相続放棄は「法定単純承認」に注意 知らない間に相続したことに?
亡くなった親の借金を相続したくないと思ったら、選択肢の一つとして相続放棄を考えてください。手続きを進めるうえでの注意点をソーゾク博士がまとめてお伝えします。
亡くなった親の借金を相続したくないと思ったら、選択肢の一つとして相続放棄を考えてください。手続きを進めるうえでの注意点をソーゾク博士がまとめてお伝えします。
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友達の父親が亡くなったんだけど、実は借金があったんだって。どうやって返済するのか悩んでいたよ。まだ子どもの教育にもお金がかかるだろうし、いい方法はないだろうか。
親が亡くなった後は、ただでさえ精神的負担が重いです。その上に借金が判明したというのは大変ですね。ご友人は相続放棄を検討したのでしょうか。
遺産を相続する権利を放棄するというイメージがあるわ。
そうですね。法的には、相続放棄をすると「最初から相続人ではなかった」とみなされます。相続放棄をするか否かを判断する際には、相続財産を調べて債務などの有無を調べることが大事です。
マイナスの遺産の有無を調べるのは大変そうですね。
まずは、個人信用情報機関に問い合わせる、遺品に借金の契約書がないかを調べるといった方法が考えられます。難しいとは思いますが、被相続人が亡くなる前に、借金の有無などを聴いておけるといいですね。
自分の借金を子どもに伝えるのは、親の心情からすると簡単にはいかなさそう。
確かに、自分の恥ずかしいところを見られるというイメージがあるかもしれず、なかなか難しいと思います。郵便物の中に請求書や督促状がないかどうかを確認するのも一つの方法です。自分で調べるのが難しければ、弁護士など専門家へご相談ください。
相続放棄には、どういった手続きが必要なんでしょう。
相続放棄の申述書を作成して、戸籍謄本などとともに家庭裁判所へ提出します。ですが、相続放棄が受理されないこともあるのです。
受理されなかったら困る人もたくさんいそう…。どういうケースか教えてください。
たとえば「法定単純承認」が成立してしまう場合です。具体的には、相続財産を使ってしまった、預貯金の払い戻しを受けた、経済的価値のある遺品を持ち帰ったといったケースで、法定単純承認が成立します。葬儀代の支払いは例外とする考え方もありますが、いずれにしても相続財産を使う場合は法定単純承認に注意してください。
3カ月以内という期限にも気をつけたほうがいいですよね。
相続開始を知ってから3カ月以内に相続放棄の手続きをしなかった場合にも、原則として法定単純承認が成立します。「財産を相続するつもりはないから、そもそも相続放棄の手続きは必要ない」と軽々に考えてはいけませんよ。後から債務が判明した場合に困る可能性があります。
親と疎遠になっていて、そもそも亡くなったことを知らなかった場合にはどうすればいいのでしょう。
相続があったことを知らなかったり、日が経ってから被相続人の借金の有無が分かったりした場合には、3カ月を過ぎても相続放棄できることがあります。ケース・バイ・ケースで対応も変わるので、気になったら、まずは弁護士などにご相談ください。
今回のソーゾク博士=ゆら総合法律事務所・弁護士阿部由羅さん、構成=相続会議編集部
・単純承認したとみなされないように注意
・手続きは3カ月以内。場合によっては過ぎてもOK
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2023年2月1日時点での情報に基づきます)
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