目次

  1. 1. 相続手続きの一覧と流れ
    1. 1-1. 相続手続きを自分で行った場合の費用
  2. 2. 相続手続きは、専門家に依頼できる
    1. 2-1. 相続手続きを依頼した方がいいケース
    2. 2-2. 弁護士に依頼できる手続きと費用の目安
    3. 2-3. 司法書士に依頼できる手続きと費用の目安
    4. 2-4. 税理士に依頼できる手続きと費用の目安
    5. 2-5. 行政書士に依頼できる手続きと費用の目安
    6. 2-6. その他、発生する費用について
  3. 3. 親族に依頼する方法
    1. 3-1. 委任状の作成方法
    2. 3-2. 親族に依頼する場合、費用は発生するのか?
    3. 3-3. 委任する際の注意点と予防策
  4. 5. まとめ

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相続が発生したら、以下の手順で手続きを進める必要があります。期限がある手続きもあるので注意が必要です。

【相続手続きの一般的な流れ】

  1. 金融機関、年金、保険、公共料金など各種届出
  2. 遺言書の有無の確認
  3. 家庭裁判所で遺言書の検認を受ける(遺言書が見つかった場合)
  4. 相続人調査と相続財産調査
  5. 相続放棄や限定承認の検討
  6. 遺産分割協議
  7. 遺産分割調停、信販
  8. 相続税の申告、納税
  9. 遺留分侵害額請求
  10. 不動産の相続登記

など

上記は一般的な流れであり、状況によってはさらに別の手続きが必要となるケースもあります。それぞれ「必要書類」があり、郵送で大量の戸籍謄本を取り寄せたり家庭裁判所への申立が必要になったりして手間がかかります。自分で全部終えるのはハードルが高い、と感じる方も少なくありません。相続手続きを時系列で図にしたのが下記になります。

一般的な相続手続きの流れを期限とともに表した一覧です。

相続手続きは専門家に依頼せず自分でもできます。そうすれば専門家の費用はかからず実費のみで済ませられます。すべて自分で行う場合、主な費用は書類の取得費用です。特にかさむのが、相続人調査における戸籍謄本類(戸籍の全部事項証明書類)を取得するときに発生する費用です。住民票や印鑑登録証明書を取得する費用もかかるケースがあります。不動産登記をする場合、固定資産評価証明書も取得しなければなりません。戸籍謄本などを郵送で取り寄せる場合、郵送料もかかります。

それぞれの費用は以下の通りです。

  • 戸籍謄本…450円
  • 改製原戸籍謄本、除籍謄本…750円
  • 住民票…200~300円
  • 印鑑登録証明書…200~300円
  • 固定資産評価証明書…200~300円

1件の相続でかかる実費を計すると数千円~2、3万円程度の金額となるケースが多いでしょう。ただし自分たちで手続きを行うと非常に手間がかかります。戸籍謄本を集めるときに抜け漏れが生じてしまうケースもよくあるので、そういった間違いが起こらないように慎重に対応しましょう。

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自分たちだけで相続手続きをする時間がない、やり方がわからないという方は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士などの専門家に依頼することできます。依頼した方がいいケースや費用相場などを解説します。

専門家に依頼することで煩雑な相続手続きをスムーズに進行することが可能になります。先述の通り、期限がある手続きもあるので下記のようなケースでは依頼を検討するとよいでしょう。

【専門家に依頼した方がいいケース】

  • 仕事が忙しく、相続手続きをする暇がない
  • 高齢などで、相続手続きのやり方がわからない
  • 遺産分割協議でもめてしまった(弁護士に遺産分割協議や調停の代理を依頼)
  • 遺産分割協議はできたが、不動産登記だけお願いしたい(司法書士に不動産登記を依頼)
  • 親族同士が疎遠であまりかかわりたくない
  • 相続放棄した方が良いのかどうか自分では判断できない
  • 遺留分請求しようかどうか迷っている
  • 相続財産が複雑で相続税の計算方法がわからない

専門家に依頼した方が得になるかどうかは、事案によって異なります。細かい案件の場合、依頼する必要がないケースもあります。また金額だけではなく、相続人の「時間の節約」という観点も考慮する必要があるでしょう。専門家の種類によって依頼できる内容が異なるので、以下でそれぞれに依頼できる内容は下記の図をご参照ください。

相続について、弁護士、司法書士、税理士、行政書士が対応できる業務内容の一覧図
相続について、弁護士、司法書士、税理士、行政書士が対応できる業務内容の一覧図

次に仕業ごとに依頼できる内容や費用の目安を解説します。

弁護士には以下のようなことを依頼できます。

【弁護士に依頼できる相続手続き】

  • 遺言書の検認
  • 相続放棄、限定承認
  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺産分割協議、調停、審判の代理
  • 遺留分侵害額請求の代理
  • 預貯金使いこみの責任追及
  • 遺言書が無効であることを確認する手続き

弁護士は法律の専門家であり、相続手続きのほとんどに対応できます。ただし「相続税に関する業務」と「不動産登記」は依頼できません。弁護士の特徴は「本人の代理人として活動できる」ところです。相続人間の遺産分割協議や調停、審判となってもめてしまったときや遺留分侵害額請求をするとき(されたとき)には必ず弁護士に依頼しましょう。

