新たに見つかった財産に対して延滞税がかかる

  • 相続税申告は10カ月の期限があるけれど、申告した後に新しい財産が見つかったらどうなるんだろう? 申告した後で新しい預貯金通帳が見つかったときとか。

    長男・太郎
  • いい質問ですね。後から通帳が見つかった場合、家族が亡くなり、相続することになった時点で残高があれば、相続税の申告に加えなくてはいけません。相続税の申告が済んでいれば、修正申告という形でやり直す必要があります。

    ソーゾク博士
  • えっ、相続税の申告書をまたつくるのは面倒だなぁ。

    太郎
  • しかも、新たに見つかった財産については、遺産分割協議が必要になるので、相続人同士で話し合う手間もかかります。できれば、そうならないように最初から正しい申告書をつくっておきましょう。

    博士
  • 相続税申告をしなかった場合のように、修正申告をした時にも無申告加算税のようなペナルティーがあるんですか?

    父・一郎
  • あります。修正申告をしたということは、期限内に出した申告書は不十分な内容だったということです。そこで、申告不足だった税額に対して過少申告加算税がかかります。また、修正申告にともなって増える税額は、期限後に納付することになるので、未納税額に対し延滞税もかかります。

    博士

相続税の申告漏れの多くが預貯金や現金

  • 前回、相続税申告が遅れた場合に納める延滞税は、日割り計算でかかるという話でしたよね。過少申告加算税はどう計算するんですか?

    一郎
  • 修正申告をせずに放置していて税務調査で申告漏れを指摘された場合、過少申告加算税の税率は、申告不足の税額に対して10または15%です。税務調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすると、過少申告加算税は免除されます。

    博士
  • だったら、申告後に新たな財産が見つかった場合は、できるだけ早く修正申告をしたほうが安心ですね。

    太郎
  • そうです。過少申告加算税が免除になる可能性が高まるうえ、未納税額を早く納めれば延滞税も低くなりますからね。

    博士
  • 期限内にきちんとした申告書を出して、納税するのが一番ですね。

    一郎
  • そのとおりです。国税庁の資料によると、申告漏れになる相続財産のうち、金額が多いのが「現金・預貯金等」だそうです。まずは、親が生前のうちに預貯金口座を漏れなく把握しておくといいでしょう。

    博士
  • 父さん、そういえば銀行口座っていくつ持ってるの?

    太郎
  • えっと……。まずは家を整理して通帳を見つけないといけないな。

    一郎
  • ネット銀行など通帳がない金融機関もあるんだから、もしもの時、相続する僕らだけで確認してもわかるようにしておいてよ。

    太郎

■新たな財産が見つかったら

・改めて遺産分割協議をして相続する人を決める
相続する人は早めに修正申告をする

(今回のソーゾク博士=元国税専門官・ライター小林義崇さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年6月1日時点での情報に基づきます)