目次

  1. 1. 相談者の思いに最もふさわしい方法を
  2. 2. 「点」の寄付から「面」へ広がり
  3. 3. 「ファミリー財団」の広がりに期待

今回の仕組みには、財団法人やNPO、投資ファンドなど多くの国内外の団体が協力しています。総合窓口的な役割を担うのが、2020年末に設立した一般社団法人「ジャパン・フィランソロピック・アドバイザリー」(JPA、鈴木栄代表理事)です。

相談者の「思い」を聞いたうえで、それを形にする一番ふさわしい方法を提案することを目指します。財団の設計や設立支援、投資ファンドの活用、NPOなど寄付先の紹介、基金設立といった「社会貢献プログラム」の設計をサポートするといいます。

たとえば、和太鼓好きな企業経営者が、邦楽ファンの減少や邦楽楽器メーカーの廃業などの現状を憂えて何かできないかと相談したケース。その経営者と一緒に業界構造などを検討した結果、「邦楽振興基金を設立し、学校に楽器提供や出張パフォーマンスのための資金を提供」「邦楽奏者向けの奨学金を出す公益財団の設立」「経営基盤が比較的安定しているメーカーに投資」などいくつかの案にたどりつき、経営者は社会貢献活動を実際に始めました。

実行する内容に応じて協力団体と連携したり、紹介したりします。相談者は、内容に応じて数十万円から数百万円までいわばコンサルティング料を負担する必要があります。JPA代表理事の鈴木さんは「非営利型の社団法人ですので、人件費レベル程度の負担でご利用いただけます。寄付者が100%満足できることを目標に活動を積み重ね、社会貢献の参加者を増やしたい」と意気込みます。

応援したい分野や地域に対して複数年にわたって助成できる仕組みが基金です。自身で財団法人を立ち上げると一般的にはその後の運営負担が大きいなどの課題がありますが、そうした部分を基金運営の専門団体に委ねることも選択肢として仕組みの一環に組み込んでいます。

基金設立・運営を担うのが、2021年3月に公益法人認定を受けた財団法人「日本フィランソロピック財団」(岸本和久代表理事)です。「自分で財団法人を設立するのが一戸建てとすれば、この財団でつくる基金はマンション型、シェアハウス型のようなイメージです」と岸本さんは言います。

ある程度まとまった額の場合、寄付者の思いを活かして名称や分野・地域などをデザインした基金をつくることもできますし、「子供の貧困・教育」「文化・芸術振興」などあらかじめ財団が決めたテーマの基金に寄付する方法もあります。デザイン基金は大きく、元本を運用して運用益で助成する永続型基金と、一定期間で使い切る期間型基金があります。いずれも運営費は必要です。永続型の場合、1億円までなら基金の2%、10億円以上分は0.5%などが毎年の運営費となります。

遺贈を希望する場合、信託銀行を通じて財団が遺言信託の対象となることで、基金として活かしていきます。すでに数件の相談が寄せられているといいます。

岸本さんは「これまでの寄付は主に、点と点を結ぶ線でした。これからは広く社会的リターンを求めるという、多様で広い面として寄付を広げていきたい」と話しています。

協力団体の一つ、NPO法人「日本ファンドレイジング協会」代表理事長の鵜尾雅隆さんによれば、家族が寄付や遺産などでつくる「ファミリー財団」が米国には約4万あり、全財団法人の半数以上を占めています。ファミリー財団の5分の3以上が資産規模100万ドル(約1.1億円)未満と決して大きなものではないといいます。いま日本には助成金を出す財団が約2千あります。富裕層の数からいっても、今後ファミリー財団的な、家族や個人の思いを活かした財団法人が日本で増えていく余地も可能性も十分にあると鵜尾さんはみています。

人によって関心は異なります。ですから、さまざまな人たちがファミリー財団や基金を生み出していけば、さまざまな地域や活動など、これまで以上に細かく目が行き届くようになるのではないでしょうか。それが、社会を豊かなものにしていくための、目立たないかもしれませんが、確実な道につながっていると筆者は思います。

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(記事は2021年5月1日現在の情報に基づいています)

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