目次

  1. 1. 代襲相続とは?
  2. 2. 孫が代襲相続すると相続税はどう変わる?
    1. 2-1. 法定相続人の扱いが変わる
    2. 2-2. 代襲相続すると相続税における扱いが変わる
    3. 2-3. 相続税の2割加算とは?
  3. 3. 孫養子が代襲相続人にもなるときの扱い
    1. 3-1. 孫養子が代襲相続人にもなるときがある
    2. 3-2. 孫養子が代襲相続人になったときの相続税は?
  4. 4. 甥姪が代襲相続することもある
    1. 4-1. 兄弟姉妹が死亡したら代襲相続するのは甥姪まで
    2. 4-2. 甥姪の代襲相続の注意点
  5. 5. 代襲相続に関する注意点
    1. 5-1. 代襲相続の扱いに注意しないと、相続税の計算で間違う
    2. 5-2. 亡くなった子が養子の場合、孫が代襲相続するとは限らない
  6. 6. まとめ|複雑なケースは税理士に相談を

代襲相続とは、相続が発生したときに、すでに亡くなった相続人に代わり、その相続人の子が相続人の地位を引き継ぐことをいいます。相続人であった子がすでに亡くなっていた場合は孫が、相続人であった兄弟姉妹がすでに亡くなっていた場合は、その子である甥姪が代襲相続人となります。

被相続人に子どもがいる場合は、その子が法定相続人になるので、その子の子(孫)は法定相続人とはなりません。これに対し、亡くなったときにすでにその人の子どもが亡くなっている場合、その子(孫)が代襲相続で法定相続人となります。

孫が複数人いる場合、法定相続人の数はその人数分として数えます。つまり、亡くなった子に子ども(孫)が2人いる場合は、法定相続人数は2名がプラスされます。

相続税の計算は法定相続人が何人いるかで変わってきます。たとえば、基礎控除額は3,000万円+(法定相続人の数×600万円)で計算されます。また、死亡保険金・死亡退職金の非課税枠は500万円×法定相続人の数で計算され、法定相続人の数が関わってきます。

たとえば、1人の子どもに対し、その子ども(孫)が2人以上いた場合は、代襲相続することで、法定相続人の数が増えることになるので、基礎控除額や死亡保険金・死亡退職金の非課税枠が大きくなり、その分相続税は安くなります。

<計算例>
①相続人が配偶者と子1人の場合
基礎控除額:3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠:500万円×2人=1,000万円

②相続人が配偶者と代襲相続の孫1人の場合
基礎控除額:3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠:500万円×2人=1,000万円

③相続人が配偶者と代襲相続の孫2人の場合
基礎控除額:3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠:500万円×3人=1,500万円

遺産を受け取った人が以下のいずれかに該当する場合には、その人の相続税額に20%相当額を加算することになります。これを相続税の2割加算といいます。

  • 相続人の配偶者でも一親等の血族でもない
  • 被相続人の養子となった被相続人の孫

一親等の血族とは、両親及び子ども(養子を含む)をいいます。なお、孫を養子にした場合は2割加算の対象となります。具体的に「2割加算」となる人は以下のような人です。

  • 兄弟姉妹
  • (代襲相続人でない)孫
  • 第三者

ここで、代襲相続により相続することとなった孫は2割加算にはならないことに注意が必要です。

たとえば、子Aの子が被相続人の孫養子となり、かつ、子Aが被相続人より先に亡くなっている場合、孫養子は「被相続人の養子」及び「代襲相続人」という二重の身分となります。

この場合の孫養子は、法定相続割合としては「養子」と「代襲相続人」それぞれの相続分を取得します。ただし非課税枠の計算などで法定相続人の人数を計算する際は二重身分という立場は適用されず、1人として数えます。

たとえば、被相続人の妻と子A、子B、養子兼代襲相続人の孫C1人の場合、法定相続人は4人として計算します(5人ではない)。孫Cは二重身分の立場にありますが、法定相続人の数は二重身分であっても2人分という考え方はせず、実際に存在する人数(1人)で考えるのです。

ただし、法定相続分に関しては、それぞれの身分の法定相続分を合算して計算します。
このケースの法定相続分は以下のようになります。

妻:1/2
子A:1/2×1/4=1/8
子B:1/2×1/4=1/8
孫C:孫養子分 1/2×1/4=1/8
   代襲相続分1/2×1/4=1/8
   合計1/8+1/8=1/4
なお、孫Cは代襲相続人であるため、2割加算は適用されません。

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被相続人に両親及び子どもがいない場合は、兄弟姉妹が法定相続人となります。そして、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子ども(甥姪)が代襲相続人となります。

兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなり、その子ども(甥姪)も亡くなっている場合でも、その子ども(甥姪)の子は代襲相続人とはなりません。つまり、兄弟姉妹に再代襲はないということになります。そして、甥姪が代襲相続人となる場合、法定相続人の数に数えますが、算出された相続税に対しては2割加算となります。

代襲相続人となるかどうかは法定相続人の数や基礎控除額、生命保険金・死亡退職金の非課税枠の計算に影響します。その結果、相続税の計算を間違える要因になりかねません。

亡くなった子が養子の場合は、孫が代襲相続人になるとは限りません。子どものいる養子が亡くなった場合、養子縁組後にその子ども(孫)が生まれた場合は代襲相続人となりますが、養子縁組前に生まれていた場合には代襲相続人とはならないことに注意が必要です。

代襲相続人が関係するケースの2割加算の判定や、二重身分の相続人がいるケースの法定相続人・相続分の考え方は複雑です。このようなケースでは相続税の計算も間違えやすくなりますので、複雑なケースでは、専門家である税理士への相談をおすすめします。

(記事は2021年9月1日時点の情報に基づいています)