1.主な相続手続きとその期限

相続の手続きといっても様々であり、主な手続きと大まかな流れは以下のとおりです。

  • 相続人の確定 : 戸籍謄本で法定相続人を確認
  • 財産目録の作成 : 相続発生日時点の財産と債務を洗い出し、金額を付して計上
  • 遺言書の有無の確認:自筆証書遺言(法務局保管分を除く)は家庭裁判所の検認が必要
  • (遺言書のない場合)遺産分割協議 : 相続人全員の合意が必要
  • 所得税準確定申告 : 申告期限は相続発生後4カ月以内
  • 相続税申告 : 申告期限は相続発生後10カ月以内
  •  各種財産の名義変更 : 不動産は法務局で相続登記

上記の手続きについて、相続税申告と、亡くなった被相続人の所得税を申告する準確定申告以外については、手続きの期限はありませんが、後述する理由により、相続手続きは相続税の申告期限までに終えられるよう進めるのが通常です。

2.税理士への相談 相続税申告の相談や他の専門家の橋渡し役に

最も心配な相続手続きの一つが相続税の申告である方も多いと思います。
相続税の申告は、亡くなった時点ですべての財産から負債などを差し引いた純財産が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に必要となり、亡くなった日から10カ月以内に行う必要があります。

相続税の申告手続きの中で、法定相続人の確認や財産目録の作成を行い、また、遺産分割が決まらないと正式な相続税の計算ができないこともあり、相続の手続き全般について税理士に相談をしながら進めることは一般的です。

特に遺産分割の内容は相続税に大きな影響を与えますので、税理士にも相談をして進めることが重要です。例えば、ご自宅の不動産を誰が取得するかによって、自宅敷地の評価額が(330㎡まで)8割引きとなる特例である小規模宅地等の評価減の適用可否が異なります。また、相続税の納税資金は相続人ごとに負担する必要があるため、各相続人の相続税の納税財源を考慮に入れて遺産分割の内容を検討する必要があります。

そのため、相続税申告を税理士に依頼する場合には上記のようなアドバイスをしてくれる相続税に強い税理士に依頼することが望ましいでしょう。また、相続を専門とする税理士であれば、相続税の申告だけでなく、必要に応じて、司法書士や弁護士の紹介をしてくれるとともに、それらの専門家と連携して進めてくれると思います。

3.弁護士への相談 相続人同士の揉め事や遺言に納得できない場合

相続人間で相続財産の分け方について話し合う遺産分割協議において、円満にまとまるケースだけとは限りません。揉めてしまい、相続人同士の話し合いでまとまりそうにない場合には、弁護士に相談することを検討してください。弁護士は、相続人間で争いが起きた場合には、各相続人の代理人として専門的な知識を持って対応をしてくれます。

また、遺言書の内容に納得がいかない場合にも、弁護士に相談するとよいでしょう。法律は兄弟姉妹以外の相続人に最低限の遺留分を認めています。遺言の内容が不平等で当該相続人が得る遺産が遺留分額を下回っているような場合には、遺留分侵害額請求を行うことにより侵害された遺留分を手にすることが可能です。

なお、前述のとおり、遺産分割の内容は相続税に大きな影響を与えますし、遺留分侵害額請求の合意が相続税の申告期限後である場合には、相続税の修正申告が必要となりますので、弁護士と税理士は上手く連携をしてもらうことが必要です。

4.司法書士への相談 不動産の相続登記の専門家

相続財産に不動産がある場合には、不動産の相続登記(名義変更)が必要で、法務局で手続きを行います。このような登記に係る手続きを専門家に依頼する場合には、通常、司法書士に相談をします。
相続税の申告が不要なケースでは、司法書士に遺産分割協議書の作成と不動産の相続登記を依頼することで大部分の相続手続きを済ますことが可能です。

また、会社経営者や会社役員の立場の方が亡くなった場合には、取締役の死亡登記を行う必要があり、この手続きも通常、司法書士に依頼をします。

5.不動産会社への相談 売却を検討する場合は早めに対応を

相続に伴い不動産の売却を検討することがあります。相続税が多額に見込まれる場合に、相続税の納税資金を確保するために、相続した不動産の売却をすることがありますし、遺産分割で不動産の共有を避けるために、不動産を売却して売却代金で分割をすることもあります。

不動産の売却は、すぐに買手が付かず、時間がかかることも多いので、早めに不動産会社に相談をする必要があります。

また、税金の観点でも、不動産を売却し、売却利益が生じる場合には、譲渡所得税の負担が必要ですが、相続税の納税をされた方が相続した不動産を相続発生後3年10カ月以内に売却した場合には、売却利益から相続税を一部控除できる特例もあり税負担が軽減されます。この点でも相続した不動産の売却を検討する場合には、早めに不動産会社に相談をされることをお勧めします。

(記事は2020年9月1日時点の情報に基づいています)