目次

  1. 1. 絶縁している相続人がいる場合によくある相続トラブル
  2. 2. 絶縁している相続人がいる場合の相続手続きの進め方
    1. 2-1. 相手の所在がわかる場合
    2. 2-2. 相手の所在がわからない場合(所在調査)
    3. 2-3. 相手の所在がわからない場合(遺産分割の方法)
    4. 2-4. 相続開始を知ってから3カ月が経過していない場合
  3. 3. 相続トラブルがきっかけで絶縁してしまうケースも多い
  4. 4. 絶縁した兄弟姉妹との遺産分割を弁護士に依頼するメリット
  5. 5. まとめ

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遺産分割協議は、相続人全員で話し合って合意する必要があります。そのため、絶縁して連絡をとりたくない相続人がいると、なかなか話し合いができず、遺産分割をせずに放置してしまい、時間が経ってしまうことがあります。

しかし、遺産分割を放置していると、他の相続人が勝手に遺産を処分してしまう可能性があります。たとえば、不動産であれば、他の相続人が勝手に法定相続分に応じた登記をして、自身の法定相続分に応じた持分を第三者に売却してしまうこともできます。また、預貯金であれば、凍結されていなければ勝手に預金を払い戻して、気づいたときには残高が全くなくなっていた、ということもあり得ます。

さらに、絶縁していると、そもそもどこにいるかわからず連絡がとれないために、遺産分割を進めること自体に苦労します。その結果、不在者財産管理人を選任したり、遺産分割調停や審判が長引いたりと、解決までに長時間かかってしまう可能性が高くなります。

では、絶縁している相続人がいる場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?

相手の所在がわかる場合とわからない場合に分けて考えてみましょう。

相手の所在がわかっていても、絶縁状態であれば直接会って話し合いをするのは難しいでしょう。そのため、メールや手紙で冷静に対処するよう試みる、絶縁していない他の親族に間に入ってもらう、といったやり方が考えられますが、専門家である弁護士に代理人となってもらって話し合う方法が最もおすすめです。

相手の所在がわからなければ、まず所在調査から始めます。

所在調査は、戸籍の附票や住民票を取得することから始めましょう。戸籍の附票とは、本籍地の市区町村で戸籍と一緒に保管されているもので、戸籍に載っている人の住所が記録されています。ただし、海外に転居している場合は、転居先の国名までしか記載されておらず、住所がわからないケースがあります。このような場合には、外務省を通じて所在調査をする方法もあります。

以上の方法でも所在調査がわからない場合は、「不在者財産管理人」を選任して遺産分割協議をすることが一般的です。

不在者財産管理人とは、簡単に言えば、所在不明な人がいる場合に、その人の財産を管理するために家庭裁判所が選任した人のことです。所在不明な相続人がいるために遺産分割協議ができない場合は、他の相続人が家庭裁判所へ所在不明者の不在者財産管理人選任の申立てをします。そして、裁判所が選任した不在者財産管理人とその他の相続人で話し合い、遺産分割協議を行います。

また、生死不明となってから7年以上経っている場合は、失踪宣告を家庭裁判所へ申し立てることもできます。失踪宣告が認められれば、生死不明となってから7年が経過した日に亡くなったことになります。しかし、失踪宣告の手続きが終わるまでには1年以上かかることもあり、また、失踪者の相続も開始し、結果として当初の遺産分割の当事者が増えることにもなるため、注意が必要です。

なお、これらの所在調査や、不在者財産管理人、失踪宣告等の手続きも弁護士に依頼することが可能です。

所在がわかる場合でもわからない場合でも、そもそも遺産が不要であれば、相続放棄をすることも選択肢の一つです。

相続放棄は「自己のために相続があったことを知ったとき」、つまり、①被相続人が亡くなったことと、②自分自身が相続人であることを知ったときから3カ月以内であれば可能です。

なお、被相続人が亡くなった日から3カ月が過ぎていても、亡くなったことを知るまでに時間がかかった場合は、知った日から3カ月以内であれば相続放棄ができます。ただし、この場合は、亡くなったことをいつ知ったのかについて家庭裁判所へ説明する必要があります。

相続人間でもともと仲が良い場合であっても、相続トラブルがきっかけで絶縁状態になってしまうケースもあります。

たとえば、父親の相続の際に兄弟姉妹間でトラブルとなってしまい絶縁状態になり、母親の相続の際に遺産分割協議が難しくなる、ということもあります。遺産分割協議では、何十年にも及ぶ思いをそれぞれの相続人が抱えていて、つい感情的になってしまうこともありますが、できる限り冷静に、かつ慎重に対応するのが良いでしょう。

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これまで述べたとおり、絶縁した兄弟姉妹の間での遺産分割は難しいことが多いですが、弁護士に依頼することで以下のようなメリットがあります。

まず、弁護士に依頼すれば、弁護士が遺産分割協議を代理人として対応してくれるため、自分自身が他の相続人とやりとりする必要がなくなり、絶縁した相手と関わらずに済みます。

そして、感情的な対立になりづらく、かつ、有利な事情をしっかりと主張することでスムーズかつ有利に解決できる可能性が高くなり、トラブルを最小限に抑えることができます。また、遺産分割調停や審判などの裁判所の手続きに進む場合でも、安心して弁護士に対応を任せることができます。

絶縁している不仲な相続人が共同相続人の中にいる場合、遺産分割の話し合い自体が難しく、相続トラブルに発生する可能性が高いので要注意です。その場合には、早めに弁護士に相談して、スムーズに遺産分割を行うことをおすすめします。

(記事は2022年1月1日時点の情報に基づいています)

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