1.弁護士に遺言作成を依頼するメリット

そもそも弁護士に遺言書の作成を依頼するとどういったメリットがあるのでしょうか。

1-1.当初相談から死後のトラブル対応までワンストップで対応可能

弁護士は、遺言書の作成だけではなく遺言執行や遺産相続トラブルの解決まで対応できる専門家です。弁護士に相談すれば、遺言書作成、保管、遺言執行、死後のトラブル回避や解決まで、およそ相続税以外の手続きをすべて任せられるので安心できるでしょう。

1-2.せっかくの遺言書が無効にならない

遺言書を自分で作成すると、不備が発生して無効になってしまうリスクが高くなります。弁護士に依頼すれば法的に正しい方法で遺言書を作成できるので、要式不備で無効になる可能性はほぼありません。

1-3.相続トラブル予防

世間では、遺言書がもとで相続トラブルになるケースが多々あります。弁護士に依頼すれば、トラブルを予測して回避する工夫ができるので、死後の相続トラブルを予防しやすくなります。

1-4.万一の場合、スムーズにトラブル解決

死後、相続人同士でトラブルになってしまった場合でも、弁護士が交通整理をすれば比較的スムーズに解決しやすいものです。親族同士で何年も争い続ける悲劇を避けやすくなるでしょう。

2.遺言作成にかかる弁護士費用相場は?

弁護士には遺言書の作成や遺言執行を依頼できます。相談、作成、執行に分けて弁護士費用の相場をみていきましょう。

2-1.相談費用

弁護士に遺言書作成を相談すると、相談料がかかります。相場としては30分5000円(税別)。だいたい1時間分の1万円(税別)程度、用意しておけば良いでしょう。なお、依頼後は相談料がかからなくなるので、相談料が必要なのは当初の1回と考えておけば大丈夫です。ただしこれは初回に依頼したケースです。また、無料相談を受けてくれる弁護士事務所であれば、相談料はかかりません。

2-2.遺言書作成費用

遺言書を作成すると、作成手数料がかかります。遺言内容や遺産額にもよりますが、最低でも10万円はかかるでしょう。相場としては20~30万円程度と見ておいてください。複雑なケース、遺産額が多いケースなどでは50万円を超える可能性もあります。

2-3.遺言執行にかかる費用

弁護士に「遺言執行者」への就任を依頼すると、別途費用が発生します。遺言執行者とは、遺言内容を実現する人のこと。預貯金の払い戻しや不動産登記などを行います。遺言執行者への就任を依頼した場合、最低でも30万円程度はかかると考えてください。業務内容が多岐にわたるケースや遺産が多い場合などには増額され、状況によっては100万円を超える可能性もあります。

2-4.その他の費用

現地調査を行うために出張が必要となる場合などには、日当や交通費が必要です。交通費は実費、日当は日額3~5万円程度となるでしょう。また公正証書遺言を作成する時には、公証役場に払う「実費」がかかります。こちらは公証人の手数料ですので、自分で遺言書を作成する場合にも必要です。金額は遺産額によって異なりますが、数万円(10万円以下)となるケースが多いでしょう。

3.遺言書作成において弁護士と他の専門家の違い

遺言書作成を依頼できる専門家には弁護士以外にも「司法書士」や「行政書士」があります。弁護士とこれらの士業とでは、何が異なるのでしょうか。

3-1.行政書士や司法書士には「代理権」がない

行政書士や司法書士と弁護士の一番の違いは「本人の代理人になれるかどうか」です。弁護士は本人の代理人として交渉や調停、裁判などが可能です。

一方、行政書士には一切の代理権が認められません。依頼できるのは書面作成だけです。司法書士の場合、国から認められた「認定司法書士」であれば「140万円以下の紛争」についてのみ代理権がありますが、それを超える金額の紛争は代理できません。遺産分割調停の代理権も認められません。

遺産相続トラブルでは、140万円を超える紛争となるケースがほとんどでしょう。死後に紛争になった場合、対応できるのは弁護士のみとなります。

3-2.弁護士費用が高い理由

弁護士費用と司法書士や行政書士の費用を比べると、多少弁護士費用の方が高くなるのが一般的です(ただし事務所によります)。これは、弁護士には紛争対応が可能なのに対し、行政書士や司法書士には対応できないからです。

3-3.当初から弁護士に依頼した方が良いケースも

費用が安いからといって行政書士などに対応を依頼しても、トラブルになったら改めて弁護士に相談しなければなりません。結局二重払いになって費用が高くなるでしょう。トラブルになる可能性があるなら、最初の段階から弁護士に依頼するのが得策といえます。

4.弁護士に遺言を作成してもらう時の注意点

4-1.希望をしっかり伝える

弁護士に遺言書を作成してもらうときには、自分の希望をしっかり伝えることが大切です。遺言書においてもっとも重要なのは本人の意思だからです。いくら専門家とはいっても、家族の内情まではわかりません。ご本人がしっかり希望を伝えてこそ、弁護士側もベストな対応ができるのです。

懸念される問題を事前に伝えておけば、効果的にトラブルを予防できる内容の遺言書にしてもらえますし、万一の場合にはスピーディに対応してもらえるでしょう。

4-2.もめそうなケースでは当初から弁護士に依頼する

遺言書作成を専門家に依頼しようとするとき、費用の安い行政書士事務所などに目が向くかもしれません。しかし死後にもめそうな場合、当初から弁護士に依頼する方が結局コストを抑えられる可能性が高くなります。

・遺産に不動産が含まれている
・生前贈与を受けた子どもがいる
・前婚の子どもや認知した子どもがいる

上記のようなケースでは、必ず当初から弁護士に相談しましょう。

4-3.弁護士事務所を比較する

実は弁護士費用の金額は、依頼する弁護士事務所によっても大きく異なります。中には高額な事務所もあるので、できるだけ良心的な事務所を選びましょう。いくつかの法律事務所で見積もりをもらい、リーズナブルな事務所を選定する方法がおすすめです。無料相談を上手に活用してみてください。

まとめ

遺言書作成の際は、専門家の力を借りると、自分で対応するよりスムーズに適切な内容の書面に仕上げられます。いくつかの士業がある中で、やはりもっとも頼りになるのは弁護士といえるでしょう。迷ったときには、まずはお近くの弁護士事務所で相談を受けてみてください。

(記事は2021年1月1日時点の情報に基づいています)