代襲相続はどこまで続く? 孫、ひ孫…と権利は受け継がれる 例外はきょうだいの相続
親が亡くなった時、相続人になる子どもが既に亡くなっていたら、その子どもである孫が相続人になります。代襲相続といいますが、相続する権利はどこまで受け継げるのでしょうか。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、川崎相続遺言法律事務所・弁護士勝本広太さんです。
親が亡くなった時、相続人になる子どもが既に亡くなっていたら、その子どもである孫が相続人になります。代襲相続といいますが、相続する権利はどこまで受け継げるのでしょうか。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、川崎相続遺言法律事務所・弁護士勝本広太さんです。
「相続会議」の弁護士検索サービスで
日本は超高齢社会になって、老老介護も珍しくないでしょう。両親が長生きするのはうれしいけれど、お父さんが介護が必要になる頃には、私も高齢者になるのよね。
寿命は誰にもわからないからな。お前たちはよく「父さんが死んだら相続はどうなる?」って言うけれど、父さんよりも先に母さんや長男の太郎、花子が亡くなることだってないわけじゃない。
父さんより先に兄さんが亡くなっていたら、兄さんの子どもが兄さんの代わりに相続人になるのよね。
そうです。一郎さんが亡くなった時、既に長男の太郎さんが亡くなっていたら、太郎さんのお子さんが代わって相続するので「代襲相続」といいます。
お父さんがすごく長生きして、孫まで亡くなっていたら、孫の子どもが相続人になるの?
はい。亡くなった人の子どもが既に亡くなっている場合は孫へ、孫も亡くなっていたらひ孫へと子どもがいる限り代襲相続する権利が受け継がれます。
博士、私より先に太郎が亡くなっていたら、私の相続人は妻と長女の花子、長男の子、つまり孫になるということですね。
その通りです。遺産を分ける遺産分割協議も3人ですることになります。法定相続分は妻が2分の1、残る2分の1を長女の花子さんとお孫さんとで分け合います。
おいっ子と遺産を分け合うのかぁ。「おばさん、財産を欲しがるね」とか言われたら嫌だなぁ。
子どもがいない家で夫が亡くなった場合、相続人は妻と、故人の両親や祖父母など直系尊属と呼ばれる人になります。その人が全員亡くなっていたら、故人のきょうだいが相続人になります。ただ、きょうだいも高齢でしょうから、既に亡くなっている人もいるでしょう。その場合、相続する権利はきょうだいの子ども、つまり故人のおいやめいに移ります。
おいやめいが亡くなっていたら、さらにその子どもが相続人になるんですか?
いえ、なりません。きょうだいが既に亡くなっている場合、代襲相続できるのはきょうだいの子、つまり故人にとってはおい・めいまでです。この点が子どもの代襲相続とは違う点です。
親族とはいえ、関係が薄いおじさんの遺産なんて欲しがるかしら?
関係が薄い間柄だからこそ「遺産をもらう権利が自分にあるのなら、少しでも遺産をもらいたい」と権利を主張しやすくなり、もめる恐れもあります。
きょうだいには、相続人に最低限保障される遺産の取り分の「遺留分」は認められていません。子どもがいない夫婦で夫が亡くなった場合、妻は夫の親やきょうだいと遺産分割協議をしなければなりません。争いになることを防ぐためにも、ぜひ遺言書を作成することを検討してみてください。
・死亡した親の子が既に亡くなっていたら、孫が相続する
・きょうだいが代襲相続できるのはきょうだいの子まで
(今回のソーゾク博士=川崎相続遺言法律事務所・弁護士勝本広太さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年9月1日時点での情報に基づきます)
「相続会議」の弁護士検索サービスで