目次

  1. 1. 相続トラブルでかかる弁護士費用の種類
    1. 1-1. 相談料(法律相談料)
    2. 1-2. 着手金
    3. 1-3. 報酬金
    4. 1-4. 日当や実費
  2. 2. 相続トラブルで発生する弁護士費用の相場
    1. 2-1. 相談料
    2. 2-2. 着手金
    3. 2-3. 報酬金
  3. 3. 相続トラブルの弁護士費用が高額になるケース
    1. 3-1. 遺産の評価額が高い
    2. 3-2. 遺産の内容が複雑
    3. 3-3. 遺言無効確認事件と遺産分割事件の両方に対応しなければならない
    4. 3-4. 遺産分割協議がまとまらず調停や審判になる
    5. 3-5. 不当利得返還請求と遺産分割の両方に対応しなければならない
    6. 3-6. 相続人の地位不存在確認と遺産分割の両方に対応しなければならない
    7. 3-7. 調停や審判が遠方の家庭裁判所で開催される
  4. 4. 相続トラブルに強い弁護士の選び方と費用を安く抑える方法
    1. 4-1. 相続トラブルに強い弁護士の選び方
    2. 4-2. 弁護士費用を安く抑える方法
  5. 5. 相続トラブルの弁護士費用は誰が払う? 払えないときの対処方法
    1. 5-1. 分割払いや後払いの相談をする
    2. 5-2. 法テラスを利用する
    3. 5-3. 子どもなどの親族に援助してもらう
  6. 6. まとめ 相続トラブルは複数事務所に相談して比較検討をする

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相続トラブルの解決を弁護士に依頼すると、以下のような費用が発生します。以前は弁護士会の規定により一律で決まっていましたが、現在は廃止されているため、各事務所が自由に金額を決めています。まずはどのような費用の種類があるのか、解説します。

法律相談料は、弁護士にトラブルを相談したときにかかる費用です。ただし相談料がかかるのは弁護士に具体的な手続きを依頼するまでの間です。依頼後の打ち合わせに相談料は発生しません。現在では初回などの相談を無料にしている弁護士事務所も多くなっています。

着手金は、遺産分割協議や調停、訴訟などの手続きを依頼したときにかかる費用です。
原則的に依頼の際に一括払いする必要があり、途中で依頼を終了しても返金されません。

報酬金は、事件を解決できたときに払う費用です。一般的には目的の達成度や依頼者が得た経済的利益に応じて計算されます。

上記の他、日当や実費がかかるケースもあります。日当とは弁護士が遠方の裁判所へ出張した場合などにかかる出張手当をいいます。実費は調停や審判、訴訟などを申し立てるときに裁判所へ払う費用、交通費や通信費などの費用です。

相続トラブルを弁護士に依頼すると具体的にどの程度の費用が発生するのか、相場の金額をみてみましょう。

相談料の相場は30分5500円程度です。ただし無料相談を利用すれば相談料はかかりません。

着手金の金額は、依頼する事件の内容や事務所によって変わります。一般的には「経済的利益」を基準としてパーセンテージで金額を定める事務所が多数です。かつて弁護士会が定めていた「旧報酬基準」に従っている事務所が多いので、みてみましょう。

経済的利益 着手金の金額
300万円以下の場合 8%
300万円を超えて3000万円以下の場合 5%+9万円
3000万円を超えて3億円以下の場合 3%+69万円
3億円を超える場合 2%+369万円

ただし上記以外のパーセンテージを採用している事務所もありますし、「一律20万円」「一律30万円」などの定額料金としている事務所もあります。

事件の種類によって計算方法をわけているケースもあります。たとえば遺産分割協議の代理は20万円の定額として、調停は30万円にしたりパーセンテージで計算したりする方法です。

また弁護士に遺産分割協議を依頼して着手金を払っても、話し合いが決裂して遺産分割調停に移行すると別途着手金がかかるのが一般的です。その後審判に移行したときに追加の着手金がかかるかかからないかは、事務所によって異なります。

報酬金については、得られた経済的利益を基準にパーセンテージで計算する事務所がほとんどです。具体的な割合は事務所によって異なりますが、旧報酬基準に従っている事務所が多いので、みてみましょう。

経済的利益 報酬額の金額
300万円以下の場合 16%
300万円を超えて3000万円以下の場合 10%+18万円
3000万円を超えて3億円以下の場合 6%+138万円
3億円を超える場合 4%+738万円