【費用の目安】
遺産分割調停の場合、着手金が20~60万円から、加えて遺産総額に応じて報酬金が発生する場合もあります。報酬金は依頼者が得た経済的利益の4~16%になるのが一般的です。また相続放棄遺産分割協議書の作成なら10万円程度で、その他依頼する業務に応じて費用は変わります。 

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司法書士には以下のようなことを依頼できます。

【司法書士に依頼できる相続手続き】

  • 遺言書の検認
  • 相続放棄、限定承認
  •  相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 不動産登記(名義変更)

司法書士も法律の専門家であり、法律関係業務を依頼できます。ただし本人の代理人として活動できないので、もめたときの遺産分割協議や調停、審判の代行は依頼できません。司法書士の特徴は「不動産登記を依頼できる」ことです。土地や建物、マンションを相続して名義変更が必要なときには司法書士へ依頼しましょう。

【費用の目安】
不動産登記を依頼する場合は、1件につき5~10万円程度が相場となります。相続手続きを丸ごと依頼する場合は、2~50万程度が目安となります。

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税理士には相続税の申告手続きを依頼できます。相続税の申告は税理士にしか依頼ができません。多額の財産を相続してなるべく節税したい場合には、相続に詳しい税理士に相談しましょう。

【費用の目安】
費用の目安は、遺産総額に応じて変わります。おおよそ20万~50万円程度が目安となりますが、各事務所によって費用体系が異なるので、事前に確認をしたり、いくつかの事務所と比較したりするのがおすすめです。

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行政書士には以下のようなことを依頼できます。

【行政書士に依頼できる相続手続き】

  • 相続人調査
  • 相続財産調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 車や株式の名義変更、預貯金解約払戻

行政書士は文書作成の専門家ですが、弁護士や司法書士に比べるとできることが限られています。主に相続人調査、相続財産調査、車や株式、預貯金の名義変更などを依頼すると良いでしょう。費用は弁護士などの他士業と比べて低めになっています。

【費用の目安】
他の仕業と比較して相場は低くなっており、相続人調査、相続財産調査は5万~6万円程度、遺産分割協議書の作成は3~5万程度、 預貯金や株式、車の名義変更は2万~5万円程度となっています。

専門家に依頼した場合、上記の他に実費や日当が発生します。日当は遠方への出張や移動があった場合に発生します。実費は、戸籍謄本の発行手数料や収入印紙、連絡用切手など手続きに発生する費用になります。相続人の数が多いほど必要書類は増えます。

 上記はあくまで目安となります。初回相談が無料の事務所が多いので、実際に見積もり出してもらったり、比較したりするなどして信頼できる専門家に依頼するようにしましょう。

相続手続きは、親族にも依頼できます。その際には「委任状」を作成して親族に渡しましょう。受け取った親族が申請先の機関へ委任状と必要書類を提出すれば、預貯金払戻しなどの各種手続きができます。

委任状には委任事項を記載し、日付を入れて署名押印して作成しましょう。たとえば「〇〇に以下の預貯金解約払戻の手続を委任します」などと書いて、日付を入れて署名押印すれば完成します。

一般的には親族に手続きを依頼する場合、報酬は払わなくてよいでしょう。親族からも特に請求されないケースが多いと考えられます。

ただし当事者間で報酬を払う取り決めをしてもかまいません。その場合の金額について特に決まりはありませんが、常識的な範囲で当事者が納得する金額にすると良いでしょう。たとえば高齢な親が子どもに委任する場合にお小遣い程度の報酬を渡すなどです。家庭の事情などもあるので、金額はケースによって相当変わると考えられます。

 手続きにかかる実費(書類取得費用など)は「委任した人」が払うべきです。そもそも委任された親族はサービスで代わりに手続きしてくれているだけであり、本来費用を負担すべき人は委任者だからです。

親族に委任する際に注意すべき点とトラブルを起こさないための予防策をお伝えします。

白紙委任状
親族に委任するときには、「白紙委任状」を渡さないことが重要です。白紙委任状とは、委任事項を明確に示さず「一任します」とする委任状です。委任事項を明らかにしておかないと、受け取った親族が何に使うか分かりません。借金されたり保証人にされたりする可能性もあります。トラブルを防ぐため、必ず「預貯金の払い戻し」「不動産登記手続き」など、委任事項を示して委任状を作成しましょう。

親族へ依頼すると、トラブルの元になる可能性がある
親族は、相続手続きのプロではありません。信頼できる相手を選ばないといい加減な対応をされて、手続きがうまく進まない可能性があります。たとえば親が子どもに対応を任せて安心していても、忙しくて放置されてしまうリスクが懸念されます。また子ども自身、やり方がわからなくて困ってしまうケースも少なくありませんし、依頼された子どもが他の親族の反感を買い、トラブルに巻き込まれるケースも存在します。士業(専門家)は「仕事、ビジネス」として相続手続を代行しますが、親族は「単なる親切心」から手伝う意識しか持っていません。よりスムーズに相続手続きを終わらせるには、専門家に依頼した方が確実といえるでしょう。

相続手続きが複雑で自分で対応するのが難しければ、早めに弁護士や司法書士、税理士などの士業に相談しましょう。費用が心配な方は、まずは見積もりを出してもらい、「価値がある」と感じられたら依頼してみてください。

(記事は2022年12月1日時点の情報に基づいています)

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