相続の相談を受ける中で、亡くなった人の預金残高がわからないと言われることがあります。たくさんの通帳が見つかっても、記帳されていなかったり、銀行が合併して名前が変わったりしていて、現在の状況がわからないのです。通帳はなくてもクレジットカードだけが見つかることや、ATMの明細だけが見つかることもあります。

そのようなケースでは、金融機関に調査を依頼し、残高証明書を取得することになります。口座名義人が亡くなっている場合、相続人が各銀行に戸籍謄本などを提出して発行を依頼することになりますが、この手続きはなかなか面倒です。

相続人が銀行を訪れて手続きをできればよいのですが、亡くなった人名義の地方銀行口座があり、相続人が支店のない遠方に居住している場合は負担が大きくなります。戸籍確認や印鑑照合などが必要なため、郵送での手続きに対応していない金融機関もあると思います。

私も依頼を受けて、相続人の代理人として残高証明書を取得することがあります。相続人から委任状をもらって窓口へ行くのですが、手続きに時間がかかり、即日発行を受けられないケースもあります。例えば、自営業の場合、事業口座と生活口座を分けるなどの理由で、同じ銀行に複数の口座を開いていることがあります。また、住所変更を銀行に知らせていない場合もあり、情報をまとめるのも時間がかかるのでしょう。取引銀行が多ければ、手間もそれに比例して多くなります。
預貯金に限らず、亡くなった方の資産に関する情報はノートなどにまとめられていなければ、残された手がかりを元に、一つ一つ調べていくことになります。

数えたら全部で18もの銀行口座が出てきた

一般的に、エンディングノートには資産内容をまとめるページがあります。
私が購入した『エンディングノート「もしもの時に役立つノート」』(コクヨ)にも預貯金の一覧表を記載する箇所があります。

良い機会なので、我が家の通帳を集めて銀行口座を数えてみました。事業や生活に使っている口座は概ね把握していたものの、すっかり忘れていた通帳もいくつか見つかりました。東京で働いていたときの給与口座として使用していたものなど、数えてみると、18口座もありました。

メガバンクの支店は私の生活圏にありません。Uターンにあたって主要口座を地元の地方銀行に変更したので、首都圏在住時の通帳は使用せずにただ保管していました。

半分近くは使用頻度が少ない口座のため、これを機に解約することにしました。
もしも私が死んだ際に、妻が整理していない通帳の束を見つけたら、大変な思いをしたことでしょう。今後も使用するものを選び、エンディングノートに金融機関名、支店名、口座番号などを記載しました。今後、取引銀行が増えた際には、追記することとしました。

エンディングノートには基本情報として、本籍地を記載する欄もあります。預貯金口座の解約にあたっては、相続人を特定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等の提出を求められます。戸籍謄本は戸籍を管理する自治体から発行してもらう必要があるため、本籍地を移した経験がある場合には、これまで戸籍があった場所を記録することをお勧めします。

預金口座や有価証券のリストを作ると、金融資産の残高を把握できます。なお、家計のバランスシートを作成したい場合は、住宅ローンの残額や所有不動産の時価を確認するとより正確に作成できます。不動産については、固定資産評価証明書にも評価額が記載されていますが、これは固定資産評価基準に基づいて決められている価格で、時価とは異なります。時価の目安を知りたい場合には、不動産価格の査定サービスを利用するとよいでしょう。

ライフプランの見直しにも有用なので、興味のある方はエンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。

(記事は2020年6月1日現在の情報に基づきます)