目次

  1. 1. 相続放棄にかかる費用
    1. 1-1. 自分で手続きをする場合:3000~4000円程度
    2. 1-2. 司法書士に依頼する場合:3~5万円程度
    3. 1-3. 弁護士に依頼する場合:5~10万円程度
  2. 2. 相続放棄の費用が高くなるケース
    1. 2-1. 相続放棄の期限が過ぎているケース
    2. 2-2. 相続財産の調査も依頼するケース
    3. 2-3. 相続財産清算人選任の申立てを要するケース
  3. 3. 専門家に依頼するメリット
  4. 4. 弁護士と司法書士の違い
  5. 5. 相続放棄を自分でするか、専門家に依頼するか
    1. 5-1. 自分で手続きしても良い人
    2. 5-2. 司法書士に依頼すると良い人
    3. 5-3. 弁護士に依頼すると良い人
  6. 6. まとめ:専門家への依頼が最も確実

相続放棄にかかる費用をパターン別に解説します。

  • 収入印紙800円分(1人つき)
  • 被相続人の住民票除票(300円)
  • 申述人(放棄をする方)の戸籍謄本(450円)
  • 被相続人の死亡の記載のある除籍謄本(750円)
  • 連絡用の郵便切手(概ね400円~500円)

以上が最低限かかる費用です。合計3000~4000円程度で済むケースが多いです。ただし、被相続人の父母や兄弟姉妹が相続放棄をする場合には、上記書類以外にも被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要となるため、もう少し費用が増えます。

なお、連絡用の郵便切手は、家庭裁判所によって内訳が異なるため、申述先の家庭裁判所に直接問い合わせるか、ホームページを確認してみてください。例えば、横浜家庭裁判所であれば、84円切手×5枚と10円切手×5枚の合計470円分です。

放棄をする方1人につき3~5万円程度が相場です。複数人でまとめて依頼する場合、減額してくれることもあります。なお、戸籍謄本等の必要書類の取得も代行してもらう場合、代行手数料として1通1000円などがかかる事務所もあります。

放棄をする方1人につき5~10万円程度が相場です。上記と同様、複数人まとめて依頼する場合には、減額してくれることもあります。また、必要書類の取得も代行してもらう場合、代行手数料がかかる事務所もあります。

上記の料金に対し、追加費用がかかってしまうケースを解説します。

相続放棄は「自己のために相続があったことを知ったとき」から3カ月以内にしなければなりません。基本的には、被相続人が亡くなったことを知ってから3カ月が期限です。

この期限を過ぎているケースでは、費用が加算されます。なぜなら、上申書(事情説明書)を添付するなどして、例外的に相続放棄を認めてもらうための工夫をする必要があるためです。

相続放棄をするかどうかを判断するため、預貯金や有価証券、不動産、借金の有無など被相続人の相続財産を調査しておきたいこともあるでしょう。相続放棄に加えて相続財産調査も依頼する場合は費用が加算されます。

「現に占有」している財産を相続放棄をした人は、相続放棄した後も、他の相続人や相続財産清算人に財産を引き渡すまでは、その財産を保存しなければなりません(民法940条)。例えば、親名義の家に暮らしていた場合、親が亡くなった後に相続放棄したとしても、その家を保存する義務があります。

そのため、「現に占有」していた人が相続放棄し、その他の相続人も相続放棄した場合には、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらい、管理を引き継ぐことが必要なことがあります。このようなケースで、相続放棄に加えて相続財産清算人選任の申立ても依頼する場合には、費用が加算されます。

なお、「現に占有」の解釈は明確になっておらず、個別の判断となるため、弁護士に事前に相談することをお勧めします。

書類を準備する時間がない方や手続きを上手く進められるか心配な方は、専門家に依頼したほうが安心でしょう。戸籍謄本等の書類を収集したり、申述書を作成したりするのは意外と手間や時間がかかります。3カ月という期限は長いようで短く、つい後回しにしてしまうと、うっかり期限を過ぎてしまうことにもなりかねません。

また、手続きに問題があったために相続放棄の申述が受理されなかった場合、申述をからやり直すことはできません。専門家に依頼すれば、手間もかからずにスピーディーに対応してもらうことができるため、安心です。

また、被相続人が亡くなったことを知ってから3カ月という期限を過ぎてしまっていても、事情によっては相続放棄が可能な場合があります。その場合、専門家であれば、法律や判例に基づいて相続放棄の申述を受理してもらうための例外的な事情を裁判所に対して説得的に説明できるので、相続放棄を受理してもらえる可能性が高くなります。

加えて、借金があることを理由に相続放棄をする場合、債権者から借金の返済を請求されることにストレスを感じる方も多いでしょう。その場合、弁護士に依頼することで、債権者対応を任せることができ、ストレスから解放されます。

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まず、司法書士には手続きの代理権はありません。そのため、司法書士は、書類作成は代行してくれますが、書類にはすべて依頼者(申述人)本人の署名・押印が必要となり、あくまでも本人が申し立てた扱いになります。これに対して、弁護士には手続きの代理権があるので、弁護士名義での申立てをすることが可能です。

そのため、司法書士に依頼する場合は、弁護士に依頼する場合と比べると、若干手間がかかります。さほど差はないものの、多忙で極力手間を減らしたい場合は、弁護士に依頼するほうが良いでしょう。

また、司法書士は代理権に制限があるため、債権者対応を任せたい場合は、弁護士に依頼したほうが良いでしょう。

相続放棄を自分でするか、専門家に依頼するか。その判断基準について紹介します。

  • 費用を節約したい
  • 3カ月の期限まで十分時間がある
  • 自分で書類を収集・作成する手間を掛けても構わない
  • 3カ月の期限が迫っている、あるいは期限が過ぎてしまっている
  • 少しでも費用を節約したい
  • 相続財産調査も依頼したい
  • 相続財産清算人選任申立ても依頼したい

【関連】相続放棄を司法書士に依頼するメリット、費用 弁護士との違いも解説

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相続放棄をするときは、費用をかけても専門家(司法書士や弁護士)に依頼する方法が最も確実です。ただし、同じ専門家でも分野によって得意・不得意がありますので、ホームページなどを参考にして、相続分野を積極的に扱っている弁護士や司法書士に相談すると良いでしょう。

(記事は2024年4月1日時点の情報に基づいています)