目次

  1. 1. 安全安心な遺贈寄付のため承継寄付診断士を認定
  2. 2. 本人の希望に添う遺贈寄付を柔軟に実現したい
  3. 3. 遺贈寄付は誰でも、いくらからでもできる

日常的に相続業務に携わる専門職が、遺贈寄付という選択肢があることをクライアントに伝えてこなかった。それが日本で遺贈寄付があまり普及していなかった原因の一つだと責任を感じています。選択肢があることを一言アドバイスするだけで現状は全く違っていたと思います。

遺言書の作成をするのは、遺族がもめるのを避けるため、あの人にだけは渡したくないといった、ややネガティブな方向の場合が少なくありません。それが、遺贈寄付という手段があることをお伝えして遺言に活かすと、とても明るい顔をされ、喜ばれます。人のためにもなる、自分がやりたいことを積極的にするという満足感で、サポートした私たちにも感謝してくださいます。同じ仕事をするなら、世の中にためになり、クライアントにも喜んでもらえる方が、私たち自身の生きがいにもなります。まずは専門職が遺贈寄付について知ることが大切だと考え、講演会やセミナー開催などを通して啓発活動をしています。

とはいえ、単に啓発活動をするだけでは足りません。遺贈寄付はご本人が亡くなってから実行しますから、寄付先へ仲介するメッセンジャーの役割も専門職は担います。一歩間違えば、身内の団体に寄付を誘導するような悪いことを考える人も出かねません。ですから、倫理教育や悪いことができないようにする仕組みづくりも大切です。安心安全な遺贈寄付を広めたいのです。

日本承継寄付協会のHP
日本承継寄付協会のHP

そこですでに始めているのが、承継寄付診断士という認定制度です。実務や寄付先の選び方などを学んでもらうことはもちろん、個別面談を実施して倫理面に関する誓約書を提出してもらうなどしています。いまは70人ほどを認定し、継続的に勉強会などを開いています。

相談を受けて、具体的な寄付先をアドバイもしますが、多くの方は寄付したいという思いはあっても寄付先や分野については漠然としています。それを例えば「いまの職業に就かなかったら何になりたかったか」「どんなニュースに心を痛めたか」などたくさんの質問と対話を繰り返すことで、本人の希望を明らかにし、絞り込むお手伝いをします。

寄付先候補をいくつか紹介することもあります。当然、寄付先の団体の信用力や将来にわたっての存続可能性なども見極める必要がありますから、現在、寄付先候補団体リストの作成も進めています。

いくらクライアントがある団体に寄付したいと主張されても、たとえばその団体が不動産を受け入れていなかったり、そもそも規模が小さくてあまりに多額のお金を一度に受け取ることが活動に悪影響を与えてしまったり、将来にわたって存続するかが危ぶまれる場合もあります。相続業務でも、本人が望むままに遺言作成をすれば皆が丸く収まるとは限りません。同様に、遺贈寄付でもいくら本人が望んでも寄付が難しい場合があるのです。そこも含めてきちんとアドバイスし、できるだけご本人の希望に添う遺贈寄付ができるようにしていきたい。場合によっては個人基金を創ったり、何人かの方で共同基金を創ったりして柔軟に対応し、「思い」を活かしていきたいと思います。

遺贈寄付に関する意識調査も実施していますが、誤解の一つに「お金持ちがするもの」があります。誰でも、いくらからでもできるということを知ってもらうことも大切だと考えます。フランス料理レストランばかりが食べる場所ではありません。誰でも気軽に立ち寄れる街の定食屋さんだってあります。私たちはそんな定食屋さんを増やしていきたいのです。たとえ少額でも気軽にできる。思いを活かせる。そのために寄り添うのが専門職の役割です。また、「生きている間のお金が心配だからできない」という誤解もありますが、「寄付するのは亡くなったあとのこと。生きているうちは自分のために思い切って使って」とアドバイスしています。

紹介した専門職が遺言書作成などをする場合にはお金が必要ですが、協会への相談は無料です。気軽にご相談ください。将来的には東京以外にも活動拠点を広げ、日本全国で相談に応じられるようにできたらいいと思っています。

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(記事は2021年7月1日時点の情報に基づいています)