相続放棄の無料相談先おすすめ5選 電話相談は可能? 活用法を解説

相続が発生し、貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産のほうが多い場合、相続放棄を検討すべきです。とはいえ、やり方がわからない人も多いでしょう。そんなときは相続放棄の無料相談を活用すると、失敗を防ぐことができます。おすすめの無料相談先、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、弁護士が解説します。
相続が発生し、貯金や不動産といったプラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産のほうが多い場合、相続放棄を検討すべきです。とはいえ、やり方がわからない人も多いでしょう。そんなときは相続放棄の無料相談を活用すると、失敗を防ぐことができます。おすすめの無料相談先、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、弁護士が解説します。
目次
「相続会議」の弁護士検索サービスで
相続放棄は「自分が相続人だと知った日から3カ月以内」に手続きをする必要があるため、その間に、相続財産を十分に調査した上で、相続放棄をするのかを決定しなければなりません。
もし相続放棄の手続きに不安があったり、そもそも相続放棄したほうがいいのかどうか判断がつかなかったりする場合は、早めに専門家に相談した方がよいでしょう。相談者の状況に応じた的確なアドバイスをもらえるでしょう。
特に次のようなケースでは、専門家に相談した方がよいです。
専門家に相談すると、費用が発生すると思っている人も多いですが、初回は無料で相談を受け付けてくれるところも多いです。無料相談であっても手を抜かれることはなく、相続放棄の注意点、手続きや必要書類など、自分で手続きをするための方法も教えてもらえます。
また、費用が発生するような依頼を強制してくるような事務所もほとんどないので、気軽に活用できるでしょう。ただし、事務所の場合、2回目以降は有料となるところが多いので、その点は注意が必要です。
相続放棄を実際に依頼できるのは弁護士と司法書士だけですが、無料相談の窓口は、主に次の5箇所があります。
弁護士事務所でも無料相談を行っている事務所は多いです。
弁護士は、本人に代わって相続放棄を行う代理権を有していますので、戸籍収集や相続放棄の代行まで依頼することができます。また、相続放棄だけでなく、相続全般の相談・質問が可能です。
相続財産全体をみて、そもそも相続放棄がベストな選択かどうかの判断や、相続人同士のトラブルを回避するための方法、債権者への対応なども相談できます。
相続放棄をすると、次順位の相続人に相続権がうつるため、「迷惑だ」などとトラブルになる恐れがありますが、弁護士に他の相続人への説明なども依頼することで、問題を回避することが期待できます。
相続放棄にかかわる手続きをすべてを専門家に任せたいと初めから考えている人は、弁護士の無料相談を活用するとスムーズに進むでしょう。
司法書士事務所にも、相続手続き全般の相談・質問をすることが可能です。
正式に依頼すれば、戸籍収集や相続放棄の書類作成を代行してもらうこともできますが、弁護士と異なり、代理権は有していません。そのため、実際の書類の提出や、裁判所から届く照会書の記入は自分で行う必要があります。また他の相続人への説明も依頼はできません。
一方、依頼した際の報酬は弁護士より安い傾向があります。多少の手間はかかりますが、費用を抑えたい人には向いているでしょう。
自治体の中には、弁護士や司法書士と連携して、無料の法律相談(多くが予約制)を行っているところもあります。法律事務所に足を運ぶことにハードルを感じる人にとって、身近な市役所で相談できることはメリットでしょう。
ただし、担当の弁護士・司法書士が相続に精通しているとは限りません。また、相続放棄についての一般的な質問はできる一方で、書類の作成や確認などの具体的な依頼はできない可能性が高いので、この点がデメリットでしょう。
法テラスは、国が設置した法律相談の総合案内窓口のことをいいます。経済的に余裕のない方向けの民事法律扶助制度を利用すれば、法テラスを通じて弁護士・司法書士に無料相談をすることができます。
収入が一定の要件を下回る方は、弁護士に相続放棄の手続き代行を依頼することも可能です。ただし、必ずしも相続に精通した専門家が担当するとは限らない点に注意が必要です。
相続放棄の手続きに関しては、「相続放棄の申述書」の提出先である家庭裁判所の職員に無料で相談することも可能です。
ただし、手続きに関する質問に限られるので、例えば、自分は相続放棄をすべきかなど個別事情に基づく法的なアドバイスをもらうことはできません。
申述書の書き方など手続き上の確認をしたいだけの人に向いた相談先です。
弁護士や司法書士でも電話などでも無料相談を受け付けてくれる事務所が多いです。ただし、相談の概要部分だけは無料で対応して本格的な相談は有料とする事務所もあるので、電話で確認するとよいでしょう。
独自に電話相談に応じている弁護士会もあります。東京三弁護士会が共同で運営する「法律相談センター」では、弁護士が電話(0570-200-050)で、法律に関する質問に無料で答えています。相談時間は15分程度で、都内からの電話に限ります。
家庭裁判所については、電話相談に対応しているところもあれば、そうでないところもあります。
相続放棄の無料相談先は、Googleなどの検索エンジンで「市町村名 弁護士 相続放棄」などと検索することで見つけることができます。大手であれば、全国対応している事務所もあります。事務所のサイトを見る際には、無料相談に対応しているかを確認しましょう。
また、全国の弁護士や司法書士が掲載されているポータルサイトから探すこともできます。
