親子で一緒に考える相続の備え どこにどんな財産があるのか把握を
日本はすでに超高齢社会に突入したと言われています。老後の資産管理や相続手続きは、もはや親だけの問題ではありません。家族でどのように考えるべきか、ソーゾク博士に聞いてみました。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長さんです。
日本はすでに超高齢社会に突入したと言われています。老後の資産管理や相続手続きは、もはや親だけの問題ではありません。家族でどのように考えるべきか、ソーゾク博士に聞いてみました。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長さんです。
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「相続は準備が肝心」と言うけど、父さんは何かしている?
そんなに心配しなくても、うちは家族仲がいいから大丈夫。突然、どうしたんだ。
父さんにしてみると自分が天国に行った後のことだけど、もうちょっと考えておいてもいいんじゃないかな。ソーゾク博士はどう思う?
相続は生前から用意しておくのに越したことはありません。親は、自分が死んだ後の相続よりも、まず自分自身の看護や介護などで子どもに迷惑をかけたくないと考える傾向にあるようです。子どもたちのほうは親を支えていこうと考える一方で、関心はその後の相続に向くケースが多いようです。その一つが、親の財産の把握です。分かっていないと、相続が不安なのですね。
でも、今から親の相続を心配しなくても良いと思うけどな。
確かに先の話です。ただ、相続が発生すると、不動産や預貯金など、財産すべての承継手続きをする必要があります。きょうだい間で話し合おうにも、財産が確定できないと始められません。相続税がかかる場合は、10カ月以内の納税も必要です。
親はどうすればいいのかな。
自分の老後に備え、まずは財産の棚卸しをしましょう。どこに、どれくらいの財産があるのかを整理します。相続の時、財産の全容が分かっていると、子どもたちの手続きがスムーズに進みます。自分の今後の生活を具体的にイメージすることにもつながります。不要な口座のある金融機関にも気づけます。
生活に必要なお金を把握するのも大事だし、長らく使っていない通帳もあったな。
預貯金の「断捨離」や財産リストの作成は、認知症などの機能低下時にも役立ちます。例えば、子どもが代理人として生活費を出し入れするためにも便利ですし、相続手続きの際にも役に立ちます。残高が少額の不必要な口座を残すと、相続時の手続きが増えてしまいます。
相続のことは、子どもから切り出しにくいものです。
ちょっとしたことを入り口にするのが一つの方法です。最近では、健康管理や財産管理などができるアプリもあります。親子で写真や情報を共有するといった機能があり、日常生活でも使えます。こういったものを親子で活用して、気軽に終活に向けて準備するのも、いい方法ですよ。
次回は、コミュニケーションを通した終活についてお伝えします。
・老後に備える意味でも、財産の棚卸しをする
・財産リストを作成する
・アプリも使って親子で気軽に
(今回のソーゾク博士=三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年4月1日時点での情報に基づきます)
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