遺言執行者とは 手続きなど実行、弁護士ら専門家に頼むことも
遺言通りに遺産分割が行われるかどうか、遺言を書いた人は自分が亡くなった後のことなので確認できません。心配だという場合に頼れるのが「遺言執行者」です。どんな役割を果たすのか、ソーゾク博士に聞きました。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所の主任研究員・玉置千裕さんです。
遺言通りに遺産分割が行われるかどうか、遺言を書いた人は自分が亡くなった後のことなので確認できません。心配だという場合に頼れるのが「遺言執行者」です。どんな役割を果たすのか、ソーゾク博士に聞きました。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所の主任研究員・玉置千裕さんです。
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相続の手続きって大変で、一郎さんにもしものことがあった時、私だけで終わらせられる自信がないわ。
確かに心配だ。私はまだまだ元気なつもりだけど、つい先日も元気だった友達が突然亡くなって、残された家族が困っていた。家族には心配かけたくないし、遺言は書いた方がいいんだろうな。
確かに遺言があれば、遺産分割を話し合わなくても済むので、財産の名義変更などの相続手続きをすぐに始められます。ただし、遺言を書いただけでは、その効果を十分発揮できない可能性があります。
遺言を書いただけではだめなんですか。
遺言は内容通りに実行されて、初めて効果が発揮されます。ただし、遺言を書いた人は、その時にはもうこの世にいません。内容が素晴らしくても、その通りに実行されない可能性があります。
何か方法はないの。
遺言の内容を実行する人を指定しておくとよいでしょう。このような人を「遺言執行者」と言います。亡くなった人の財産を調べて目録を作成し、遺言の内容に従って金融機関での預貯金の名義変更手続きのほか、不動産の相続登記なども行います。
特別な役割のように聞こえるけど、家族でもなれるの?
亡くなった人の配偶者や子どもといった家族でも可能です。ただし、相続手続きはとても大変です。配偶者が高齢だと、1人で終えるのが難しいこともあります。子どもも、仕事で忙しいケースも考えられます。
実家がある役所や金融機関に行くのは、仕事があると大変そうだ。
遺言執行者として、せっかく苦労して手続きを終えても、場合によっては、ほかの相続人から苦労を理解してもらえないばかりか、「時間がかかりすぎ」とか「本当は、ほかにも財産があるんじゃないか」などと言われることもあるかもしれません。
それは気がめいる。
相続をテーマにした調査からも、相続の手続きの大変さが分かります。三菱UFJ信託銀行が2021年に行った意識調査では、相続経験がある人に、何が負担だったり不満に感じたりしたかを聞くと、54.2%が「相続手続きだった」と答えました。もしも手続きに不安を感じた場合、弁護士や信託銀行などの専門家に遺言執行者になってもらうことも、一つの方法です。費用はかかりますが、第三者として確実に手続きを終わらせてくれます。
● 遺言の内容を実行してもらえるが、1人では大変なことも
● 専門家に遺言執行者になってもらうことも検討を
(今回のソーゾク博士=三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所の主任研究員・玉置千裕さん、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年4月1日時点での情報に基づきます)
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