目次

  1. 1. 相続手続きの際の戸籍収集
  2. 2. 戸籍の種類
  3. 3. 戸籍の作り替えの際には記載が省略される場合がある
  4. 4. 戸籍の入手方法
  5. 5. 法定相続情報証明制度の利用
  6. 6. 戸籍収集が難しい場合は専門家に

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相続が発生すると、相続手続きのために相続人の確定を行う必要があります。相続においては、相続人を確定させるため、現在の戸籍だけでなく、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を入手する必要があります。
例えば、相続が発生したとき、被相続人の預貯金の引き出し、相続税の申告、不動産の相続登記、株式等の名義変更、相続放棄など、様々な場面で戸籍が必要になります。

戸籍には、現在戸籍の他に除籍謄本や改製原戸籍(かいせいげんこせき・かいせいはらこせき)があります。
除籍謄本は、結婚・離婚・死亡・転籍などによって、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の戸籍の謄本を指します。

また、改製原戸籍は原戸籍とも言います。
明治5年に戸籍法が施行されて以来、現在までに5回(戸籍をコンピュータ化していない市区町村では4回)、戸籍簿の様式変更があり、様式変更の際に、その当時有効な(除籍になっていない)戸籍は、新様式への作り替え作業が行われました。この新様式に作り替わる前の戸籍を改製原戸籍又は原戸籍と言います。

そして、相続の手続きにおいては、現在戸籍の謄本だけでなく、除籍や原戸籍の謄本も必要とされる場合がほとんどです。

戸籍の改製などで戸籍が作り替えられると、新たな戸籍にそれまでの戸籍の内容が記載されますが、前の戸籍に記載されていた内容が後の戸籍に記載されていない場合があります。

例えば、被相続人が結婚する前に子がおり、認知していたとしても、離婚後に本籍地を移した(転籍した)場合、認知の記載の省略が可能ですので、転籍後の戸籍からはその子の存在が分からないことがあります。また、戸籍の改製が行われた場合も同様に、認知等の記載の省略が行われます。

そのため、相続手続においては、現在の戸籍だけでなく、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を入手する必要があるのです。

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戸籍謄本(抄本)は、基本的には本籍地のある市区町村役場に対して申請をすると入手が可能です。

そして、被相続人の前の戸籍は、被相続人の最後の本籍地の市町村役所で最終の戸籍謄本を取得し、その戸籍にある「改製」「転籍」などの文言から前の戸籍を辿っていくことになります。
被相続人が転籍や婚姻・離婚を繰り返している場合は、入手しなければならない戸籍の数が多くなり、その分手間がかかります。

相続手続では、被相続人の戸除籍謄本等の束を相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要があります。

そのため、平成29年5月29日から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。
法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付するというものです。

そして、その後の相続による登記の移転手続きや被相続人の預金払戻しなどの場合に、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなり、相続手続きがスムーズになります。

上記のように、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を入手することは、相続以上にとても手間のかかる作業です。また、原戸籍は手書きのものもあるため、文字が読み取りにくいものも存在します。

特に被相続人が婚姻、離婚を繰り返して家族関係が複雑な場合や数次相続(相続が開始したが、遺産分割協議をする前に相続人が死亡し、新たな相続が開始すること)や代襲相続(被相続人の孫、ひ孫、甥、姪などが相続財産を受け継ぐこと)などは相続人の数が多いことが予想されるので、より戸籍の収集が大変になります。

また、相続が発生すると期限内に相続税の申告や準確定申告など他の手続きにも追われることになります。
そのため、仕事等で忙しい方や自身も高齢で戸籍の収集に不安がある方などは、行政書士や弁護士等の専門家による戸籍の収集代行サービスが1万円~5万円程度で依頼できることが多いので、専門家に被相続人の戸籍収集を依頼すると安心です。

(記事は2020年9月1日現在の情報に基づきます)

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