目次

  1. 1. 「ワニ」と私たちの共通点とは
  2. 2. まずは「エンディングノート」から
  3. 3. 家族が見ることを前提に
  4. 4. 事務的な重要情報から記す
    1. 4-1. 書きやすいところから根気よく
  5. 5. 相続の準備の第一歩で活用を

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さて、つい先日完結しましたが、「100日後に死ぬワニ」が話題となりました。何気ない日常を過ごすストーリーと、「死」へのカウントダウンというミスマッチな設定が抜群でしたね。

ただ、私たちも「100日後」ではないかもしれないですが、「●日後」に死ぬ、という点では共通しています。そして、作中の「ワニ」と同様、それが「いつ」なのかは誰にも分かりません。

「縁起でもない」と見てみないふりをすることなく、普段から「相続の準備」は、しておきたいものです。

ただ、多くの方は、「相続の準備」と聞くと、「遺言」という意識が強いのか、「遺言」なんて書きたくない、と二の足を踏んでしまう方が多いかと思います。

確かに、いきなり「遺言」を書くというのは非常にハードルが高いでしょう。

そこで、法的な効力を持たないエンディングノートから「相続の準備」を始めることをおすすめしています。

エンディングノートという言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。

ざっくりと言ってしまえば、エンディングノートとは、自分に万が一のことがあったときの「引き継ぎノート」と思っていただければよいと思います。「引き継ぎノート」の性質上、当然、自分に何かあった場合、家族はその内容を確認するので、内容を見られることを前提として書く必要があります。

エンディングノートには、法的な拘束力がありません。そのため、具体的に書くべき内容は決まっておらず、自由に作成できます。ただ、いざ書こうとすると、何から書き始めてよいか分からないというケースが多いでしょう。

最近では、市販のものも含め、エンディングノートには様々な種類があります。本屋で店頭に並んでいるものを確認してもよいですし、インターネット上にアップロードされているテンプレートをダウンロードしてもよいでしょう。最近では、ソフトウェアやアプリといったものもあるようです。ご自身で「書きやすいかな」と思ったものを一つ手に取っていただくとよいでしょう。

まずは、手元にエンディングノートを用意することが重要です。

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エンディングノートには、様々な記載項目があります。

大きく区分すると以下の図のようになるでしょう。

遺言書を作成する上では、エンディングノートを書くことが第一歩になるようです
遺言書を作成する上では、エンディングノートを書くことが第一歩になるようです

エンディングノートの一番の問題点は、これらの情報の記載欄が、平面的に配置されているところです。そのため、多くの人が上の表の右下にある「遺影」や「家族への想い」といった項目に目がいってしまいます。そうすると、エンディングノートに書く内容を深く考え込んでしまい、なかなか筆が進まない状況に陥ってしまいます。

実際に、実績のある遺品整理業者に伺ったところ、「完璧に書かれたエンディングノートは一冊も見たことがない」と話していました。

個人的には、資格受験の参考書や問題集のように、例えば10日後に完成するエンディングノートのような形で、1日1日で書くべき内容を特定されているとよいと思います。しかし、そのような書式になっているエンディングノートは少ないようです。そのため、自分自身でエンディングノートを区切って、根気よく書いていくしかありません。

その際のポイントは、エンディングノートの中でも、上の表の左上にあたる「事務的なもの」で「考えて書く必要のない」項目から中心に書いていくことです。実際、相続の準備で役立つのは、この領域の情報が多いです。

書きにくい領域ばかりに目を取られて筆を進められないよりも、書きやすい領域をどんどん書いていき、相続人にとって有用となる「引き継ぎ」をしていただきたいと思います。 

恐らく、後にも先にも「これ以上のものはない」と言えるほど、完璧に家族への想いを書き込んだエンディングノートを一度だけ拝見したことがあります。

その文章から、家族への想いがあふれ出る素晴らしい内容でした・・・。

ただ、残念ながら、相続は揉めてしまいました。

確かに、「家族への想い」を残すことは重要です。

しかし、苦労して作っても報われないケースがないわけではありません。「家族への想い」に固執して、なかなかエンディングノートが書けないと悩むよりも、書きやすい部分から、どんどんと書き進める方が、ずっと意味があると思いませんか。

エンディングノートを書くことは、相続についての思考の整理と可視化につながり、相続の準備の第一歩として大きな意味を持ちます。

まずはエンディングノートを入手して、書きやすいところから始めてみるのはいかがでしょうか。

前回は、「異母きょうだいとの相続(他人同士の相続)」についてお話をしました。今後もこちらのコラムを随時更新していきます。

(記事は2020年4月1日時点の情報に基づいています)

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