要?

終活は、「最期まで前向きに生きたい」「孤独死を防ぎたい」「死後に誰の迷惑もかけたくない」「遺品や遺産を希望どおりに処理したい」というニーズに応えることができるため、家族や周囲に頼ることがいない人こそ、終活によって人生の選択肢の幅を広げることができます。

Q3. エンディングノートと遺言書の違いは?

エンディングノートは、何を記載するか決まっているわけではないのですが、一般的には自分のやりたいこと、財産一覧、連絡先一覧をまとめておくことにより、家族へ必要な情報を伝えるという位置づけで使用されることが多いです。 ただし、遺言書とは違い、法的な効力を有するわけではないので、相続をめぐるトラブルを防ぐためには、エンディングノートだけでなく、遺言書の作成が必要となることに注意が必要です。

【関連】エンディングノートに書いた遺言は有効? 法的な意味合いの違いは

終活に関して、何から始めるべきか悩まれる人も多いことかと思います。終活に正解はなく、一人ひとりが自分の最期をどのように迎えたいのかと向き合い、必要な準備をしていくことになります。記事内で紹介した「終活やることリスト」の10項目を手がかりに、早めの準備をすることが重要です。

弁護士事務所のなかには終活支援に力を入れているところもあります。終活に関して迷ったり、困ったりした場合は、気兼ねなく相談することをお勧めします。

(記事は2023年7月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の弁護士検索サービス