目次

  1. 1. 残された配偶者が自動的に全財産を相続? 違います!
  2. 2. トラブル回避のためにも遺言書作成を
  • 親友がお連れ合いに先立たれて。子どもがいないから一人でつらそうだわ。

    妻・正子
  • 相続の手続きもあって大変だな。遺言書はあるんだろ?

    夫・一郎
  • どうかな、聞いてない。でも、子どもがいないと、自動的に配偶者が全財産を引き継ぐんじゃないの?

    正子
  • 違います! 亡くなった方の親や兄弟姉妹が相続人として権利を持ち、残された配偶者と親または兄弟姉妹が遺産分割の協議をしなければならないんです。

    ソーゾク博士
  • えっ、そうなんですか。

    正子
  • 子どもがいない夫婦の相続人は、亡くなった方の親が存命なら「配偶者と親」、親や祖父母が亡くなっているが兄弟姉妹がいる場合は、「配偶者と兄弟姉妹」です。また、兄弟姉妹がすでに亡くなっていれば、その兄弟姉妹の子どもが相続人となります。 法定相続分は、相続人が配偶者と親の場合、配偶者3分の2、親3分の1。配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1です。両親や兄弟姉妹が複数の場合は、相続分を人数で割ります。

    博士
  • 親族と長年疎遠だと、連絡を取ること自体、気が重いな。

    一郎
  • 財産が土地や建物しかない場合もトラブルになりがち。不動産自体を分けることは難しいため、不動産を相続する人が他の相続人に代償金として相続分に見合った金銭を渡すケースはよくありますが、代償金を支払えない、代償金の額で争う、ということも少なくありません。自宅不動産しかない遺産を配偶者に相続させたい場合は、気を付けないといけません。

    博士
  • 住む家がなくなったら大変! そうならないための方法は?

    正子
  • 生前対策で遺言書を作ることです。遺言書があれば、相続人同士で遺産分割の話し合いをする必要もなくなります。ただし、法定相続人に最低限保障されている遺産の取得分「遺留分」には注意が必要です。 例えば、配偶者と親が相続人の場合、「配偶者に全財産を」という遺言を作っても、親は遺留分として、遺産の6分の1相当の金銭を配偶者に請求できます。他方で、遺留分を請求する権利は兄弟姉妹にはありません。

    博士
  • 生命保険の受け取りを配偶者にしておくのも対策の一つですよね。

    一郎
  • その通り。保険金は受取人の固有財産とみなされるので遺産分割や遺留分の算定の対象外です。遺言書を作ったけれど遺留分で争いがありそうなら、遺留分として他の相続人へ支払うお金を、保険金で準備しておくのも手です。 生前贈与も一案です。生前に自宅を配偶者に贈与すれば、確実に配偶者が取得できます。また、2018年の法改正で新設された「配偶者居住権」に基づき、一定の要件を満たせば、配偶者は住んでいた家に引き続き住むことができます。詳しくは弁護士に相談するといいでしょう。

    博士

■子どものいない夫婦の相続

● 残された配偶者と義両親または義兄弟姉妹が相続人
● 相続トラブル回避のためにも遺言書など生前対策を

(今回のソーゾク博士=Authense法律事務所弁護士・堅田勇気さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年6月1日時点での情報に基づきます)