目次

  1. 1. 弁護士に遺言書作成を依頼するメリット
    1. 1-1. 相談から死後のトラブル対応までワンストップで対応可能
    2. 1-2. せっかくの遺言書が無効にならない
    3. 1-3. 相続トラブル予防
    4. 1-4. 万一の場合、スムーズにトラブル解決
    5. 1-5. 遺言執行の依頼も可能
  2. 2. 遺言書作成にかかる弁護士費用相場は?
    1. 2-1. 相談費用(目安:1万円)
    2. 2-2. 遺言書作成費用(目安:10万~20万円)
    3. 2-3. 遺言書保管費用(目安:1万円)
    4. 2-4. 遺言執行にかかる費用(30万円~)
    5. 2-5. その他の費用
  3. 3. 弁護士と一緒に遺言を作成する流れ
    1. 3-1. 初回の面談
    2. 3-2. 2回目以降の面談
    3. 3-3. 遺言完成とその後のサポート
  4. 4. 遺言書作成における、弁護士と他の専門家の違い
    1. 4-1. 行政書士や司法書士には「代理権」がない
    2. 4-2. 弁護士費用が高い理由
    3. 4-3. トラブルの恐れがあるなら、 当初から弁護士に依頼した方が良い
  5. 5. 弁護士に遺言書を作成してもらう時の注意点
    1. 5-1. 希望をしっかり伝える
    2. 5-2. もめそうなケースでは当初から弁護士に依頼する
    3. 5-3. 複数の弁護士事務所に足を運び、比較する
  6. 6. まとめ 遺言作成の相談は弁護士がおすすめ

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弁護士に遺言書の作成を依頼するとどういったメリットがあるのでしょうか。

弁護士は、遺言書の作成だけではなく遺言執行や遺産相続トラブルの解決まで対応できる専門家です。弁護士に相談すれば、遺言書作成、保管、遺言執行、死後のトラブル回避や解決まで、およそ相続税以外の手続きをすべて任せられるので安心できるでしょう。

遺言書には厳格な要式があります。自分で作成すると、不備が発生して無効になってしまうリスクが高くなります。弁護士に依頼すれば法的に正しい方法で遺言書を作成できるので、要式不備で無効になる可能性はほぼありません。

世間では、遺言書がもとで相続トラブルになるケースが多々あります。弁護士に依頼すれば、財産調査を行った上で財産目録を作成し、トラブルを防止するための具体案を検討してくれますので、死後の相続トラブルを予防しやすくなります。

死後、相続人同士でトラブルになってしまった場合、当事者だけの話し合いだと感情的になって解決策がなかなか見いだせないことがよくあります。そんな場合でも、弁護士が交通整理をすれば比較的スムーズに解決しやすいものです。親族同士で何年も争い続ける悲劇を避けやすくなるでしょう。

遺言書の作成だけでなく、遺言執行者を弁護士に依頼できます。遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者です。遺言の執行には、各金融機関での手続きや法務局での相続登記などの対応が必要で、かなりの手間がかかります。また、遺言の内容によっては、遺言執行者がいないと実現できないこともあります。弁護士に遺言執行者を任せることによって、遺言の内容をスムーズに実現することができます。

弁護士には遺言書の作成や遺言執行を依頼できます。相談、作成、保管、執行に分けて弁護士費用の相場をみていきましょう。

弁護士に遺言書作成を相談すると、相談料がかかります。相場としては30分5000円(税別)。だいたい1時間分の1万円(税別)程度、用意しておけば良いでしょう。なお、依頼後は相談料がかからなくなるので、相談料が必要なのは当初の1回と考えておけば大丈夫です。ただしこれは初回に依頼したケースです。また、初回相談は無料で対応してくれる弁護士事務所もたくさんあります。

遺言書を作成すると、作成手数料がかかります。遺言内容や遺産額にもよりますが、相場としては10万~20万円程度と見ておいてください。ただし、遺産に様々な種類の財産が含まれていて評価が難しかったり、相続人の関係が複雑だったり、遺産額が多かったりするケースなどでは50万円を超える可能性もあります。

作成した遺言書は自宅で保管しておくこともできますが、紛失などの恐れがあります。そうしたリスクを避けるために、弁護士に預けることができます。保管費用は、法律事務所によって様々ですが、年間1万円前後が多いです。

弁護士に「遺言執行者」への就任を依頼すると、費用が発生します。預貯金の払い戻しや不動産登記などを行います。遺言執行者への就任を依頼した場合、30万円程度はかかると考えてください。業務内容が多岐にわたるケースや遺産が多い場合などには増額され、状況によっては100万円を超える可能性もあります。

現地調査を行うために出張が必要となる場合などには、日当や交通費が必要です。交通費は実費、日当は日額3~5万円程度となるでしょう。また公正証書遺言を作成する時には、公証役場に払う「実費」がかかります。こちらは公証人の手数料ですので、自分で遺言書を作成する場合にも必要です。金額は遺産額によって異なりますが、数万円(10万円以下)となるケースが多いでしょう。

