「相続会議」の弁護士検索サービス

遺留分って一体ナニ?

  • 「遺留分」って知っているか? 会社の上司と相続について話していて話題になったんだ。

    父・一郎
  • 聞いたことないわ。相続って法律の専門用語が多い。

    母・正子
  • 「遺留分」が気になるようですね。

    ソーゾク博士
  • 博士、いいところに来てくれました。今日も教えてください。

    一郎

受け取れる相続人は決まっている

  • 遺留分は、亡くなった人の配偶者など、一部の法定相続人に保障される遺産の取得分です。最低限、相続できる権利と考えてください。たとえば、特定の人が遺産の全てを受け取るような遺言は不公平ですよね。このため、法律に基づき一定の財産を取得できるようになっているのです。

    博士
  • 「一部の法定相続人」と言われましたが、全員じゃないの?

    正子
  • そうなんです。遺留分が認められるのは次の相続人です。①配偶者②子ども、孫などの「直系卑属」③親、祖父母などの「直系尊属」です。兄弟姉妹のほか、おい、めいにはありません。

    博士
  • 「最低限」とは、どれぐらいなんですか。

    一郎

2つのステップで計算

  • 計算方法から説明します。二つのステップがあり、「全体でどのくらいの遺留分が認められるか」を意味する「総体的遺留分」を把握します。その後、個別の人が受け取れる「個別的遺留分」を計算します。

    博士
  • うーん、難しそうだ。

    一郎
  • 総体的遺留分は、相続人によって異なります。相続人が配偶者や子どもの場合、総体的遺留分の割合は遺産全体の2分の1です。直系尊属のみの場合は、3分の1になります。次に個別的遺留分は、「総体的遺留分」に各相続人の「法定相続分」をかけ算して算出します。

    遺産総額3千万円で、配偶者と長男・次男が相続するケースで考えてみましょう。長男に遺産の全額を譲る遺言書が残されていたとします。この場合、相続人が配偶者と子どもなので、総体的遺留分は2分の1(1500万円)です。これに法定相続分をかけます。配偶者の法定相続分は2分の1なので、遺留分は750万円です。長男と次男は、総体的遺留分の2分の1に、それぞれの法定相続分の4分の1をかけると、遺留分は375万円ずつとなりますね。

    博士
遺留分の計算方法をまとめました
遺留分の計算方法をまとめました
  • 遺留分を計算した後は?

    正子
  • 遺産を多く受け取る相続人に遺留分を求めます。これを「遺留分侵害額請求」と言います。まず話し合いから始めるといいでしょう。滞りなく進められれば電話やメールでも大丈夫。相続人同士で合意できたら「遺留分侵害額についての合意書」を作成して支払いを受けます。

    博士
  • スムーズに進むといいが、相続人同士でもめそうな気もする。

    一郎
  • 話し合いで合意できない場合、家庭裁判所で調停を申し立てます。それでも合意できないと訴訟です。裁判所が遺産を評価して遺留分を計算し、支払い命令を下します。この場合は、弁護士に依頼したほうがいいでしょう。

    博士
  • おおごとになることもあるんですね。

    正子
  • 遺留分を請求するには時効もあるので注意してください。まず、お互いに冷静に話し合うことが大事です。財産をのこす人も、遺留分に配慮して遺言を書くことが必要かもしれません。

    博士

今回の記事のまとめ

・遺留分は、一部の法定相続人に保障される遺産の取得分

・算出方法は「総体的遺留分」を求めてから「法定相続分」をかけて計算する

・相続人同士でもめて話し合いで合意できないと調停になることも

(今回のソーゾク博士=Authense法律事務所弁護士、柳川智輝さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を内容を基に掲載しています。2021年10月1日時点での情報に基づきます。)

「相続会議」の弁護士検索サービス