相続の手続きは3、4、10カ月で大事な締め切りがくる 家族が亡くなった時の手続き
家族が亡くなると、役所に届け出る手続きがたくさんあります。相続税は10カ月以内に申告する必要があり、遅れると延滞税などのペナルティーが科せられます。今回は家族が亡くなった後に必要な手続きをソーゾク博士に教えてもらいます。今回の記事を監修してくれたソーゾク博士は、弁護士の勝本広太さんです。
家族が亡くなると、役所に届け出る手続きがたくさんあります。相続税は10カ月以内に申告する必要があり、遅れると延滞税などのペナルティーが科せられます。今回は家族が亡くなった後に必要な手続きをソーゾク博士に教えてもらいます。今回の記事を監修してくれたソーゾク博士は、弁護士の勝本広太さんです。
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学生時代の同級生が夫を亡くしたと聞いてお葬式に行ったけれど、あまりにも忙しそうで、お悔やみも言わずに帰ってきちゃった。お父さんが亡くなったら、私も故人の妻として、あんなに忙しくなるのかしら。
母さん、俺が先に逝くとは限らないんだぞ。
どっちが先でも、僕が一番大変なんだろうなぁ。でも、忙しいのは葬儀の前後でしょ。
家族が亡くなったら、やらなければならない手続きがたくさんあります。まずは亡くなってから初七日までの手続きです。医師から「死亡診断書」をもらい、役所に「死亡届」と「火葬許可申請書」を出します。役所からは「火葬許可証」が交付されます。同時に葬儀社に連絡して葬儀の準備を始めます。公的な手続きも必要です。亡くなった人が年金を受給していれば、年金受給の停止手続きや健康保険・介護保険の資格喪失届の提出が必要です。一郎さんが亡くなった場合は世帯主の変更届も出しましょう。
なんだか、今から考えただけでクラクラしてくるわ。
まだ、続きがありますよ。相続の手続きは、亡くなったことを知った日の翌日から3カ月、4カ月、10カ月で締め切りがきます。まず、3カ月以内に遺産を相続するか、相続を放棄するか決める必要があります。放棄する場合には、家庭裁判所で手続きが必要です。つまり、3カ月以内に故人にどんな遺産があるのか調べる財産調査を終える必要があります。その間に遺言書があるかどうかも確認します。
借り入れなど、マイナスの財産の方が多い場合、相続放棄を検討するんですよね。遺産を調べて決断するまでに3カ月しかないのか。
続いて、亡くなった人がその年に得た所得を計算して、亡くなった人に代わって確定申告をします。これを準確定申告といい、4カ月以内に申告します。その間にもやることはありますよ。相続人全員で遺産分割協議をします。遺言書があれば、その内容に従って遺産を分けます。相続税の申告が必要なら、10カ月以内に書類をそろえて現金で相続税を納めます。クレジットカードでも支払えます。
手続きに追われていると、お父さんが亡くなってからあっという間に1年が経ちそう。何だか悲しんで泣いている暇もなさそうねぇ。
申告して終わりではありませんよ。不動産などを相続したら名義変更する相続登記が必要です。生命保険の受け取りの手続きも忘れずに。大変なのは、各手続きに戸籍謄本や亡くなった人の除籍謄本、相続人全員でまとめた遺産分割協議書などの必要書類が膨大にあることです。深い悲しみの中で相続人同士が協力しあって進めることが肝心です。
父さんが死んだ年は、有給休暇は役所通いで消えそうだ。
まぁ、せいぜい俺のことを思い出しながら手続きしてくれよ。
10カ月はあっという間にやってきます。一郎さんも生前に協力できることはありますよ。自分の遺産となる財産をまとめておくなど、残される家族のためにも準備しておきましょう。
(今回のソーゾク博士=弁護士・勝本広太さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年9月1日時点での情報に基づきます)
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