本人に代わり交渉、裁判所の手続きも代行できる

  • ドラマで相続が取り上げられると、遺産を巡って家族がもめているところに弁護士がさっそうと登場する、なんてシーンがよくあるよなぁ。相続は手続きが複雑そうだから、専門家に助けて欲しいよな。

    夫・一郎
  • そうね。相続は何度も経験することでもないし、専門的な言葉も多くて難しい。しかも法律が関わるから、勝手に手続きして間違いがあったら大変なことになりそう。詳しい人がいると心強いけれど、その専門家が誰なのかすらよくわからないわ。

    妻・正子
  • 相続について相談できる専門家の代表例は弁護士です。もめ事がある場合、本人に代わって交渉したり、裁判所の手続きを代行したりできるのは、弁護士だけです。

    ソーゾク博士
  • でも、弁護士に依頼するというと、ドラマのように骨肉の争いになった場合だけのような気がして、ちょっと大げさな気もするのよね。

    正子
  • 弁護士は法律の専門家なので相続人となる人が誰かを調べる相続人調査や相続財産の調査はもちろん、遺言書の相談や遺産分割協議書の作成も依頼できます。争いがある場合しか相談できないわけではありません。

    博士

まずは初回の相談無料を利用してみては

  • 弁護士事務所にいきなり行くのは少し抵抗があるけれど、どうやって連絡すればいいの?

    正子
  • 多くの事務所では、初めての方に無料相談を実施しています。依頼するか迷ったら、まずは気軽に連絡してみてください。ただし、相続税の申告は税理士、相続した不動産の登記といった手続きは司法書士が専門的に扱う分野です。

    博士
  • 相続と言っても、いろいろな資格があるんだな。

    一郎
  • 相続人の間で遺産を巡ってトラブルになった場合の相談は弁護士しか受けられません。例えば、遺産の分け方で折り合えなかったり、他の相続人が遺産を使い込んでいる可能性があったり、遺言書の有効性をめぐって争うケースなどが考えられます。

    博士
  • そんなトラブルは起きないに越したことはない。でも、弁護士はどうやって解決に導いてくれるの。

    正子
  • 具体的には遺産の使い込みが疑われる場合には、亡くなった人の預金がどのように使われていたのかを調べます。また、トラブルが生じると、相続人同士で会話すらままならなくなるかもしれません。弁護士が依頼した人の代理人になって遺産分割協議を進めることもできます。

    博士
  • ドラマだと、相続がもつれて裁判になるシーンもありそうだ。

    一郎
  • 遺産分割協議がまとまらないままだと、調停や審判といった裁判所での争いに発展することもあります。そういう争いが予想される場合は、一人で悩むよりも事前に法律のプロである弁護士に頼ったほうがよいでしょう。弁護士は、単に依頼者の代理人になるだけではなく、円滑に相続できるようアドバイスもしてくれます。

    博士
  • 法律のプロと聞くと、やっぱりハードルが高くって、どんな人を選んだらいいのか悩ましい。

    正子
  • その考えは、ごもっともです。次回は、弁護士の選び方を説明していきましょう。

    博士

■弁護士ができること

・遺産分割協議や調停・審判など、多くの相談に対応できる

・依頼した人の代理として交渉できる権限を持つ

(今回のソーゾク博士=弁護士法人アクロピース代表弁護士・佐々木一夫さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年9月1日時点での情報に基づきます)