遺言書で定められることは何? 思いを確実に実現させるための方法や相談先を解説
遺言の内容に迷ったら、どのように対応すればよいのでしょうか? 遺言書では、相続分の指定や遺産分割方法の指定、遺贈や寄付、遺言執行者の指定などさまざまなことを定められます。ただし自己判断で対応すると無効になってしまう可能性があります。今回は遺言で指定できる事項や遺言内容に迷ったときの相談先、より確実に遺言内容を実現する方法をお伝えします。
遺言の内容に迷ったら、どのように対応すればよいのでしょうか? 遺言書では、相続分の指定や遺産分割方法の指定、遺贈や寄付、遺言執行者の指定などさまざまなことを定められます。ただし自己判断で対応すると無効になってしまう可能性があります。今回は遺言で指定できる事項や遺言内容に迷ったときの相談先、より確実に遺言内容を実現する方法をお伝えします。
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遺言書で定められる主な内容は、以下のようなものです。
上記のように、遺言書を作成すると非常に多くのことを定められます。
相続人同士のトラブルを防止し、遺言者の希望通りに財産を次の世代へ引き継がせるためにも遺言書の作成は必須です。
ご家族の状況や希望に応じて遺言内容を決定すると、有効な相続対策になります。
せっかく遺言書を作成しても、以下のような場合には内容が実現されません。
遺言書を作成するときには「要式」を守らねばなりません。
たとえば自筆証書遺言でパソコンを使ってしまったり、加除訂正の方法を間違ったりすると遺言書が無効になります。
公正証書遺言であっても認知症が進行してから無理に作成すると、無効になる可能性があります。
無効になったら当然、遺言内容は実現されません。
遺言書を作成しても、発見されない可能性があります。
たとえば遺言者が自筆証書遺言を作成して自宅で保管していると、死亡するまでに紛失してしまうケースも少なくありません。
同居の相続人や親族が発見し、都合の悪い内容だったら破棄してしまう可能性もあります。
遺言書が発見されなければ、内容は実現されません。
遺言書で遺産分割方法や相続分を指定しても、相続人全員が話し合って別の方法で遺産分割することに決められます。
その場合、遺産分割協議の内容が有効になるので、遺言内容は実現されません。
遺言書で特定の相続人や受遺者に高額な遺産を受け渡すよう指定すると、法定相続人が「遺留分」を主張する可能性があります。
遺留分とは、兄弟姉妹や甥姪以外の相続人に認められる、最低限の遺産取得割合です。
遺留分権利者が相続人や受遺者へ遺留分侵害額請求をすると、侵害された遺留分に相当するお金を取り戻せます。
遺留分侵害額請求が起こったら、せっかく特定の人に高額な遺産を受け継がせようとしても遺留分権利者にお金を取り戻されてしまうので希望を完全には実現できません。
金銭トラブルが発生して、遺言者の意図とは異なる結果になってしまいます。
遺言書で指定できる内容は決まっており、書いても強制できない事項があります。
たとえば「家族仲良く」「兄弟でもめないように」などと書き込んでも、トラブルを100%防止できるとは限りません。
法的に実現できない内容を遺言書に書いても必ずしも希望通りにならないのです。
ただし遺された家族に、遺言者の「気持ち」を伝える意味はあります。
遺言内容をより確実に実現するため、以下の2つの工夫をしてみてください。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
中でも遺言内容を実現しやすいのは公正証書遺言です。
公正証書遺言は公証人が公文書として作成するので、要式違反となって無効になる可能性がほとんどありません。公証役場で原本が保管されるため、原本がなくなったり書き換えられたりするリスクもなく安心です。相続人が検索して探し出すこともできます。
遺言内容を確実に実現するには、多少手間をかけても公正証書遺言を作成する方法がおすすめです。
遺言内容を実現するためのポイント2つ目は、遺言執行者を選任することです。
遺言執行者とは、遺言内容を実現する責務を負う人をいいます。
相続人は遺言執行者の職務を妨害できません。遺言執行者がいると、相続人が積極的に遺言内容を実現しない場合でも遺言執行してもらえるので実現される確実性が高まります。
ただし遺言執行者を相続人の中から選ぶと不公平感が募り、トラブルになるケースもよくあります。
よりスムーズに遺言内容を実現するには、弁護士などの法律の専門家を遺言執行者に選任するのがおすすめです。
遺言書で遺言執行者を指定できるので、信頼できる専門家を探して遺言執行者と定めておきましょう。
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相続の相談が出来る弁護士を探す遺言内容に迷ったら、専門家に相談してアドバイスを求めましょう。相談内容ごとに相談先をまとめました。
弁護士には遺言全般について相談ができます。
遺言内容だけではなく遺言書の作成方法も教えてもらえますし、公正証書遺言の作成のサポートも受けられます。
遺言書がもとで、万一相続人同士でトラブルが発生してしまった場合には解決も頼めるので、非常に心強いでしょう。
遺言執行者への就任ももちろん依頼できます。
司法書士にも遺言全般についての相談が可能です。
遺言内容に迷ったときにはアドバイスを受けられますし、遺言執行者にも就任してもらえます。
司法書士の強みは「相続登記」を頼めることです。司法書士は登記の専門家で、不動産の活用について相談できる事務所もあります。遺産に不動産が含まれているときには司法書士に遺言の相談をしてみるとよいでしょう。
ただし司法書士にはトラブル解決能力がないので、万一遺言書の効力について争いが起こった場合には弁護士に依頼する必要があります。
行政書士も法律の専門家なので、遺言内容について相談に乗ってもらえます。
遺言執行者になってもらうことも可能ですし、弁護士や司法書士に比べると費用が安い事務所も多数あります。
ただし行政書士にはトラブル解決や不動産登記ができません。
もめたときには弁護士に、相続登記をするときには司法書士に依頼する必要があります。
遺産の評価額が基礎控除を超えて相続税が発生する場合には、税理士に相談しましょう。
一定額以上の相続や遺贈には相続税がかかるからです。
配偶者が相続する場合、大幅な控除を受けられます。一方で相続人以外の人に遺贈すると税金が高額になるなどのルールもあり、遺言書を作成するときには税金の知識が必須です。
税理士に遺言執行をお願いすることもできるので、遺産の金額が高い方は必ず税理士に相談しておきましょう。
遺言書を作成しておくと、相続トラブルを防止して遺言者の希望を実現できるなど、さまざまなメリットを受けられます。
ただし遺言内容がトラブルのもとになるケースもありますし、遺言書が無効になったら内容を実現できません。
トラブルを防止して遺言内容を確実に実現したいなら、専門家に相談しながら遺言書を作成するのがお勧めです。相談だけなら無料の事務所も多いので、迷ったときには弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談してみましょう。
(記事は2022年1月1日時点の情報に基づいています)
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