親子で普段から財産の話を 歴史や思いを共有することも相続の一環
老後の資産管理や相続手続きなど、「終活」は多岐にわたります。親子でどのように考えればいいのか、ポイントは「コミュニケーション」にあるようです。ソーゾク博士が解説します。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長さんです。
老後の資産管理や相続手続きなど、「終活」は多岐にわたります。親子でどのように考えればいいのか、ポイントは「コミュニケーション」にあるようです。ソーゾク博士が解説します。記事を監修してくれる「ソーゾク博士」は、三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長さんです。
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終活と聞くと、多くの人があらたまって考えてしまい、「面倒くさそう」と考えがちです。なので、前回に紹介したアプリのように、毎日使うスマートフォンで楽しみながら進めていくことも大事です。終活で整理した財産の内容を子どもに伝えるタイミングは、それぞれの事情で異なります。実は、親子間のコミュニケーションを続けることが終活につながっていくことを解説していきましょう。
お父さんには、よく電話するから、わが家のコミュニケーションは良い方だと思うな。でも、なかなか終活については話さない。
多くのご家庭がそうだと思います。子どもから、突然、電話でお金の話を切り出すのは難しいですね。コミュニケーションが大切な理由は、普段から財産などについて知っておいたほうがよい話を少しずつ積み重ねられる点にあります。例えば不動産一つでも、購入した経緯や受け継いできた思いについて話しておくと良いでしょう。過去の経緯を伝えるのに伴い、土地の境界や共有地、水道などの埋設管が自分の土地を通っていない――といったことも把握できます。これも立派な財産の話ですし、相続時にも役立ちます。
そういえば、先祖の話なんてあまりしたことないな。この家が建っている土地は、代々、先祖からの土地で、実は、登記簿上の面積と実際の面積が違うので、注意が必要なんだ。
そんな話があったんだ。先祖の歴史の話は、興味があるからもっと教えて欲しいな。
親子で進める終活の話題は、財産のある場所や金額の話だと思っていた。だけど、将来、誰がお墓を管理していくとか、いろいろと相談しておかないといけないな。
年齢を重ねていくと、誰しも機能低下は避けて通れないので、元気なうちに財産を整理することが肝心です。その中で、親から子どもに伝えておくことも整理すると良いのではないでしょうか。それをアプリなどに備忘録としてまとめておき、必要な時期に伝えていくことも必要です。アプリによっては、自分の希望する時期に家族に伝える機能もあります。
少しわかってきた感じがするので、財産整理をしてみよう。進めていくうちに、太郎に伝えたい大切なことも出てきそうだ。
次回は、アンケート結果も参考に、遺言の内容をしっかり実現する方法を考えます。
・普段から少しずつ財産について話す
・財産を整理すると子どもに伝えたいことも見つかる
(今回のソーゾク博士=三菱UFJ信託銀行/MUFG相続研究所・小谷亨一所長、構成=相続会議編集部)
(記事は朝日新聞土曜別刷り紙面「be」に掲載した内容を基に掲載しています。2022年4月1日時点での情報に基づきます)