「相続会議」では、相続放棄に対応する全国各地の弁護士・司法書士を検索することができ、各事務所の詳細が紹介されているので、比較することができます。
全国47都道府県対応
相続放棄の相談ができる弁護士を探す実際に無料相談をする際には、相談時間を有効活用するために、相談に至った経緯や現状、相談したい内容を具体的にまとめておくとよいでしょう。
また、亡くなった日、亡くなった人との関係、遺産の内容、具体的に質問したい内容なども事前に整理しておきましょう。
また、必要書類が揃っている方が相談はよりスムーズに進みます。具体的には以下のような準備をしていくとよいでしょう。
遺産に関する全ての記録がないと、相続放棄すべきかの判断ができなくなるためです。もっとも、「財産の全体像がわからない」という状況で相談しても問題はありません。その際は財産調査の方法についてアドバイスがもらえるでしょう。
相続放棄に関する相談事例でよくあるのが「亡くなった人の財産には、自宅の土地・建物や預貯金などのプラスの財産がある一方で、数千万円の借金があるため、相続した方がよいのか、それとも相続放棄した方がよいのか悩ましい」というケースです。
このようなケースでは、専門家に無料相談をすることで、相続財産の全体からみて相続放棄をすべきかどうかについてのアドバイスをもらえます。また、相続放棄の期限である「相続の開始があったことを知った時から3カ月以内」(熟慮期間)の満了が迫っている場合には、熟慮期間の伸長の申立てをすべきであるといった助言を受けることができます。
仮に相続するとしても、債権者が金融機関ではなく個人の方である場合には、弁護士に交渉を依頼することで債務の減額に成功することもあります。
相続人が複数いる場合で、そのうち一人のみが被相続人と同居するなど密接な関係にあった場合には、当該相続人が他の共同相続人に対して、相続放棄を求めるケースがあります。
相続放棄を求められた相続人は、言われるがまま相続放棄した場合、後になって莫大な遺産があったことを知って、後悔することもあります。
したがって、相続放棄を求められた場合には、対応方法について専門家に無料相談をするとよいでしょう。
自分にとって不利な相続放棄を回避することができるとともに、弁護士に遺産分割協議の交渉も依頼することが可能です。
相続放棄を専門家に依頼した際の費用については、以下のとおりです。
弁護士に相続放棄を依頼する場合の平均的な費用は、5~10万円程度。
その内訳としては、以下の通りです。
司法書士と比べて高額ですが、弁護士は本人の代理人として相続放棄や他の相続人との交渉等を全て依頼することができるので、手間がかからないことがメリットといえます。
一方、司法書士に相続放棄を依頼する場合の平均的な費用は、約3~5万円程度です。
弁護士に比べて割安なのは、依頼できる範囲が「相続依頼の書類作成」に限定されているためです。そのため、弁護士に依頼するよりも自分で手続きをする手間が多少増えてしまいます。
相続放棄を行うメリットとしては、まず、借金など負の遺産を相続せずに済むことが挙げられます。
また、相続放棄の効果として、初めから相続人とならなかったものとみなされるので、親族間での相続トラブルに関与しなくて済むとともに、面倒な遺産分割の手間が省けます。
さらに、相続税が発生しない というメリットもあります。
一方、相続放棄を行うデメリットとしては、マイナスの遺産を承継しない一方で、プラスの遺産も相続できなくなることが挙げられます。亡くなった人にプラスの遺産の方が多かった場合には、相続放棄をすることで損をしてしまう可能性があるでしょう。
また、相続人全員が相続放棄をすると先祖代々の土地や不動産は国の所有物になってしまいます。
さらに、事前に他の相続人に報告せずに相続放棄を行って、結果的に他の相続人に莫大な借金を負わせてしまったような場合には、不仲の原因にもなりかねません。
相続放棄をすると、次順位の相続人に相続権がうつるので、トラブルになる恐れがあります。トラブルを回避するという観点では、他の相続人への説明や交渉を依頼することができる弁護士に相談する方がより安心です。また、手続きに手間をかけたくない人は、すべてを委ねられる弁護士に依頼するとよいでしょう。
司法書士に依頼できるのは書類作成のみです。そのため、裁判所への必要書類の提出ややりとり、他の相続人への説明は自分で行う必要があります。少々手間がかかってでも、費用を抑えたい場合は司法書士が適しています。
相続案件に不慣れな弁護士に依頼してしまった場合には、以下のように失敗するケースもありえます。
・弁護士の聞き取りが足りず、すでに相続が済んでいて相続放棄ができない
・相続放棄をすることで、かえって他の相続人との仲がこじれる など
弁護士に依頼する場合には、相続案件を日頃から取り扱っているかを確認するようにしましょう。
相続放棄の手続きは、自分で行うことも可能です。しかし「必要書類の収集」「相続放棄申述書の作成」「家庭裁判所への申立て」「裁判所から届いた照会書の記入、返送」をすべて自分で行うのは非常に手間がかかります。
相続放棄の無料相談について解説しました。相続放棄は色々な窓口で無料相談を受け付けていますが、実際に手続きの代行まで依頼できるのは弁護士だけとなります。
また、弁護士は他の相続人への説明なども依頼できるため、相続放棄がきっかけとなるトラブルも未然に防ぐことができるでしょう。
相続放棄は期限が定められており「自分が相続人だと知った日から3ヶ月以内」に手続きを済ませなければいけません。相続放棄を検討している方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
(記事は2025年9月1日現在の情報に基づいています)
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