上記と異なるパーセンテージを採用している事務所もあるので、依頼前に確認してみてください。

弁護士費用が高額になりやすいのは、以下のようなケースです。

遺産の評価額が高いと「経済的利益」が高額になるので、着手金や報酬金が高くなってしまいます。評価額が高い場合、着手金が定額の事務所を選べば着手金については抑えやすいでしょう。

全国に多数の不動産がある、遺産の種類が多くて複雑な場合などには弁護士の業務が多くなるので費用が高額になるケースが多数です。

遺言書の効力が争われると「遺言無効確認」の手続きをしなければなりません。
遺言書が無効になってから、あらためて遺産分割協議や調停を進める必要があります。
このように遺言書の無効確認と遺産分割の両方に対応しなければならない場合、弁護士の労力がかかるので費用が高額になります。

遺産分割協議と遺産分割調停は、通常別料金となります。
協議だけで解決できれば追加の着手金は不要ですが、調停になると別途費用がかかるので弁護士費用が高額になります。事務所によっては審判も別費用となるので、審判になったらさらに費用がかさむ可能性があります。

特定の相続人が預金などの遺産を使い込んだ場合、先に不当利得返還請求などを行って取り戻さねばなりません。
不当利得返還請求と遺産分割の両方に対応すると手間がかかるので、弁護士費用も高額になります。

特定の相続人の相続権が争われたら、まずは「相続人の地位確認訴訟」を行わねばなりません。確定した後であらためて遺産分割協議を進めます。
相続人の地位確認と遺産分割の両方へ対応しなければならず手間がかかるので、弁護士費用が高額になります。

遺産分割調停や審判が遠方の裁判所で開かれると、弁護士の日当や交通費がかかるため費用が高額になってしまいます。

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では、相続に強い弁護士の選び方と費用を安く抑える方法について解説します。

では、信頼できる弁護士はどのように選べばいいのでしょうか? いくつかポイントをご紹介しますので参考にしてください。

  • 相続案件の実績が豊富
  • 司法書士、税理士など他の士業と連携している
  • 話しやすい、親身になってくれる
  • 相続税の観点からも指摘してくれる
  • 費用が明確である
  • 事務所にアクセスしやすい、オンライン相談ができる

まずは事務所のホームページなどを確認して実績を確認しましょう。弁護士事務所全体としての実績はもちろんですが、誰が担当者になるかわかりませんので所属弁護士の実績も確認するとより安心です。また相続登記や相続税では司法書士や税理士との連携も必要になります。なにより親身になって、マイナスなことも指摘してくれるか、話しやすいかなどの相性も重要です。

弁護士費用をなるべく安く抑えたいなら、まずは相場を知るべきです。そのうえで複数の法律事務所で相談を受けて、費用の見積もりを出してもらいましょう。相場より高い事務所は省いてもっともリーズナブルな事務所を選べば、効果的に費用を抑えられます。依頼前の相談については無料相談を利用すると相談料の節約になります。

弁護士費用は、基本的に弁護士に依頼した方が支払うことになります。

相続トラブルは相続人間でのもめごとですが、弁護士は依頼人の利益を最大化するために働きます。また他の相続人が弁護士に依頼した場合、こちらが不利になる可能性も考えられます。相続でのもめごとやトラブルにおいて損をしないためには、早めに相談するのが良いでしょう。

また相続トラブル解決の弁護士費用を払えないときの有効な対処方法についても解説します。

着手金は一括払いするのが原則ですが、事務所によっては分割払いを受け付けています。遺産を受け取ったときに報酬金とまとめて後払いさせてもらえるケースもあります。一括払いが難しければ、分割払いや後払いの相談をしてみてください。

所得や資産が一定水準以下であれば、「法テラス」を利用する方法もあります。法テラスの民事法律扶助を利用すると、一般の相場より低い金額で弁護士に依頼できますし、着手金も月々1万円程度の分割払いにしてもらえます。ただし法テラス(日本司法支援センター)と契約している弁護士にしか依頼できません。

自分ではどうしても弁護士費用を用意できない場合、子どもなどの親族に支援してもらう方もおられます。頼れそうな方がいるなら、相談してみるとよいでしょう。

相続トラブルを解決するには弁護士のサポートが不可欠です。弁護士費用を安く抑える方法もありますが、基本的には相続トラブルに詳しい弁護士に依頼することが重要です。相続トラブルを普段取り扱っていない弁護士に依頼しても有利に解決できない可能性があり、依頼した意味がなくなってしまうからです。

多くの弁護士が無料相談サービスを提供しているので、複数事務所で相談して費用や実績、対応を比べてみましょう。相続トラブルを早期かつ有利に解決するため、早めに弁護士へ相談するのが得策です。

(記事は2022年10月1日時点の情報に基づいています)

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