目次

  1. 1. 資産を把握することが大切
  2. 2. 資産を洗い出してリスト化する
  3. 3. 金融資産を三つに分類する
    1. 3-1. ①生活費の補填に使うお金
    2. 3-2. ②生活費以外に使うお金
    3. 3-3. ③医療や介護に備えるお金
  4. 4. 資産額でまかなえない場合の対策
  5. 5. リストを家族で共有する

「相続会議」の税理士検索サービス

リタイア後のお金について、誰もが多少なりとも不安に感じているのではないでしょうか。にもかかわらず、自分のお金のことがきちんと把握できていない人を多く見かけます。

現役時代は、お給料で毎月の支出がまかなえれば、家計はなんとか回っていきますが、リタイアして収入が年金だけになると、月によっては赤字になることもあるかもしれません。また、リタイア後にはボーナスがないので、趣味や旅行に使うお金、家具や家電の買換えなどまとまった支出があるときは、保有している金融資産を取り崩して使うことになります。

資産額がわからないままお金を使っていると、場合によっては「老後破産」の可能性もあります。逆に、資産が減るのが心配でお金を使えず、結果として多くの資産を残したまま亡くなってしまうのは残念です。ですから、金融資産がどのくらいあるのかを把握し、どの程度お金が使えるのかに応じてリタイア後のライフプランを立てる「お金の終活」が大切です。

お金の終活は相続の際にも重要です。

人の寿命は予測できず、元気な人でもいつ相続が起こるかはわかりません。また、長生きすれば、認知症のリスクも高まります。そんなとき、どんな財産がどこにあるのかが明らかでないと、家族に迷惑をかけることになります。そうならないためには、財産を整理して、その内容を家族と共有しておく必要があります。

とはいえ、お金のことは何かと面倒で、何から手をつけていいのかわからないかもしれません。「お金の終活」で何をしたらいいのかを見ていきましょう。

お金の終活ですべきなのは資産の洗い出しです。どこにいくらお金があるのかを、預貯金の通帳や証券会社の取引報告書などで調べてリスト化します。自宅以外に不動産を保有している場合は、それも記載します。

万一のときに家族が手続きできるよう、加入している生命保険や保有しているクレジットカード、契約している携帯電話会社、さらに、たとえばスポーツクラブや動画配信などのサブスクリプション(定額課金)など、毎月会費が口座から引き落とされているものも書き出しておきます。

資産のリストはどんな形式でもかまいません。市販のエンディングノートを使うのも良いでしょう。

お金の終活でリストアップする主な項目

リストアップしていくなかで、使っていない預貯金口座や証券口座が見つかることもあるはずです。口座が多いと管理が大変になるうえ、不正使用のリスクもあるので、稼働していない口座は解約しておくと良いでしょう。使用頻度の低い会員制サービスやサブスクリプションなどもあるかもしれません。使っていないサービスに会費を払うのはムダですから、こちらも解約しておきましょう。

資産を洗い出して、金融資産がいくらあるかがわかったら、それを分類します。資産を目的別に分ければ、使っていいお金と残しておくべきお金がわかり、計画的に使うことができます。

毎月の収支が赤字になる場合に必要となります。長生きした場合に備えて、年間赤字額に平均余命プラス5歳くらいまでの年数をかけた金額を準備しておくと安心です。

趣味、旅行、住まいのメンテナンスやリフォーム、車の買い換え、墓地の購入などに使うお金です。具体的に、いつごろ、いくらくらい必要かを見積もって、その合計額を出します。

1人につき200~300万円程度あると良いでしょう。将来的に高齢者向けの住宅や介護施設に移り住みたいと考えているなら、入居一時金相当額をプラスします。

税理士への相続相談お考え方へ

  • 初回
    無料相談
  • 相続が
    得意な税理士
  • エリアで
    探せる

全国47都道府県対応

相続の相談が出来る税理士を探す

保有している資産額で①~③がまかないきれない場合は、下記のような対策を立てましょう。

  • 収入を増やす方法を考える
  • 家計を見直してムダな支出を減らす
  • 生活費以外のお金の予算を下げる

なお、①~③に分けたあとに資産が残ったら、それは子や孫に残すことになります。あるいは、相続の際に公益団体などへ遺贈(寄付)することも考えられます。残った金額や家族構成などによっては、遺産分割の仕方も決めておいたほうが良いかもしれません。遺産額が相続税の基礎控除(非課税枠)を上回るようであれば、相続税対策も必要になります。

このように、資産をリストアップすることは相続対策の第一歩になり、遺言書を書く際にも役に立ちます。

リストアップしたものは、万一に備えて家族と共有しておきましょう。その際、金融資産の残高は記載しなくてもかまいません。また、取引口座のパスワードなども伝える必要はありません。残高は預金の引き出しや株価などで変動するし、残高やパスワードが誰でも見られるような状態にしておくのは危険だからです。

残高は自分と配偶者が把握していればOKです。子どもなどに知らせるなら、口頭で伝えるのも一案でしょう。パスワードを残しておく場合は、資産のリストとは別に保管します。

相続のとき、どこに何があるのかさえわかれば、遺族は残高を調べることができます。ネット銀行やネット証券などは、その存在を家族が把握していないと資産を引き出せないので、口座があることを必ず伝えておかなければなりません。

資産をリストアップしたあとも、残高などは変動するので、資産状況は定期的に確認すると良いでしょう。

資産額を計算して目的別に分類しておけば、安心してお金を使うことができ、リタイア後のお金に対する不安が解消されるだけでなく、万一への備えにもなります。少しずつでも良いので、資産のリストアップを始めてみてください。

(記事は2021年5月1日時点の情報に基づいています)

「相続会議」の税理士検索サービス