「相続会議」の弁護士検索サービス

分割できない遺産を分ける方法は4つ

  • わが家の財産にはこの持ち家も含まれる。不動産の場合、どう遺産分割すればいいんだろうか。

    父・一郎
  • 細かく分けられない財産には不動産のほか、株式などの有価証券、美術品などもありますね。 こうした場合に遺産を分ける方法は、4つあります。「現物分割」「代償分割」「換価分割」という分割方法と、分割せずに相続人の間で持ち合う「共有」です。

    ソーゾク博士
  • それぞれどんな違いがあるんですか。

    長男・太郎
  • まず「現物分割」とは、不動産や株式などを財産別に誰がどれを相続するかを決めて、そのままの状態で分ける方法です。相続手続きが簡単になるというメリットがあります。ただ、財産を平等に分割できるとは限りません。相続人の間で不公平感が出やすいという面があります。

    博士
  • 特定の人が価値の高いものを独り占めすることも起こりそうね。

    母・正子
  • 2つ目の「代償分割」は不動産などを相続人の1人が相続して、代わりに他の相続人に一定の代償金を支払う方法です。2千万円の価値がある実家を子ども2人で相続するとします。兄がこの家を相続する場合、弟には法定相続分(2分の1)に相当する1千万円を代償金として支払います。

    博士
  • それなら不公平感は生まれにくいかもしれないな。

    一郎
  • ただ、財産を取得する相続人に代償金の支払い能力があることが前提です。また、相続する不動産の資産価値をめぐって相続人同士の意見が食い違う恐れがあります。

    博士
  • じゃあ「換価分割」はどう?

    太郎
  • 不動産などの財産は売却して換金し、現金を相続人で分け合う方法です。いらない遺産を処分でき、公平な遺産分割が可能になるメリットがあります。ただ、長年住んだ実家を売却するのをためらう人がいたり、売却する経費がかかったりして、残る金額が予想より少なくなる可能性もあります。

    博士

「共有」はトラブル招く恐れも

  • それぞれ難しさがあるのね。みんなで共有したらいいんじゃない?

    正子
  • 相続人全員または相続人の一部で持ち合う方法です。共有にした場合、財産を売却したり活用したりする時には他の共有者の承諾が必要です。柔軟な運用や売却が難しくなるうえ、管理や維持にかかる費用を誰が負担するかを巡ってトラブルになる可能性もあります。共有の状態で持ち続けることは避けた方がいいでしょう。

    博士

分割できない遺産がある場合は

・そのまま引き継ぐ現物分割
・代償金を支払う代償分割
・売却金を分け合う換価分割
・共有

(今回のソーゾク博士=鳥飼総合法律事務所弁護士、奈良正哉さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年12月1日時点での情報に基づきます)

「相続会議」の弁護士検索サービス