遺言書を画像データ化して保管

  • まだ早い気もするがそろそろ遺言書の準備をした方がいいのかな。書いたものはどこにおいておけばいいんだろうか。仏壇かな。

    父・一郎
  • 父さんの部屋は散らかっているし、こっそりしまっていたら遺言書を探すのは大変だよ。

    長男・太郎
  • 法務局の遺言書保管制度を利用してはいかがですか? 自筆で作る遺言を専門用語で「自筆証書遺言」と言いますが、これを法務局に預けて、画像データ化して保管する制度です。

    ソーゾク博士
  • 法務局に預けるとどんないいことがあるの?

    母・正子
  • 自筆証書遺言は、気軽に書ける半面、発見されなかったり、紛失してしまったり、偽造や書き換えが簡単にできてしまったりします。こうしたデメリットを軽減・解消できます。遺言者が亡くなったタイミングで指定した相続人や受遺者に遺言についてお知らせの手紙が送られるほか、家庭裁判所の検認手続きを受ける必要もありません。

    博士
  • 保管してもらうにはどうすればいいんですか?

    一郎
  • 遺言書を作成した上で保管を法務局に申請します。一郎さんの住所地や本籍地、所有する不動産の所在地を管轄する法務局の中から保管所を選べます。申請に行くにはネットか電話で事前の予約が必要。また、予約した日までに遺言書の他に申請書を準備する必要があります。申請書の様式や記載例は法務省のホームページに掲載されています。

    博士
  • なるほど。持って行った遺言書はそのまま保管される?

    一郎
  • 窓口で法務局の職員から遺言の外形的な確認を受けます。遺言の形式やルールが守られているかチェックを受けることができます。形式ルールに違反すると遺言が無効になってしまう可能性があるため、この点を確認してもらえると安心して遺言を作ることができます。

    博士

「相続会議」の弁護士検索サービス

内容に関する相談は専門家に

  • それはいいね。遺言書の書き方ってよく分からないもの。

    正子
  • ただ、遺言の内容に関するアドバイスなど、法的事項に関する相談は一切応じてもらえません。内容に関する相談は、事前に弁護士などの専門家に依頼する必要があります。さらにもう一つ、注意点があります。申請には必ず遺言者本人が出向き、自ら手続きする必要があります。一郎さんの体調が悪く法務局まで移動が難しかったとしても、自身の代わりに太郎さんや専門家に手続きをお願いすることはできません。

    博士
  • 僕たち家族は父さんが遺言書を預けているか事前に法務局に確認したり、内容を見たりできるの?

    太郎
  • いいえ。相続人は遺言者が死亡するまで、遺言の内容を閲覧することはできません。遺言者が死亡した後、法務局に閲覧を請求することができます。遺言書はデータで保管されているので、全国どこの法務局でも確認できます。1人の相続人が閲覧請求をすると、ほかの相続人全員に遺言が保管されていることが通知されます。閲覧する際にも、閲覧申請書の提出や、法定相続情報一覧図または被相続人の戸籍などの資料を集める準備が必要です。

    博士
  • 遺言が忘れ去られてしまうというのは悲しいこと。保管制度があることを頭に入れておこう。

    一郎

今回の記事のまとめ

・保管制度を利用すれば遺言書の紛失や偽造などの恐れを軽減できる

・申請には遺言者本人が出向いて手続きする必要がある 

・遺言の内容など法的な相談には応じてもらえない

・相続人は遺言者が死亡するまで遺言の内容を閲覧できない

(今回のソーゾク博士=弁護士法人Y&P法律事務所・弁護士田中康敦さん、構成=相続会議編集部)

(記事は朝日新聞土曜別刷り「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2021年9月1日時点での情報に基づきます)