作成は公証役場の公証人

自筆証書遺言が自分の手で書くのに対し、公正証書遺言は、原則的に公証役場で作ります。2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人がパソコンで作成し、遺言を遺す人が、記載された内容で間違いないかどうかを確認して最後に署名・押印をして完成です。
ただ、証人については、注意が必要です。民法では、未成年者や相続人、財産をもらう知人は証人になれません。このため、証人になってくれる人に心当たりがない場合は、専門家または公証役場に相談してください。証人1人に対し、1万円前後の謝礼が必要ですが、紹介してもらえます。

作成に必要な書類とは

公証役場で公正証書遺言を作成する際に必要な書類などは、以下の通りです。ただ、公証役場によっては、異なることもあります。ご依頼の前に、足を運ぼうとしている公証役場で確認してください。公正証書遺言は、全国どこの公証役場でも作れます。ただ、病気などで外出が難しく、公証人に出張してもらう場合は、お住まいの都道府県内の公証役場にしか依頼できません。

・発行から3か月以内の印鑑登録証明書。印鑑登録をしていない場合は運転免許証やパスポート
・遺言者の戸籍謄本
・遺言者と財産を譲る相続人の続柄が分かる戸籍謄本
・財産を相続人以外の人に譲る場合は、その人の住民票の写し
・不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
登記事項証明書は法務局、固定資産評価証明書は市区役所、東京都の場合は都税事務所で取得。固定資産税納税通知書は毎年春ごろ市区役所から郵送されます
・預貯金の通帳のコピー
コピーするのは、銀行の場合、銀行名、支店名、種別、口座番号、残高。ゆうちょ銀行では、記号、番号、種別、残高です。
・証人を知人に依頼する際には、その人の名前、住所、生年月日、職業のメモ
・遺言執行者を指定する場合は、その方の名前、住所、生年月日、職業のメモ
・公正証書遺言の作成日は、遺言者の実印(印鑑登録していない場合は、認印)、証人の認印が必要です

メリットは信用性の高さ、デメリットは費用面

次に公正証書遺言のメリットとデメリットを説明します。
メリットの一つは、裁判官や検事を経験した法律のプロで準国家公務員の公証人が手がけてくれるため、遺言書が無効になる可能性が低いです。2人の証人が立ち会うことで内容の信用性が高まるほか、遺言を遺す人は、実印の印鑑登録証明書を提出するか、または運転免許証などを見せるため、本人確認も厳格です。このほか、自筆証書遺言で必要となる家庭裁判所での検認という手続きが不要になります。
逆に、デメリットとしては、公証役場の手数料のほか、場合によっては弁護士や行政書士などの専門家に報酬を支払う必要が生じます。また、原則では、手続きは公証役場で済ませないといけませんが、病気などで外出困難な場合には、公証人が病院や自宅に出張してくれます。

財産価格で変わる作成費用

遺言について公証役場で相談するには、事前に電話で予約したほうがよいでしょう。相談料は無料です。ただし、公証役場では個々の事情に応じた遺産の分割相談などには応じていません。

作成の手数料は、財産の価格によって異なります。例えば、500万円を超えて1000万円以下の場合は、17000円、1000万円を超えて3000万円以下の場合は23000円といった形です。費用は、相続を受ける人ごとにかかる手数料を合算して算出します。また、全体の財産が1億円以下の時には、11000円が加算。遺言書は、通常、原本、正本、謄本を1部ずつ作成しますが、証書の枚数によって加算されます。

具体的に手数料を計算する際は、上記以外の点が問題となることもあります。詳しく知りたい人は、それぞれの公証役場で尋ねてみてください。

「難しい」と感じたら専門家へ

公正証書遺言は、ご自身で公正証書役場に電話をして遺言書の作成を依頼することもできます。ただ、それには、相続に関して、ある程度の知識があって、誰にどの財産を譲るかを決めている必要があります。また、戸籍謄本や不動産の登記事項証明書といった資料を準備する必要が出てくる場合もあります。

日常生活では、なかなか身近ではない手続きもあるため、公正証書遺言の作成を考えておられる方には、まずは遺言書や相続をテーマにした本を読むことをおすすめします。その上で、「1人で完成させるのは難しい」と感じた人は、弁護士や行政書士などに相談してみください。

(記事は2019年12月1日時点の情報に基づいています)