弁護士に遺言書の作成を相談・依頼する場合の一般的な流れは下記のとおりです。

まず初回の面談で、弁護士が遺言者の家族構成などの事情、希望などを聞き取り、遺言書の内容や書き方などをアドバイスします。必要に応じて弁護士に依頼するメリットや費用も説明します。

依頼を受けた場合は改めて面談し、より詳しい事情を聞きます。遺言者の希望に基づき、弁護士が相続財産目録を作成し、遺言書の原案を作成します。その後、原案を遺言者に確認してもらい適宜、加筆・修正します。

遺言書の内容が確定したら作成に取り掛かります。自筆証書遺言であれば遺言者に手書きで遺言書を書いてもらい、弁護士が内容や形式に問題がないかをチェックします。公正証書遺言であれば、弁護士が公証役場に公正証書遺言の作成を依頼し、公証人との間で細かい内容を調整していきます。必要に応じて証人の手配も行います。調整が完了したら遺言者が実際に公証役場に行って、公正証書遺言を作成します。当日は弁護士も立ち会います。

遺言完成後、希望があれば弁護士が遺言書の保管をします。必要に応じて定期的に遺言者に手紙や電話で連絡をして、状況の確認をします。財産の変動や意向の変化などにより遺言書を作成し直す必要がないか、遺言者が亡くなっていないかなどを確認するためです。

弁護士が遺言執行者に指定されている場合は遺言者が亡くなった後、遺言内容の実現に向けて手続きを進めます。

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遺言書作成の支援ができる専門家には弁護士以外に「行政書士」があります。遺言について相談に応じている「司法書士」もいます。弁護士とこれらの士業とでは、何が異なるのでしょうか。

行政書士や司法書士と弁護士の一番の違いは「本人の代理人になれるかどうか」です。弁護士は本人の代理人として交渉や調停、裁判などが可能です。

一方、行政書士には一切の代理権が認められません。依頼できるのは書面作成だけです。司法書士の場合、国から認められた「認定司法書士」であれば「140万円以下の紛争」についてのみ代理権がありますが、それを超える金額の紛争は代理できません。遺産分割調停の代理権も認められません。

遺産相続トラブルでは、140万円を超える紛争となるケースがほとんどでしょう。死後に紛争になった場合、対応できるのは弁護士のみとなります。

遺言書作成費は弁護士費用が10万~20万円ほどかかるのに対し、司法書士や行政書士の費用は安くなるのが一般的です(ただし事務所によります)。例えば、行政書士の費用はおおむね10万円です。これは、弁護士には紛争対応が可能なのに対し、行政書士や司法書士には対応できないからです。

費用が安いからといって行政書士などに対応を依頼しても、トラブルになったら改めて弁護士に相談しなければなりません。結局二重払いになって費用が高くなるでしょう。トラブルになる可能性があるなら、最初の段階から弁護士に依頼するのが得策といえます。

弁護士に遺言書を作成してもらうときには、自分の希望をしっかり伝えることが大切です。遺言書においてもっとも重要なのは本人の意思だからです。いくら専門家とはいっても、家族の内情まではわかりません。ご本人がしっかり希望を伝えてこそ、弁護士側もベストな対応ができるのです。

懸念される問題を事前に伝えておけば、効果的にトラブルを予防できる内容の遺言書にしてもらえますし、万一の場合にはスピーディに対応してもらえるでしょう。

遺言書作成を専門家に依頼しようとするとき、費用の安い行政書士事務所などに目が向くかもしれません。しかし死後にもめそうな場合、当初から弁護士に依頼する方が結局コストを抑えられる可能性が高くなります。

下記のようなケースでは、当初から弁護士に相談したほうがよいでしょう。

  • 遺産に不動産が含まれている
  • 相続人同士が不仲で、もめる恐れがある
  • 生前贈与を受けた子どもがいる
  • 前婚の子どもや認知した子どもがいる

実は弁護士費用の金額は、依頼する弁護士事務所によっても大きく異なります。中には高額な事務所もあるので、できるだけ良心的な事務所を選びましょう。いくつかの法律事務所で見積もりをもらい、リーズナブルな事務所を選定する方法がおすすめです。

また、相続案件を得意とする弁護士もいれば、経験がない弁護士もいます。実際に会って話してみて、信頼できる弁護士か確認してみて下さい。その際には、無料相談を上手に活用してみるとよいでしょう。

遺言書作成の際は、専門家の力を借りると、自分で対応するよりスムーズに適切な内容の書面に仕上げられます。いくつかの士業がある中で、やはりもっとも頼りになるのは弁護士といえるでしょう。迷ったときには、まずはお近くの弁護士事務所で相談を受けてみてください。

(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)

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